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教育内容・方法

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シラバス

科目名
  • 授業科目名知的財産と法
  • 授業科目名(英語)Intellectual Property and the Law
  • 標準学年2・3年次
  • 必修・選択の区別選択
  • 単位数2単位
教員名 寺本 振透 ( TERAMOTO Shinto )
時限 火 , I ( 08:40~10:10 )
授業の目的 ・特許法及び著作権法に関する紛争事例を素材として、知的財産法、知的財産権を用いた法的な攻防を実戦的にシミュレートすることにより、法律家が知的財産権を用いてビジネスを支援し、訴訟を代理するための実戦的な知識とスキルを身につけることを主たる目的とする。
・具体的な目標は次のとおりである。
・知的財産法一般に共通する到達目標:知的財産権という市場における競争を制限する力を利用するスキルと、このような力に抵抗して創作物の拡散および普及を維持するために行動するスキルを身につける。
・特許法に関する到達目標:特許権を用いて競合者を排除し、また、競合者の立場で防御したり反撃したりするために必要な水準の知識と議論の方法を身につける。
・著作権法に関する到達目標:著作権を用いて競合者を排除したり、ライセンス契約を結んだり、また、競合者の立場で防御したり、条件交渉をしたりするために必要な水準の知識と議論の方法を身につける。
・なお、次の姿勢およびスキルを既に身に付けたうえで知的財産法を学ぶことが好ましい。しかしながら、ほとんどの学生がそのような水準に達していないであろう現実に鑑みて、知的財産法に関する議論を行いつつも、あわせて、これらの態度とスキルの醸成を図る。
・問題文の言い換えをもって回答するという法学部生にありがちな悪癖から脱する姿勢。
・自分でも意味がよくわかっていない専門用語を並べただけの応答をもって終わりとするのではなく、それによって時間稼ぎをしつつも、説得力のある回答を普段使いの平易な言葉を使ってつくりだそうとする姿勢。
・いったん行った発言に固執するのではなく、問答をくりかえしながら、徐々に発言の内容を修正したり、発展させたり、具体化したりする姿勢。
・要件事実を無視して漫然と利益衡量を行おうとする悪癖から脱する姿勢。
・条文を学説または判例の表現にいきなり置き換えるのではなく、あくまでも条文の定める要件事実に沿って、事実の整理を行う姿勢とスキル。
・社会常識の範囲内で、問題(あるいは、仮想的な依頼者)が特定していないような事実を想像するスキル。
・ある表現方法(例えば、文書、図面、専門用語を使った説明など)で与えられた情報を十分に理解したうえで、別の表現方法(例えば、文書から図面へ、図面から文書へ、専門用語から平易な言葉へ)に置き換えて出力するスキル。
履修条件 2年次以降の者に限る。
到達目標 カリキュラムマップ、到達目標科目対応表及び学修ロードマップを参照のこと。
授業の概要 ・特許紛争に関する実務的に重要な文脈と、著作権紛争に関する実務的に重要な文脈とを、仮想的な事件のシミュレーションと、裁判例に沿った攻防の整理を行いながら、理解していくこととする。
・この授業は、豊富な実務経験を有する教員による、実戦的なものとなる。
授業の概要(英語) In this class, students learn how to enforce intellectual property rights, as well as how to defend themselves against such enforcement of rights.
授業計画 第1回 審査官との攻防(審査、拒絶査定不服審判、審決取消訴訟)
第2回 競争者との攻防(特許異議、特許無効審判、審決取消訴訟、「無効にされるべき」の抗弁)その1
第3回 競争者との攻防(特許異議、特許無効審判、審決取消訴訟、「無効にされるべき」の抗弁)その2
第4回 権利が及ぶ範囲の開示(発明の明確性)
第5回 権利が及ぶ範囲の開示(サポート要件、実施可能性要件)その1
第6回 権利が及ぶ範囲の開示(サポート要件、実施可能性要件)その2
第7回 権利が及ぶ範囲の開示(パラメータ特許)
第8回 権利が及ぶ範囲の開示(プロダクト・バイ・プロセス・クレーム)
第9回 権利が及ぶ範囲の調整(均等)
第10回 権利が及ぶ範囲の調整(翻案)
第11回 権利が及ぶ範囲の調整(二次的著作物の原著作物の著作者の権利)
第12回 権利者よりも優越する、創作の成果の拡散手段がある場合
第13回 創作の成果が、すでに、十分に拡散した場合
第14回 権利の保護期間内に、創作の成果を十分には拡散できなかった場合
第15回 創作者と拡散手段となる企業との交渉力の不均衡を緩和する手段
授業の進め方 もっぱら学生との問答と演習を通じて授業を進める。
教科書及び参考図書等 中山信弘『特許法』(弘文堂、第3版、2016年)
中山信弘『著作権法』(有斐閣、第2版、2014年)
試験・成績評価等 ・授業中の質疑に対する応答その他発言(20%)、課題レポート(20%)および期末試験(60%)により、成績評価を行う。
・知的財産権法のようないわゆるビジネス・ローにおいては、授業を通じて初めて学習の方法がわかることも多いから、授業中に積極的な発言をすることが巧みにできなかったものでも、期末試験において実力を示す機会を与えるべきものと考え、期末試験の比重を高めに設定する。
事前学習 ・あらかじめ、Kyushu University e-Learning System (https://moodle.s.kyushu-u.ac.jp/)にレジュメをアップロードしておく。マニュアルは、(http://lac.kyushu-u.ac.jp/m2b/index.html)にある。
・レジュメとそこで引用されている裁判例を読んでから授業に臨むことをおすすめする。教科書は、種々の情報を便利に引き出すためのツールとして利用せよ。「基本書を精読して暗記する」ような学習は無益である。
課題レポート等 毎回、授業時間内に演習を行う。
オフィスアワー 授業後の午前10時10分から午前11時10分までがオフィスアワーである。
それ以外の時間でも予約があれば対応可能
その他 九州大学法科大学院弁護士等リカレント・プログラムの対象科目である。
参加者には、ビジネスおよび法務の実務家とのネットワーキングを深めることによる学びの深化が期待されている。
復習については、可能な限り、集団で、裁判例を用いて、要件事実に従った攻防を整理することを中心として行うことをおすすめする。