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法科大学院の概要

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設置の趣旨及び必要性

法科大学院の創設を提案した「司法制度改革審議会意見書」(平成13年6月公表。以下では、単に「意見書」といいます)は、概ね次のような構想を明確にしていました。

まず、第1に、「法科大学院は、司法試験・司法修習などと連携を有する基幹的な高度専門教育機関とする」ことを目的とすること。

第2に、その教育理念としては、次の3点を挙げています。

  1. 「国民の社会生活上の医師」としての法曹に共通して必要とされる専門的資質・能力を修得し、かけがえのない人生を生きる人々の喜びや悲しみに対して深く共感しうる豊かな人間性の涵養・向上を図る。 「国民の社会生活上の医師」としての法曹に共通して必要とされる専門的資質・能力を修得し、かけがえのない人生を生きる人々の喜びや悲しみに対して深く共感しうる豊かな人間性の涵養・向上を図る。
    1 「国民の社会生活上の医師」としての法曹に共通して必要とされる専門的資質・能力を修得し、かけがえのない人生を生きる人々の喜びや悲しみに対して深く共感しうる豊かな人間性の涵養・向上を図る。
  2. 専門的な法知識の確実な修得を図り、その批判的検討力、創造的な思考力、法的分析能力や法的議論の能力等を育成する。 専門的な法知識の確実な修得を図り、その批判的検討力、創造的な思考力、法的分析能力や法的議論の能力等を育成する。
    2 専門的な法知識の確実な修得を図り、その批判的検討力、創造的な思考力、法的分析能力や法的議論の能力等を育成する。
  3. 先端的法領域についての基本的理解、また、社会問題に対する関心、法曹としての責任感や倫理観、さらに社会への貢献を課題とする。 先端的法領域についての基本的理解、また、社会問題に対する関心、法曹としての責任感や倫理観、さらに社会への貢献を課題とする。
    3 先端的法領域についての基本的理解、また、社会問題に対する関心、法曹としての責任感や倫理観、さらに社会への貢献を課題とする。

第3に、制度設計については、以下の8点を基本にすることを求めていました。

  1. 1 適正な教育水準の確保、関係者の自発的創意、全国的適正配置。
  2. 2 学部法学教育との関係の明確化。
  3. 3 幅広くかつ高度の専門的教育と実務との融合。
  4. 4 実務修習の別実施を前提とした司法試験及び司法修習との有機的な連携。
  5. 5 実務法曹や実務経験者等の適切な参加、実務との密接な連携、実社会との交流。
  6. 6 他学部・他大学の出身者や社会人等の受入れにも十分配慮し、オープンで公平なものとすること。
  7. 7 資力のない人や社会人、法科大学院が設置される地域以外の地域の居住者等にも法曹となる機会を実効的に保障配慮すること。
  8. 8 適正な運営の確保及び教育水準の維持・向上を図るための公正かつ透明な評価システム。

この構想は、その教育理念はもちろん、制度設計についても、法科大学院のあり方について評価できる内容になっていると考えています。特に後者について、「公平性、開放性、多様性」を基本理念とし、1、6、7でその実質化を目指す方向性を具体的に確認している点は重要です。

しかし、なお、2では明確化が求められているだけであり、4では、「実務修習」や「司法修習」として何が想定されているのかが必ずしも明確でない、等、最終的にどのように制度化されるかによって、基本設計の評価に大きく関わる論点が残されていたことも間違いありません。また、入学定員を法曹人口との関係で限定するといった発想が持ち込まれるならば、法科大学院を設置する意味を根本的に阻害する危険性もありました。

九州大学大学院法学研究科(当時)では、上記「意見書」の公表より早く、司法制度改革審議会での検討が開始された直後の平成11年秋にいち早く連続シンポジウムを開催しました。このシンポジウムで、良質の法律実務家を養成し、社会的な増員要請に応える一翼を担うことこそ法学専門教育に当たってきた大学の社会的責務であるという立場を明確にし、以後法科大学院の開設へ向けた検討に入りました。平成13年9月には、独自に法科大学院の具体的制度設計を試みた「『九州大学法科大学院(仮称)』制度設計試案」を公表し、その後、全学的な議論を重ね、平成15年4月には、それまでの議論を「『九州大学法科大学院』設置計画概要」にまとめ、設置を計画・申請し、平成16年4月に九州大学法科大学院を開設しました。