クリエイティブ産業の現代的諸相

最終更新日:2017年10月30日

授業科目名
クリエイティブ産業の現代的諸相
標準年次
研・専
講義題目
クリエイティブ産業の現代的諸相(JASRAC寄附科目)
開講学期
後期
担当教員
小島 立
単位数
2単位
教  室
科目区分
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Contemporary Issues in Creative Industries
Course Overview
This class deals with various contemporary issues on Creative Industries.
履修条件
九州大学の大学院修士課程に在籍する学生を対象とする。事前の履修条件は特になし。「ものづくり」、「まちづくり」、「コトづくり」、文化芸術、デザインなどの領域に関心がある学生諸君の参加を歓迎する。法学府以外の学府(修士課程)に所属する九州大学の学生も履修可能である。

単位を取得しない形での聴講も可能である(公開講座の形で、一般にも広く開放する)。教材準備のため、参加を希望する日程を、本授業の責任者である小島(kojima[アットマーク]law.kyushu-u.ac.jp)までご連絡いただきたい。 
授業の目的
本授業の目的は、現代社会において「クリエイティブ産業」が果たす役割について、受講者が多角的に考察することができる能力を養うことを目指すことにある。本授業が目指す具体的な到達目標は、以下のとおりである。

(1)知識・理解
現代社会における「クリエイティブ産業」の現状、課題、将来像などについて、受講者が自ら考えることができる力を養うこと。

(2)専門的技能
「クリエイティブ産業」に関係する法的な問題について、受講者が論じられる能力を養うこと。

(3)汎用的技能
現代社会における諸課題について考えるに当たり、受講者が可能な限り正確に社会を観察し、それを踏まえて客観的な分析を行える能力を養うこと。

(4)態度・指向性
受講者が、国内外で生じている様々な現代的課題に接する際の感受性を高められるようにするとともに、社会で生じている問題を「自分のこと」として捉えて、考察できる態度を養うこと。
授業の概要・計画
「クリエイティブ産業」とは、「個人の創造性、技能、才能に由来し、知的財産の生成や活用を通じて富や雇用を創出する潜在力を持つ産業」(英国の文化・メディア・スポーツ省が1998年に発表したレポートによる)を指す。

「クリエイティブ産業」に関する支援や規制には様々なものが存在する。本授業においては、どのような「クリエイティブ産業」の活動において、どのような局面で、誰に対して、どのような形で、それぞれの政策手段が貢献しうるのかということを分析するとともに、それらの政策手段の機能や特質を理解した上で、どのように適切に組み合わせながら、私たちが望ましいと考える文化産業政策を実現できるのかということを検討したい。

その検討作業を行なうためには、「クリエイティブ産業」の現場で起きていることを知ることが必要不可欠である。本授業では、「クリエイティブ産業」に関係する実務の最前線で活躍している方々を招へいしてお話を伺い、それらの方々の活動に、法がいかにして寄り添いつつ、支援することができるのかということについて、受講者全員で考えていきたい。

本授業の内容と登壇者(敬称略)は以下のとおりである。

2017年12月2日(土) 10:30-17:30
九州大学箱崎キャンパス理系地区旧工学部本館10番講義室
「クリエイティブ産業を支える『場』や『環境』について」
松岡恭子(建築家、株式会社スピングラス・アーキテクツ代表取締役、NPO法人福岡建築ファウンデーション(FAF)理事長)
齋藤貴弘(弁護士、ニューポート法律事務所)
後藤太一(リージョンワークス合同会社代表社員、九州大学グローバルイノベーションセンター客員教授)

2017年12月3日(日) 10:30-17:30
九州大学箱崎キャンパス理系地区旧工学部本館10番講義室
「クリエイティブ産業としての『音楽産業』の現状と将来について」
エリック・フェアミューレン(ティルブルグ大学法学部教授、フィリップス・ライティング社シニアコーポレートカウンセル)
(※日本語通訳:小島立(九州大学大学院法学研究院准教授)
増田裕一(一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)業務本部副本部長)
小柳輝昌(株式会社ディスクガレージ社長室)
鬼頭隆生(一般社団法人コンサートプロモーターズ協会事務局)

