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刑事政策研究第二

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
刑事政策研究第二
履修コース
研・専
講義題目
「死刑」と日本社会
授業区分
前期
担当教員
堀川惠子  
単位数
2単位
教 室
第2研究会室
科目区分
修士・博士課程
履修条件
授業の目的
授業の概要・授業計画
裁判員裁判が始まり、市民が「死刑」という刑罰に直接かかわる機会が増えています。死刑は刑法第11条に明記された最も峻厳で特異な刑罰です。ところが市民はもとより法学を学ぶ者や、刑の宣告に実際に関与する裁判官・検察官・弁護士ら法曹三者ですら死刑については学ぶ機会がなく、観念的・感情的にしか捉えていません。諸外国に比べ日本では、特に慎重に思考を熟成すべき死刑問題が‘タブー視’され業務の枠外に置かれる異常な状態です。この背景には死刑にかんする情報を意図的に秘匿する日本社会の問題やマスコミの存在があり、話題は常に廃止・存置派による対立に終始、考えるための材料が決定的に欠如しています。本授業では感情論を廃し、刑罰のひとつである死刑についての統計や資料を駆使してその現実を知り、「死刑」に向き合った被告人、被害者遺族、法曹関係者、法務省職員、法務大臣らの生の証言を書籍や番組から視聴・分析、さらに具体的な死刑と無期の境界事例や死刑事件と報道の動き等についても広く検証しながら、日本の死刑と社会・刑罰のあり方について思考を深め、
参加者に自らの言葉で問題に向き合うための場を提供します。
授業の進め方
講義は参加・討論型のスタイルをとるため、この問題について取り組む意欲のある学生の参加を望みます。事前の準備は@とAのどちらか一つ=@具体的な死刑・無期事件について概要を調べ判決に対する自分の意見をまとめておく A参考書籍から一冊以上を読み、要点や意見を説明できる準備をする(Aを希望する者は事前に講義者にメールし、用意する参考書籍について打ち合わせることが望ましい:講師の連絡先は学生第三係へ問い合わせること)。授業の柱は「死刑基準の変遷」「少年事件と死刑」「死刑と情報公開」「当事者から見た死刑」「更生とは何か」等とし、複数のドキュメンタリー番組の視聴も行い議論の材料とします。毎回、講義の最後には必ずレポートを提出してもらいます。授業を通して死刑制度の是非論を問うのではなく、事実の発見と思考の過程を重要視します。
教科書及び参考図書等
『裁かれた命』(堀川惠子/講談社)を事前に入手し、一読しておいて下さい
参考書籍(※参加者自身の希望書籍も可 その場合、講師も事前に読んでおくので連絡を)
@『極刑』(スコット・トゥロー/岩波書店) 
A『彩夏へ「生きる力」をありがとう』(山下京子/河出文庫)と、『淳』(土師守/新潮文庫)
B『こころにナイフをしのばせて』(奥野修司/文春文庫)
C『永山則夫 封印された鑑定記録』(堀川惠子/岩波書店)
成績評価の方法・基準
@講義への参加意欲(出席点) A毎回授業の最後に提出するレポート(3回必須)
その他(質問・相談方法等)
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