2006年01月23日

第26(最終)回 論文発表会

最終回となる今回は角松先生が神戸から駆けつけてくださり、恒例の論文発表会が行われました。最終的に提出された論文タイトルと要旨は以下の通りです(各ゼミ生から送信された要旨をそのまま掲載しています)。

○「指定管理者制度と博物館運営」(本馬)
指定管理者制度は、行政事務の新たな民間委託制度として2003年度に創設された。しかし、「民間にできること」と「民間に任せるべきこと」の区別が十分に為されないまま、新制度が導入されていくことが懸念される。私の故郷長崎県では、博物館に指定管理者を導入し、全国の博物館関係者の注目を集めている。そこで、博物館の運営の在り方を考えながら、指定管理者制度の内容や問題点について検討することにした。
現在全国の自治体で指定管理者制度の導入が進んでいる。なかでもスポーツ施設や社会福祉施設などでは、早くも自治体財政その他における効用が現れているところもある。一方、博物館事業の委託の結果は、導入施設数自体が少ないこともあって未知数である。しかし、学問的専門性の高い博物館には、そもそも民間委託に対する否定的意見が強く、民間の受け皿も成熟していないのが実情といえる。筆者も博物館の役割について調べた結果、博物館本来の役割を果たすためには、指定管理者制度によって運営されることは難しく、公立直営の博物館の存続が必要と考えた。
それにもかかわらず、博物館の学問的専門性を含めた民間委託が可能になったのは、行政活動を適切に評価する仕組みが未整備なためである。今後は、数字で評価することが難しい文化行政も含めた、行政評価制度の整備と理解を深めることが大きな課題といえる。

○「介護保険制度における高齢者福祉施設」(岩橋)
昨年、2005年は介護保険制度にとって大きな意味を持つ年であった。団塊の世代の要介護化に対応するために、急を要して成立した介護保険を見直す年だったからだ。そして実際に見直しがなされ、様々な変更・決定がなされた。見直しは「持続可能性」、「明るく活力のある超高齢化社会の構築」、「社会保障の総合化」という三つの基本的視点からなされたが、その中でも最も注目されたのは、急速な少子高齢化が進んでいく中でいかにして制度を持続させていくかという「持続可能性」、殊に、多くの介護保険費が投入されている介護保険施設のあり方だった。居宅サービスにかかる費用は施設サービスに比べ、一人当たり一ヶ月でおよそ25万円ほど安く、そのため、施設から居宅重視への介護へと転換することにより、大幅なコスト削減が可能となる。しかし、依然として利用者の施設に対するニーズは多く、居宅ケアへの転換は容易には行われそうにない。このように介護保険費の確保と利用者のニーズという二つの視点に馴染むような施設のあり方として、見直しによる変更・決定の分析を踏まえたうえで、筆者は地域に根ざした施設集合体を提案する。これは制度見直しによって得られた長所を持ち合わせ、残された課題に応えつつ、利用者の真に求めるサービスを提供する一方で、居宅と施設を結びつけ、居宅ケアへの自発的・自立的な移行を促し、制度の持続可能性にも貢献することを期待するものである。

○「九州大学伊都キャンパス周辺のまちづくり」(小嶋)
九州大学は平成17年の10月に工学部の一部が福岡市西区の伊都キャンパスに移転した。これから約15年かけて統合・移転する予定である。伊都キャンパス周辺では、新駅の建設や道路整備などまちづくりが始まってきている。キャンパス周辺のまちづくりについては九州大学学術研究都市構想が提案されており、キャンパスの周辺地域を土地利用の基本的考え方によって5つのゾーンにわけ、将来像の実現のための開発の規制・誘導を示している。
また本稿では大学と周辺地域の関わり方にも注目してみた。地域が大学に期待することとして、第一に人口特に若者の増加による地域の活性化、第二に産学連携による産業の活性化や大学関係者による消費や大学施設の整備等の経済的効果、第三に大学施設の開放や地域住民の学習の場の提供といった文化的支援が挙げられる。
大学移転の前例として筑波大学と広島大学をみてみると教育研究機関の整備を重視しすぎて都市基盤の整備が追いつかずにまちの活性化に支障をきたしたり、大学移転とまちづくりが同時並行で行われた場合に明確な計画を立てていなかったために構想通りにいかなかったというような問題が発生していた。伊都キャンパス周辺のまちづくりにおいてもこれらの問題は十分に発生しうることである。さらに伊都キャンパス周辺のほとんどは市街化調整区域に指定されているが、各都道府県に柔軟な開発許可制度の運用が認められたことで市街化調整区域でも比較的開発が行われやすくなるおそれがある。今後は地域の状況に応じた柔軟な基準や開発の規制・誘導方策や地域ごとに開発の方針など明確な将来像を持つことが重要になるであろう。

