クリエイティブ産業と文化政策

最終更新日:2021年10月4日

授業科目名
クリエイティブ産業と文化政策
標準年次
2・3・4
講義題目
クリエイティブ産業と文化政策
開講学期
後 期
担当教員
小島 立(KOJIMA R.)
単位数
2単位
教  室
D106
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Creative Industries and Cultural Policy
Course Overview
The purpose of this course is to enhance participants’ capabilities to critically examine various issues in contemporary society by analyzing the problems of Creative Industries and Cultural Policy.
履修条件
【初回(10/5)の授業について】
感染防止対策の観点から、初回の授業は、センターゾーンの2304教室で開講する。詳細は下記のお知らせを確認していただきたい。
https://www.law.kyushu-u.ac.jp/archives/4749

【本授業の受講を検討されている方へ】
受講者数によっては教室を変更する可能性があるので、大まかな受講者数を把握する関係で、Moodleへの登録をお願いしたい。詳細は下記のお知らせを確認していただきたい。
https://www.law.kyushu-u.ac.jp/archives/4534

本授業は、高年次基幹教育科目との同時開講である。履修登録を行う場合には、法学部科目としての履修か基幹教育科目としての履修かの選択を間違えないように留意されたい。

本授業は対面で行うことを計画している。新型コロナウイルス感染症の状況によっては、リモート形式に切り替えることもある。

受講人数によっては、密を避ける観点から、より大きい教室への変更もあり得る。イーストゾーンで適切な収容人数の教室が見つからない場合には、センターゾーンの教室で開講することもある。

どの学部に所属しているかにかかわらず、「ものづくり」、「まちづくり」、文化芸術、クリエイティブ産業、スタートアップ、科学技術イノベーションなどに関心がある学生諸君の参加を歓迎する。
授業の目的
本授業の目的は、受講者と一緒に、クリエイティブ産業と文化政策に関連する問題を検討することを通して、現代社会の諸課題について、受講者自らが批判的に考察する力を高めることにある。本授業が目指す具体的な到達目標は、以下のとおりである。

1. 知識・理解
クリエイティブ産業と文化政策が社会において果たすべき役割について、受講者が自ら考えることができる力を養うこと。

2. 専門的技能
受講者が、クリエイティブ産業と文化政策に関する課題について、法的および社会科学的な知見に基づいて解決策を提示できるようになること。

3. 汎用的技能
現代社会における諸課題について考えるに当たり、受講者が可能な限り正確に社会を観察して、その観察結果を記述できること、そして、それらの作業を踏まえて客観的な分析を行える能力を養うこと。

4. 態度・指向性
受講者が、国内外で生じている様々な現代的課題に接する際の感受性を高められるようにするとともに、社会で生じている問題を「自分のこと」として捉えて、考察できる態度を養うこと。
授業の概要・計画
「クリエイティブ産業(Creative Industries)」という言葉は、英国の文化・メディア・スポーツ省(DCMS)が1998年に発表したレポートにおいて初めて用いられたと言われる。そこでは、クリエイティブ産業とは、「個人の創造性、技能、才能に由来し、知的財産の生成や活用を通じて富や雇用を創出する潜在力を持つ産業」を指すとされていた。

この説明からも分かるように、「クリエイティブ産業」は、「ものづくり」、「まちづくり」、「コトづくり」といった現代的事象に深く関係する。さらに、「ソフト化」や「スマート化」が急速に進みつつある現代社会(いわゆる「Society 5.0」)においては、より多くの産業と、その営みに関わるアクターの活動に「クリエイティブ」の要素が関わることは避けられない。

多岐に渡る「クリエイティブ産業」について、個々の産業を支援する際に用いるべき政策手法は自ずと異なっており、ある政策手法(例えば、知的財産権制度)に関する問題だけを取り上げて分析するのでは、当該「クリエイティブ産業」に関わるクリエイターやメディアに対する包括的な支援に結びつかない懸念がある。したがって、私たちが望ましいと考える「クリエイティブ産業」に関する文化産業政策を実現するためには、個々の政策手法の機能や特質(言い換えれば、個々の政策手法の「強み」と「弱み」)を理解した上で、それらを適切に組み合わせることが求められる。

