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教育内容・方法

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シラバス

科目名
  • 授業科目名ロイヤリング・法交渉
  • 授業科目名(英語)Lawyering and Legal Negotiation
  • 標準学年2・3年次
  • 必修・選択の区別選択
  • 単位数2単位
教員名 宇加治 恭子 ( UKAJI Kyoko )
時限 火 , II ( 10:30~12:00 )
授業の目的  弁護士(法曹)が現実の事件に対応する際には、法律の専門知識だけでなく、クライアントとのコミュニケーションを通じ、そのニーズを把握しながら、問題への柔軟かつ創造的な対応を模索していくことが必要です。いわゆるロイヤリング(ローヤリング)の技法は、法的理論にかかわる部分と、クライアント等とのコミュニケーションを通じた関係構築の要素との両方から構成されます。さらに、法曹に必要なコミュニケーションスキルを考えることは、法曹としていかなるスタンスでクライアントとかかわっていくべきかという問題と向き合うことにつながります。
 また、弁護士業務は、法廷での活動に限定されるものではなく、法律相談から裁判外での交渉まで広範囲にわたり、今後そうした傾向はより強まっていくと考えられます。
 本授業では、3部構成で、法曹(特に弁護士)に必要なローヤリングスキルを学びます。
 第1部では、クライアントとの面談場面に即して、弁護士の役割と責務についての理解を深めます。
 第2部では、面談過程について構造的に分析し、効果的なコミュニケーション技法を体感的に習得することを通じて、弁護士に必要とされる面談技法の獲得を目指します。
 第3部では、交渉(ネゴシエーション)の過程を構造的に解析し、その戦略的技法について理解を深めることを目指します。
 こうした技法や構造理解を、単なる技術的マニュアルとしてでなく、現代社会において弁護士が果たすべき役割をめぐる理念にフィードバックさせながら考えていくことを目指します。
 なお、遠隔授業による開講となる場合は、弁護士業務においてもWeb会議の利用が急増していること、民事裁判のIT化が開始されたこと等をふまえ、実務の状況を紹介するとともに、遠隔でのコミュニケーションスキルを学ぶことを授業の目的に加えます。
履修条件 特になし。
到達目標 カリキュラムマップ、到達目標科目対応表及び学修ロードマップを参照のこと。
授業の概要  本授業では、面談技法や交渉技法をめぐるスキルプレイや、ロールプレイを活用しながら、体感的にその構造的理解、技法習得を行っていきます。
 第1部では、面談・交渉に従事する弁護士の役割、クライアントとの関係形成のあり方に関して、技法論の基礎となる理念的位置づけを、事例分析を通じて検討します。同時にカウンセリング論、コミュニケーション論など基礎についても検討します。
 第2部では、法律相談に典型的な面談場面を念頭に、第1部での整理を踏まえながらクライアントと向き合う上で必要なコミュニケーション・スキルや面談の準備について学習し、そのまとめとして模擬法律相談を実施します。
 第3部では、裁判外の交渉過程に関し、理論的に分析した上で、シミュレーションを通じて、法交渉の戦略構造を学習し、模擬交渉を実施します。
 段階的にスキルプレイやロールプレイを行うので、欠席しないようにしてください。
 なお、遠隔授業として実施する場合においては、Zoomの画面共有機能は勿論、チャット機能、リアクション機能、ブレイクアウトルーム機能なども活用する予定です。
授業の概要(英語) Lecture on Lawyering and Legal Negotiation
授業計画 第1部 ロイヤリング(ローヤリング)の基礎
第1回:紛争の構造と展開・法律相談及び法交渉場面において弁護士に必要な知識と技法
 弁護士が法的紛争に対応する場面を検討する前提として、紛争の発生から展開の過程を検討し、ディスカッションしながら、「紛争とは何か」を考えていきます。 また、弁護士は法的知識だけでは実務での役割を果たすことができないこと、専門職として求められる多様な能力・技術があることを学びます。
第2回:リーガル・コミュニケーション
 対話のロールプレイを行い、法曹(弁護士に限らず、裁判官・検察官も含む。)が修得すべきコミュニケーション技術の基本を学び、リーガル・コミュニケーションスキルの重要性を理解していきます。