○「市町村合併のその後」(堤)
きっかけはともかく私は市町村合併の詳細を知らないのでまず市町村合併とはなにかという地点からまずはそこからスタートする。今回の平成の市町村合併は当自治体だけでなく、日本のこれからの分権政治や財政改革に大きな関わりがあり、その手段に過ぎないという背景が浮かんでくる。そこで平成の市町村合併が騒がれてからしばらくたった今、「篠山市」と「栄村」という二つのまったくタイプの違う自治体を取り上げてそれぞれが抱えている問題を検証した結果、その目的である財政面に当たる地方交付税制度「見直し」が、手段である市町村合併によって「ムチ」という国による地方の誘導という性質に変質し、それにより本来の地方交付税制度の本質である財政保障・調整の必要性が生まれてくるという矛盾が発生していることに気づいた。
地方交付税制度の本質にかえり、財政地保障・調整を優先したいが、何よりそうするだけの財源がなく、また過剰になりすぎて交付税の補助金化という事態にもなりかねない。そこで第三者機関を設けて民主的決定を促すよう提言してみた。ただ総額(財源不足)の問題は手づまりで結局増税にすがってしまった。

○歴史的景観の保存と生活空間の共存(土井)
近年、日本全国で歴史地区の価値が見直され、各地方自治体独自の政策により、保存が行われている。しかし、その多くが歴史的外観を残すだけの保存方法となっているため、歴史地区の観光地化を招き、将来は歴史的景観のみが残り、そこに培われてきた文化や生活の失われた「歴史地区の博物館化」がもたらされようとしている。本来、歴史地区保存とは、歴史的景観を残す町並みの中で、現代の生活が営まれ、歴史の継続性が感じられるものでなければならない。しかし、文化財保護法や景観法を始めとする現在の法制度は、そのような継続性の維持を促すものとはなっていない。
そこで、現行法制度の検討と、京都市を例にした歴史地区の現状分析を踏まえて、博物館化を防止するために行政に期待される役割を検討した。歴史地区の博物館化を防ぐためには、歴史地区の景観保存と生活空間の共存が欠かせない。そのために、行政に期待される役割として、第一に、景観維持を目的とした相続税の軽減措置、建造物の修繕・維持ための補助や優遇的融資制度、耐震性強化への支援措置などの法整備を行うこと、第二に、伝統的建造物の居住空間としての魅力作りに取り組んでいる市民やNPOなどの活動を支援すること、第三に、コミュニティとしての機能を高めるため、歴史地区の生活基盤の整備(観光産業との調和・公共施設の整備など)や伝統的文化を奨励することが必要である。

○電力自由化(友石)
この論文では、電力自由化における新規参入者の送電網利用における公平性を中心に検討した。昨年高圧50kW以上の需要家に対する自由化が行われた。2007年には全面自由化も検討される。しかし、電力自由化に伴って、安定供給は確保されるのか、環境問題との関係はなど問題も多々ある。その中でも、電力自由化において既存業者の持つ送電網が公平に利用されなければ競争は起こりえず、また、送電網の利用を一歩間違えるとネットワークの破壊にもかかわり、電力供給の安定性にも影響する。そこで、現在導入されているネットワーク利用における中立機関の設置や経理区分といった送電網の利用の公平性維持のために導入された制度について検討した。そして、送電部門の中立を保つために、送電部門の管理運営を電力会社から分離させるという組織的分離を提案する。

○学部における教育(鳥居)
もともと教育に関して興味があったので、教育制度に特有な法理論の体系であると定義されている教育法に関して検討を行った。そのなかで、平成3年に大学設置基準の大綱化がなされたことから、カリキュラムの変更が可能であることを確認した。そして、現代社会が抱えている問題というのは超領域的であることから、教育的にも自分の専門のみならず、他の周辺分野への理解が必要となるという要請も同時にあることから、学部教育における学際化を念頭に置き、そういった要請に応えるカリキュラムの変更はできないかを検討した。最後に(1)専門教育と教養教育のバランス、(2)提供される教養教育の内容、質及び量、(3)組織的問題、(4)学部の改変に関して大学への提言を行った。