2017年12月16日(土) 10:30-17:30
九州大学箱崎キャンパス文系地区中講義室
「クリエイティブ産業における『遺産(ヘリテージ)』の役割について」
藤原惠洋(九州大学大学院芸術工学研究院教授)
八尋孝司(直方市石炭記念館館長)
星野一昭(鹿児島大学総合科学域総合研究学系社会貢献機構・かごしまCOCセンター特任教授)

2017年12月17日(日) 10:30-17:30
九州大学箱崎キャンパス文系地区中講義室
「クリエイティブ産業における『デザイン』の役割について」
廣田尚子(ヒロタデザインスタジオ代表、女子美術大学デザイン学科プロダクトデザイン専攻教授)
中坊壮介(Sosuke Nakabo Design Office、京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科プロダクトデザイン研究室准教授)
曽我部昌史(建築家、株式会社みかんぐみ、神奈川大学工学部建築学科教授)

本授業で取り上げる内容の詳細については、下記URLに掲げたフライヤーをご参照いただきたい。
https://share.iii.kyushu-u.ac.jp/public/IC1cAAxIV05AayAB0J9etdL0J64mQAFUAdIJut9yU1Lu
授業の進め方
本授業では、「クリエイティブ産業」に関連する諸問題について、毎回3名(12月3日については4名)の登壇者が、多面的な観点から講演を行なう。1コマ90分の授業時間のうち、講演に約60分、質疑応答に約30分の時間を充てることを考えている。

90分×3コマの講演の後に、授業担当責任者(小島)が、法的な観点を踏まえながら、その日の「まとめ」を行なうとともに、登壇者および出席者を交えて質疑応答を行う。この「まとめ」のセッションに、45分程度の時間を取る予定である。
教科書・参考書等
特になし。「クリエイティブ産業」について概観する場合には、国連貿易開発会議(UNCTAD) (明石芳彦=中本悟=小長谷一之=久末弥生 (訳))『クリエイティブ経済』(ナカニシヤ出版、2014年)、リチャード・フロリダ(井口典夫(訳))『新クリエイティブ資本論――才能が経済と都市の主役となる』(ダイヤモンド社、2014年)、などを参照されたい。

本授業の内容は、「ものづくり」、「まちづくり」、「コトづくり」、文化芸術、デザインなどの諸問題に深く関わっている。これらの分野に幅広く関心を持ち、関係する文献を読むことに加えて、それらの活動がなされている現場に実際に足を運んで実態を観察したり、それらの活動の従事者から話を聞いたりすることをお勧めする。
成績評価の方法・基準
授業への出席(毎回、授業終了後に、出席カードの提出を求める)と、本授業が全て終了した後に提出していただくレポート(A4で5枚〜10枚)により、成績評価を行なう。レポートの提出期限は、2018年1月22日(月)の午後5時とする(提出場所は、箱崎文系地区の学生第三係)。

本授業の内容、本授業に関係する書籍や論文の知識などをまとめるだけではなく、「クリエイティブ産業」の実態について、受講者自らが「体を使って」調査(いわゆる「フィールドワーク」)を行い、その調査から得られた内容を盛り込んでいるレポートに高い評価を与える。レポート執筆の要領については、授業の中で説明する。
その他(質問・相談方法等)
本授業は、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)の寄附科目として、2017年12月2日(土)、3日(日)、16日(土)、17日(日)の10:30-17:30(12:00-13:00は昼休み)に、集中講義の形式で開講する。

本授業で単位取得を目指さないものの、聴講したいという場合には、配布資料の準備などもあるので、本授業の責任者である小島まで、必ず事前にご連絡されたい(メールアドレスは、kojima[アットマーク]law.kyushu-u.ac.jp)。その際には、聴講を希望する日程を明記すること。

質問や相談等がある場合には、小島にメールで連絡を取り、面談の日時を予約されたい。