第2部 リーガル・カウンセリング(クライアントとのコミュニケーション)
第3回:面談コミュニケーションの構造
 弁護士がクライアント(相談者・依頼者)と面談する際のコミュニケーション構造の特質を、ロールプレイを取り入れ、ディスカッションしながら理解していきます。 
第4回:面談の展開①
 面談における話の聴き方、確認の取り方など、コミュニケーションの技法について、ロールプレイを取り入れながらディスカッションを行いし、理解していきます。
第5回:面談の展開②
 ロールプレイを中心に実施し、コミュニケーションの技法について、体感的理解を深めます。
第6回:指示と面談収束の技法
 クライアントの話を聴いた上で、法律家としての指示をどのように出すか、その際クライアントによるその受容を高めるための技法はないかについて、ロールプレイを中心に実施し、体感的理解を深めます。
第7回:面談の終了とその後の処理
 面談の終了とその後の処理の仕方について、架空事例を素材にしながら、ロールプレイを中心に実施し、体感的理解を深めます。
第8回:模擬法律相談の準備
 第3回から第7回までの授業のまとめや質疑応答を行うとともに、第9回第10回で行う模擬法律相談ロールプレイの準備を行います。
第9回:模擬法律相談の実施①
 実務でしばしばみられるような架空事例を素材として模擬法律相談を行います。
第10回:模擬法律相談の実施②
 引き続き実務でしばしばみられるような架空事例を素材として模擬法律相談を行ったうえで、第2部の授業をまとめつつポイントを統合していきます。
第3部 リーガル・ネゴシエーション(交渉相手とのコミュニケーション)
第11回:交渉のモデル(分配型交渉と統合型交渉)
 交渉の社会学的、経済学的モデルについて、架空事例を素材にしたディスカッションを通じて、理論的理解を深めます。
第12回:交渉の戦略と技法① 
 交渉における様々な戦略やコミュニケーション技法について、ロールプレイを中心に実施し、体感的理解を深めます。
第13回:交渉の戦略と技法②
 引き続き交渉戦略や技法について学び、さらに事件類型ごとに交渉戦略や技法がどのような有効性を持つか、持たないかについて検討します。
第14回:交渉ロール・プレイ・シミュレーション①
 架空事例を素材として、チームに分かれて交渉のロールプレイを行い、これまでの授業の内容をまとめ、体感的理解を深めます。
第15回:交渉ロール・プレイ・シミュレーション②
 引き続き交渉のロールプレイを行い、第3部の授業の内容をまとめ、体感的理解を深めます。
授業の進め方 「授業計画」参照
教科書及び参考図書等  教材として、教員が作成したレジュメをTKCに掲載して配布します。第3部の参考図書として、日本弁護士連合会法科大学院センターローヤリング研究会『法的交渉の技法と実践─問題解決の考え方と事件へのアプローチ─』(民事法研究会、2016)を指定します。その他は、講義内で随時紹介します。
試験・成績評価等  ロールプレイ等のシミュレーションを通じた体感的理解を重視した科目であるため、定期試験は実施せず、成績は、授業への参加態度、平常点に基づいて評価します。
 授業参加態度の具体的な意味は、授業時に確認される予習(事前配布レジュメの読み込み等)への取り組み状況、授業での発言状況、模擬法律相談や模擬交渉などのグループワークの取り組み状況、希望制で実施する授業冒頭のアイス・ブレイク・スピーチの取り組み状況(スピーチを行ったこと自体も加点対象とします)、欠席状況(減点の対象となります)などです。
 平常点のより具体的な意味は、毎回の授業終了後に作成・提出する振り返りレポートなどの提出物です。振り返りレポートについては、授業で教員が述べたことをなぞるだけでなく、受講者各自の経験(日常生活、エクスターンシップ、他の科目での学習等)と結び付け、受講者が得た学びについて具体的な言及がなされている場合等を、特に高く評価します。 
 比重は、前者を50%、後者を50%程度とします。
事前学習  TKCを通じて事前に配布するレジュメや資料を読み、疑問点や習得したいスキル、取り組んでみたいロールプレイなどを考えて、授業に臨んでください。
課題レポート等 「試験・成績評価等」参照
オフィスアワー  授業後に質問を受け付けたり雑談をする時間を取る他、電子メール等で対応します。個別にメールで申し込みがあれば、Zoomによる個別面談も可能です。また、振り返りレポートによる質問も可能です。
その他