刑法II【刑法各論】

最終更新日:2021年3月8日

授業科目名
刑法II【刑法各論】
標準年次
2
講義題目
刑法各論(各犯罪類型の検討)
開講学期
後 期
担当教員
冨川 雅満(TOMIKAWA M.)
単位数
4単位
教  室
大講1
科目区分
基盤科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Criminal Law II
Course Overview
Lecture on the specific offences of criminal law
履修条件
 特にないが、刑法I(総論)を履修していることが望ましい。
授業の目的
刑法は、犯罪と刑罰に関する学問領域である。その中でも、刑法各論は、個別の犯罪類型に関する固有の論点を扱う領域で、各犯罪類型に共通する論点を扱う刑法総論とは、網目の縦糸と横糸のような関係にある。
 本講義の大きな目的には、刑法各論の全体像を把握するとともに、個別のテーマについて理解を深めることが挙げられるが、これに加えて、以下のような点も含まれる。

A.専門的能力:刑法各論は、刑法総論よりも、具体的な事例を念頭に置いた議論が多くなるという点ではわかりやすい部分もある。他方で、個々の事例を適正に処理しながら、体系的に矛盾のない論拠を提示していくことへの意識が、刑法総論以上に求められる。両者のバランスをはかるための能力は、法学全般に求められるものであり、リーガルマインドの修得に有用である。
B.汎用的能力:難解で複雑な議論を丁寧に分析することで、論理力を獲得することができる。刑法各論での各テーマは、判例・学説上多様な見解が主張され、時に激しい対立が見られる領域である。それぞれの立場の根拠づけや他の立場への批判を比較・検討することは、論理的思考力を培うための良い素材となる。
授業の概要・計画
 刑法各論で扱うテーマは、大きく個人的法益に対する罪、社会的法益に対する罪、国家的法益に対する罪の3つに分けられる。本講義では、個人的法益に対する罪から始め、社会的法益、国家的法益に対する罪へと話を進めていくが、すべての犯罪類型を扱うことはせず、特に重要と思われるものに重点を置くこととする。
 各項目に割り当てる授業時間は、履修者の理解度に応じて、配分していくため、シラバスでは、大まかな進行計画を示すにとどめる。
1.刑法各論の概要
2.財産に対する罪
3.自由に対する罪
4.人格的法益、信用、業務に対する罪
5.生命・身体に対する罪
6.公共の安全に対する罪
7.公共の信用に対する罪
8.風俗に対する罪
9.国家の作用に対する罪
授業の進め方
 講義形式で行うが、担当教員が提示した質問に対して、受講者に回答してもらうことがある。
 なお、本講義では、各回、扱うテーマの該当箇所につき、受講者が教科書を一読していることを前提とし、講義冒頭で「教科書を一読して理解できなかった点、疑問に感じた点」を受講者から募り、それらの点につき、集中的に講義を行う。
 講義では条文を参照することが多いため、六法を持ってくるなど、条文をその場で確認できるようにしておくこと。 その他の資料については、レジュメを配布する予定であるが、レジュメを事後的に読むだけでは、講義内容を十分に理解することは難しい。受講者自身が効果的に復習するためにも、受講者は担当教員による解説をノートにまとめていくことが必要である。したがって、ノートテイキングができる準備をして、受講することが求められる。なお、やむを得ない事情によりノートテイキングに困難がある者については、担当教員に個別に相談してもらえれば、対応の方法を協議する。
 予習・復習には時間をかけることが望ましい。下記のように予習・復習を行うことが理想的である。
・予習
 内容:講義で扱うテーマについて、教科書等を一読。
 目的意識:テーマの概要を把握。理解できない点を事前に把握。
・復習
 内容:講義中に取ったノートをまとめ直すほか、内容について教科書等と照らし合わせる。
 目的意識:知識の定着化。理解できている点と理解できていない点の整理。
 予習・講義・復習を通じて、理解できなかった点については、担当教員に相談してもらえれば、さらなる理解へのアドバイスを行う。
 なお、新型コロナウイルスの感染状況によっては、対面、オンライン(zoom)、併用のいずれかで講義を行う。実施方法の詳細については、moodle上にて周知するため、受講者は、moodleの刑法各論に登録しておくこと。
教科書・参考書等
 教科書は指定しない。が、自分に合うと思ったものを必ず1冊持っておくこと。本学図書館や生協等に赴き、「刑法各論」と題する教科書をいくつか手に取って、読み比べてみてほしい。その際、最新の刑法改正(2021年2月時点で最新の重要改正は2017年6月23日の第15次改正)を盛り込んだものを選ぶことを強く勧める。
 また、判例学習用の参考書も用意しておくことを勧める。教科書、参考書選定に悩む者については、担当教員に個別に問い合わせてくれれば、相談にのることができる。
成績評価の方法・基準
 定期試験の成績を基本とする。定期試験では、刑法各論の各テーマについての理解度や、論理的思考能力、そして、それらを答案に表現できているかを評価対象とする。理解度については、少なくとも講義内で解説した点を理解できていることを要求する。出席点は考慮しない。ただし、授業内に加点要素として、任意の課題等を提示することもありうる。
その他(質問・相談方法等)
 質問については随時受け付けているが、時間の関係上、アポイントをとって後日対応することがある。
事前/事後学修 事前学習:事前に指定したテーマにつき、各自が持つ教科書の該当箇所を読んでおくこと(2時間程度)
事後学習:講義内容を踏まえ、レジュメや教科書等を参考にしつつ、扱ったテーマについてノートにまとめる作業(2時間程度)