○ローカルマニフェストによる自治体改革(鳥飼)
現在、わが国における地方自治は多くの問題を抱えている。また、当事者である住民の関心も非常に低い。そうした中で、首長選挙の際に具体的な公約を示すローカルマニフェストが脚光を浴びている。これにより、政策本位の選挙が実現され、住民の自治に対する意識を喚起させることで自治体は大きく変わるのではないかと期待される。そこでまず、マニフェストの作成や利用のしやすい環境を整える。ただし、マニフェストも、個別の政策の正当性や二元代表性の下のもう一方の代表機関である議会との関係で限界を抱えている。この限界を超えるために、まず市民参加の上でマニフェストを自治体の総合計画とすること、また、マニフェストを基にした議会との議論を経て、自治体としての意思を形成しそれに基づく行政運営が可能とするための仕組みを、各自治体が条例などで整えることを提案する。そして、選挙による政策選択→市民参加の下での計画化→議会における審議・議決→政策遂行の評価→選挙による審判という流れを確立することで、住民の意思が各過程において反映される、人民自治の実質化を図りたい。そうして、住民の意識の高まりや議会の政策構想能力の向上がうまくいけば、分権時代に対応できる、受け皿としての自治体が出来上がるのではないか。ローカルマニフェストはそこに至るための入り口であり、道具である。

○高齢者の所得保障としての生産年齢人口維持(中島)
日本の超高齢化の進展に伴って、私は介護保険や年金などの高齢者を対象とした社会保障の財源確保に大きな不安を感じていたので、その対策として高齢者の所得保障としての生産年齢人口の維持をテーマにした。
第一章では今回のテーマの根幹である社会保障制度の歴史と日本での発展を概観した。第二章では生産年齢人口の維持の手段として①移民の利用、②少子化対策の2つの案について検討した。どちらも簡単に生産年齢人口の維持の手段とはできないが、それぞれの中の問題をひとつずつ解決していき、現在ある制度の改正という結論を出した。第三章では第二章で取り上げた法律的な要素とは別に、企業にできる措置として年功序列型賃金の再評価とロボットの利用可能性を上げた。

○公共図書館と指定管理者制度(三角)
本論は、2003年「地方自治法の一部を改正する法律」によって創設された指定管理者制度の導入が公共図書館の運営にどのような影響をもたらすかを考察し、あるべき方策の一端を見出すことを目的としたものである。
構成については、第1章で題材選定の動機及び問題意識を述べて本論の目的を明らかにし、第2章で指定管理者制度の対象となり得る公共図書館の意義、法制度、現状及び生涯学習との関連を考察することによってその特質等を検討した。続く第3章では、指定管理者制度について、従前の管理受託制度との比較や個別公物法との関係、指定に際しての具体的な手続きについて詳細に記述し、また、同制度導入の経緯をまとめた。そして、第4章では、第2章及び第3章での記述を踏まえ、既存の法体系と指定管理者制度との緊張が生じている局面に触れることでその法制度上の問題点を指摘し、続いて指定管理者制度を図書館の管理運営に導入した場合のメリット及びデメリットを検討してあるべき姿を探り、また、仮に導入することとした場合に留意すべき点などについて検討を加え、第5章でこれらをまとめた。
以上の過程を経て得られた本論の結論は、図書館への指定管理者制度の導入を慎重に考えるべきであるという立場に立ちながらも、そのメリットの認めるべきところは認め、導入に際しての方途を考える一方で、公的部門に保留しておくべき事柄が存在することも指摘するというものである。

○DV被害者の保護(屋良)
今日、女性・児童・老人・障害者といった、社会的に弱い立場にあるものはどうしても存在しうる。そのなかでも本論文では、DV被害にあう女性の保護について考えていく。
女性は法的視点から見て、非常に不遇な立場におかれてきた。その中で今回、DV防止法という女性を優遇するとも言えるような法律がようやく成立した。
DVとは「夫から妻への、もしくは恋人などの親密な関係の男性から女性への暴力」のことである。様々な要因から、DV被害にあう女性はその暴力から抜け出せないでいることが多い。また、その被害は妻だけでなく、子どもにまで及ぶこともしばしばある。このような被害をなくすため、DV防止法が立法されることとなった。
DV防止法の内容としては、配偶者からの暴力にあう女性を保護し、その保護規定を破ったものに罰則を与える旨を定めている。また、DV防止に向けての国の指針や対応についても定めている。
DV等、虐待防止を論じるうえで、必ず挙がってくる問題点に「民事不介入の原則」というものがある。警察等国家機関は「家庭には立ち入らず」の原則を楯に、DV等を取り締まることはほとんどなかった。しかし、そもそも、民事不介入の原則は虐待等を取り締まることを規制するものではない。よって、DV防止法により国家が家庭に立ち入ることは問題がないといえる。
もしDV被害に会ったときは、恥ずかしがらず、まず誰かに相談する。そして、身の危険を感じたら避難できるということを決して忘れてはいけない。
DV防止法が成立し今後DVが取り締まられていく最低限の基盤は整ったといえる。しかし、加害者サポート等、改良の余地はまだまだ残されている。DV防止への取り組みはここで終わりを向かえたのではなく、スタートラインに立ったに過ぎないことを忘れてはいけない。

