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教育内容・方法

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シラバス

科目名
  • 授業科目名労働と法
  • 授業科目名(英語)Labor Law
  • 標準学年2年次
  • 必修・選択の区別選択
  • 単位数2単位
教員名 山下 昇 ( YAMASHITA Noboru )
時限 木 , I ( 08:40~10:10 )
授業の目的 本講義は、労働法の基礎知識・基礎理論の定着を目的とする。労働法の領域は、実定法が必ずしも完備されておらず、判例法の機能が大きいことに特徴がある。そこで、講義では、労働基準法、労働契約法、労働組合法の知識だけでなく、広く判例の動向やその到達点を認識しつつ、日々変化する労働関係における制度・慣行や雇用・経済システムの変容を踏まえた労働紛争解決のための基礎的な労働法の知識・技能の養成を目的とする。
履修条件 特になし。
到達目標 カリキュラムマップ、到達目標科目対応表及び学修ロードマップを参照のこと。
授業の概要 労働基準法、労働契約法、労働組合法を中心として、法律の内容および基本判例の理解を定着できるレベルとする。労働法の体系に応じて、法律の基本枠組と主要論点を確認する。そこでは、学説と基本判例の内容を学習するが、労働法上の判例法理は、独立したものではなく、労働契約の法理論の中で体系的かつ整合的に理解する必要があり、判例によって形成されて労働法の法理論を正確に理解することを目標とする。労働法上の主要論点およびそれに対する基本判例の考え方を十分に理解することに重点を置く。なお、労働法の場合、最高裁判例に限らず、下級審の判決も広く取り扱うこととする。
授業の概要(英語) In this course, we discuss essential legal matters of Japanese labor laws.
授業計画 第1回 総論/労働者・使用者の概念
労働法の体系と分野、労働法の特質、労働法の当事者(個別的・集団的労働関係における労働者・使用者)、労働条件決定システム(労働契約、就業規則、労働協約、労働慣行)と強行法規
第2回 募集・採用/パートタイム・有期契約労働・労働者派遣
労働者の募集・採用、採用内定(内定取消、内内定)、労働条件の明示、試用期間(本採用拒否)、労働契約の期間とその上限、無期転換ルール、期間満了と更新、パートタイム・有期契約労働者、不合理な労働条件の禁止、派遣労働者
第3回 労働契約の基本原理/平等原則
労働契約上の権利と義務、労働者の人権と自由の保障(賠償予定の禁止など)、均等待遇、男女同一賃金の原則、男女平等法理と雇用機会均等法、セクシャル・ハラスメント、障害者雇用
第4回 就業規則とその変更
就業規則の機能と内容、就業規則の作成・意見聴取・届出・周知、就業規則の効力、就業規則による労働条件の不利益変更、合理性の判断基準とその適用
第5回 労働組合
労働組合の成立と性格、労働組合の要件(目的性、自主性、民主性)、加入と脱退、ユニオン・ショップ、組合費(チェック・オフ)、統制処分、便宜供与、組織変動と組合財産
第6回 団体交渉
団体交渉の当事者・担当者、団交事項の方式、団体交渉事項、誠実交渉義務と団交拒否の正当理由、団交拒否の救済、労使協議と苦情処理
第7回 労働協約
労働協約の成立要件、労働協約の規範的効力・債務的効力(平和義務)、労働協約の拡張適用(一般的拘束力)、協約終了後の法律関係
第8回 賃金・一時金・退職金/昇進・昇格と人事考課
賃金の定義と意義、賃金の決定、賃金支払いの諸原則、賃金の減額・変更、賞与の支給要件、退職金の減額・不支給・不利益変更、休業手当、昇進・昇格、人事考課
第9回 労働時間・休憩・休日・時間外労働
労働時間の定義、法定労働時間、変形労働時間制とフレックスタイム制、労働時間算定の特別既定、時間外労働と割増賃金、休憩・休日
第10回 休暇・休業/安全衛生と労災補償
年休の取得と時季変更、育児休業・介護休業、産前産後休業、休職、労働安全衛生法と労災保険法、業務上・外の認定、過労死(脳・心臓疾患)・過労自殺の労災認定、通勤災害、安全配慮義務、職場でのいじめ・ハラスメント
第11回 配転・出向/企業組織の変動
配転・転勤(職務・勤務地の変更)、在籍出向と転籍出向(出向命令の要件、出向労働関係)、昇給・昇格・降格と人事考課、合併・営業譲渡・会社分割
第12回 企業秩序と懲戒
懲戒権の根拠、懲戒の種類(譴責、戒告、出勤停止、減給、懲戒解雇)、懲戒事由(業務命令違反、経歴詐称、企業外非行、内部告発)、組合活動と企業秩序、労働者のプライバシー、内部告発
第13回 解雇と労働契約の終了
法令上の解雇規制、解雇の社会的相当性、整理解雇法理、変更解約告知、違法解雇の救済、退職の意思表示、辞職とその制限
第14回 団体行動(組合活動と争議行為)
組合活動と争議行為の意義と概念、争議行為の正当性、争議行為と賃金、争議行為と責任、ロックアウト、労働争議の調整、労使紛争の解決手続
第15回 不当労働行為
不当労働行為制度の意義と目的、不当労働行為の構成要素と態様(不利益取扱い、団交拒否、支配介入)、複数組合併存下の不当労働行為、行政救済と司法救済
授業の進め方 広範な内容を限られた時間内で講義するので、十分な予習と復習が必要となる。そこで、講義に先立って、レジュメ(講義の要点、関連判例の重要部分)を配布するので、レジュメとテキストの内容をしっかりと予習しておくこと。また、必要に応じて『TKC法科大学院教育研究支援システム(e-learning)』を利用して予習について連絡する。講義の際、定期的に中間テスト(ないしミニレポート)の課題を出して、基礎知識の定着度や授業内容の理解度を確認する。中間テスト(ミニレポート)は、成績評価の対象とする。
教科書及び参考図書等 テキスト:『労働法の世界(第13版)』 中窪裕也・野田進 有斐閣 2019年
資料:毎回、事前にレジュメ(講義の主な内容と関連する裁判例)を配布する。
参考書:『判例労働法入門(第7版)』野田進・柳澤武・山下昇 有斐閣 2021年
試験・成績評価等 中間テスト(ミニレポート)と期末試験を中心に(中間テスト(ミニレポート)の評価40%、期末試験での成績評価60%の配分)成績評価を行うが、出席状況や授業態度により加点・減点を行うことがある。
事前学習 レジュメとテキストの内容をしっかりと予習しておくこと。また、必要に応じてメール等で予習について連絡する。第1回目の講義では、テキストの第1章から第3章までの内容を取扱うので、事前にテキストを熟読しておくこと。
課題レポート等 講義の際、講義内容に応じた中間テスト(ミニレポート)の課題を出して、基礎知識の定着度や授業内容の理解度を確認する。中間テスト(ミニレポート)は、成績評価の対象とする。
オフィスアワー 講義終了後(10:10~11:40)に行うが、それ以外にも、メールなどで希望時間や質問などを連絡の上、オンライン方式で質問に応じる。
その他