このような視座を持ちつつ、本授業では、各回ごとに、様々な「クリエイティブ産業」に関するトピックを取り上げて検討を行う。

1 オリエンテーション:
本授業の目的、進め方等について説明する。
2 クリエイティブ産業と文化政策の概観:
本授業の対象であるクリエイティブ産業と文化政策について概観する。
3 パトロナージ(パトロネージュ):
文化芸術における「パトロン」の役割について考える。
4 ミュージアム&文化財返還:
アート作品や文化財が展示されるミュージアムが果たす役割と、その歴史的経緯から生じる文化財返還について考える。
5 現代アート:
現代アートの成り立ち、展開、現代的課題などについて考える。
6 ストリート・アート&アウトサイダー・アート:
ストリート・アートやグラフィティに加えて、いわゆる「アウトサイダー・アート」が現代社会に問いかけているものを考える。
7 工芸:
工芸(クラフト)の意義、美術(アート)との違い、現代的課題などについて考える。
8 ファッション:
現代社会においてファッションという現象が起きるメカニズムやその意義について考える。
9 舞台芸術(パフォーミング・アーツ):
舞台芸術(パフォーミング・アーツ)の意義、舞台芸術を支える「場」や「組織」の課題などについて考える。
10 電子出版と図書館:
出版業界の構造、電子出版の意義、今後の図書館の課題などについて考える。
11 産業遺産:
遺産(ヘリテージ)の意義、産業遺産の保存と利活用の課題などについて考える。
12 伝統的知識(フォークロア):
民間伝承、民俗芸能などの伝統的知識(フォークロア)の意義、その保存と利活用の課題などについて考える。
13 地域資源:
「地域おこし」「まちづくり」を行う上での地域資源の創出と利活用の課題について考える。
14 まとめ:
本授業全体のまとめを行う。
授業の進め方
1. 授業の進め方について
本授業は対面で行うことを計画している。新型コロナウイルス感染症の状況によっては、リモート形式に切り替えることもある。

2. 授業で用いる資料について
本授業で用いる資料は、九州大学e-ラーニングシステムMoodle(https://moodle.s.kyushu-u.ac.jp/)にアップするので、受講者は本授業の「コース登録(自己登録)」を行うこと。

3. 予習について
受講者は、上記のMoodleにアクセスし、事前に予習課題(PDF)の検討を行うことが期待される。

4. リアクションペーパーの提出について
授業終了の1週間後までに、Moodle上の「レポート課題を提出する」を利用して、リアクションペーパーを提出すること。

リアクションペーパーには字数制限は設けない。内容についても、授業の感想、授業で学んだこと、疑問に感じたこと、授業に関する質問など何でも構わない。このリアクションペーパーの提出を出席点として、学期末の評価に加点する。

5. 教科書について
Moodleに掲げた授業スケジュールにおいて、教科書の予習箇所を予め指定するので、その部分に予め目を通してから授業に臨むこと。受講する際には、指定した教科書を手元で参照できる状態にしておいてほしい。
教科書・参考書等
●教科書
小林真理=小島立=土屋正臣=中村美帆『法から学ぶ文化政策』(有斐閣、2021年11月上旬刊行予定)
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641126305
●参考書
授業中に適宜指示する。
成績評価の方法・基準
期末試験(持ち込み不可)により成績評価を行う。本授業で取り上げたテーマについての基本的な理解が定着しているかどうかを判定するため、論述問題を出題する。また、授業後のリアクションペーパーの提出を出席点として、成績評価の際の加点事由とする。
その他(質問・相談方法等)
質問や相談等がある場合には、担当教員にメールで連絡を取り、面談の日時を予約されたい(担当教員のメールアドレスは、kojima[アットマーク]law.kyushu-u.ac.jp)。遠隔会議システム(Zoomなど)を用いて質問に応じることもあり得る。
事前/事後学修 教科書と配布資料の内容を確認するとともに、授業の内容に関連するクリエイティブ産業や文化政策の問題に関心をもって自ら調べてほしい。授業後には、復習とともにリアクションペーパーの提出を行うこと。事前事後の学習時間は、各回合計で4時間相当である。