2006年01月16日

第25回 高齢者福祉施設(岩橋) 行政と民間の役割分担(小澤)

報告によれば、2000年に始まった介護保険制度は今、年々増加する利用者への対応を迫られています。具体的には財源確保・制度維持という課題があり、これらの克服手段として、コストの高い介護保険施設でのケアから在宅ケアへの移行、または施設でのケア費用(ホテルコスト)に対するの被保険者負担増が考えられています。しかし報告者は、ホテルコスト自己負担の実効性を疑問視し、介護保険施設について地域密着型の施設集合体という在り方を提案しました。これに対し、施設集合体の具体的な内容や、施設統合の必要性・可能性・有効性に関する懐疑的な意見がありました。先生方には、私見を持つのは非常に良いが、資料は一方の見解に偏らないよう注意して読むべしとの御指摘でした。さらに全員に言えることとして、話の作り方と並べ方にはもっと工夫が必要とのことです。提出まであと1週間足らずですが、最後の形を整えましょう。
なお、報告者の一人小澤君は病欠です。

2006年01月10日

第24回 市町村合併のその後(堤) ローカルマニフェスト(鳥飼)

今回の報告は、ローカルマニフェストを活用して地方分権を促進するという構想と、市町村合併の意義や効果に関するものでした。両者とも未知の知識が多く、質問をしにくいところでしたが、ローカルマニフェストの内容自体や、土木工事などの実施主体によって費用負担が違うなど、興味深い点が多くありました。前者ではローカルマニフェストの実効性が、後者では専門的な財政の仕組みに関する理解などが今後の課題のようです。また、報告の時間配分や形式の面に厳しい注文がつきました。

2005年12月19日

第23回 文化財保護(土井) 九大伊都キャンパス周辺のまちづくり(小嶋)

今回の報告では、京都の歴史地区の町並み維持問題、九大キャンパスの移転先におけるまちづくり問題と、両者とも「まちづくり」にかかわるテーマでした。
前者は京都での取材も交え、伝統的な町並みを維持するには町家が居宅であり続けることが望ましいが、文化財保護行政の優遇措置と規制の不備などが原因で困難な現状にある、という報告でした。行政は何ができるのか、何をすべきかが今後の検討課題です。
後者では移転先の住民かつ九大生としての立場から、大学の研究都市構想と、構想の実現過程はまだ不透明で課題が多いとの報告がなされました。確かに対象が漠然としているため、問題意識をもう少し深める必要があるようです。
レジュメに関しては、多くの専門雑誌が脚注に上がり、また構成の完成度といった面からもパワーアップしているとのことでした。さらに言えば、今度は情報を疑ってみる段階に来ている、あるいは実地で詳しく調べてくるべきとのご指摘がありました。

2005年12月12日

第22回 指定管理者(本馬) 指定管理者(三角)

今日の報告は、それぞれ図書館、博物館における指定管理者制度の運用がテーマでした。
図書館、博物館が現実に果たしている役割などにも言及しつつ、それが法律上どのように運営されているのか、また、官と民のそれぞれのメリット・デメリットは何か、が報告の中心となりました。

先生方からは、

・内容面は充実しているのでその構成に気を配ること
・他の類似制度との比較
・民間に委託するならばどのような条件をつければよいか

などを意識したほうがよいとのことです。

2005年12月05日

第21回 DV防止法・児童虐待防止法(屋良) 受刑者の処遇(松永)

DV防止法に関して、弱者の中でも特に女性を保護する法律という観点から報告がありました。被害者や暴力の定義がまだ不十分なことから、この法律によってDVを防止できるかというと必ずしもそうではないようです。先生方からは実態調査や法律学的データが足りないというご指摘があったものの、合格点のついたレジュメは初めてでした。
受刑者の処遇については、受刑者の生活維持のために税金を投入するという仕組みに対する問題意識から報告がなされ、刑務作業への賃金制の導入や民間委託などの具体案が出されました。ただし、刑務所の生活がそれほど良いものなのか、国民の意識がどうなっているのか、また民間委託の危険性など、現状で一体何が問題となっているかを主張する根拠が不足しているということでした。

2005年11月28日

第20回 電力自由化(友石) 介護と行政(西田)

電力自由化については、独占禁止法の関係、現在の状況などが報告され、介護と行政では、介護保険制度の持続や都市のコンパクト化といった視点から報告がありました。
大橋先生からは、まだ行政法総論をはじめとした法的観点からの報告ができてない、とのことです。

2005年11月14日

第19回 高等教育と行政(鳥居)

日本の高等教育の現状を、政府予算などの諸外国との比較、中教審の中間報告などを素材として報告され、専門性を重視すべきとの主張がありました。
質問としては、
・実学しか必要でないのか、また実学をわざわざ大学でやる必要があるのか。
・専門性を高めると蛸壺型の教育になってしまうのではないか。
・実際に企業側からそれほど専門性のある人材の需要があるのか。
などがありました。
原田先生からは、学部教育では自分で考える力、疑ってみる力を身につけて欲しい、大橋先生からは、一つの体系的な分野を深く学ぶことで、他分野への対応力がつくのではないか、との意見がありました。

2005年11月07日

第18回 障害者自立支援法案(濱崎) 子育て支援・人口維持政策(中島)

障害者自立支援法案の報告では、障害者の経済的な実情について報告がありました。それに対する質問としては、経済的支援と障害者の人権の関係について、具体的には、作業所で働いてもらうよりも直接現金を支給したほうが経済効率的であること、などが出ました。
一方、人口維持政策の報告では、国際労働力利用の問題点、子育て支援の現状など報告されました。それに対して、国際労働力の問題点の検討が甘い、報告の意図が人口維持なのか人口構造の改善なのかが見えない、などの指摘がありました。
先生方からは、該当分野の基本書をきちんと読むこと、問題意識をきちんと伝えることなど指摘がありました。

2005年10月31日

第17回 団体訴訟(河野)

学部ゼミ生1回目の報告テーマは、夏合宿のテーマの一つでもあった「団体訴訟」でした。しかし、今回は自分でゼミ論文のテーマを設定しただけに、「なぜ団体訴訟が行政事件訴訟において必要なのか」という点に質問が集中しました。

2005年10月24日

第16回 社会保険料負担と企業の社会的責任(細見) 源泉徴収制度の問題点(篠原)

「社会保険料負担と企業の社会的責任」と「源泉徴収の問題点」の両報告は共に、国と個人の間の中間項としての企業をどう捉えるか、ということが問題となっています。そこで、それぞれ企業が負担する場合、個人が負担する場合、双方のメリット・デメリットについて意見が出されました。

2005年10月17日

第15回 透明性原則の行政法学的考察(中尾)

今回の報告は、行政における「透明性原則」という法の一般原則を憲法理念にまで高められるのではないか、ということでした。意見としては、現状の問題点がはっきりしない、憲法理念に高めることによるメリットは何か、などが出ました。

2005年10月03日

第14回 ゼミ論テーマ発表

夏の合宿以来のゼミとなった今回は、ゼミ論のテーマを発表しました。皆、独自のテーマを選んでおり、自分の発表のことを考えなければ随分楽しそうなものになりそうです。それぞれ異なる課題について取り組むことになりますが「運命共同体」として一緒に頑張りましょう。

尚、角松先生が参加されるのは今回で最後ということになります。今までご指導ありがとうございました。と、いうわけですが、今後も時間の都合がつけばウェブ上でコメントをいただけるということで、これからも引き続きよろしくお願いします。
又、今回のゼミの参加はありませんでしたが、ラプシュさんともお別れになります。ありがとうございました。

第14回 ゼミ論テーマ発表の続きを読む

2005年09月20日

大橋ゼミ東京OB・OG会

大橋ゼミ11・12期で東京に在住している人を中心に,東京銀座でOB・OG会を開催しました。参加者のみなさま,お疲れ様でした。

2005年09月07日

角松先生送別会

9月末をもって九州大学を去られ,10月から神戸大学に移られる角松先生の送別会を開催しました。現役のゼミ生のみならず,今年3月卒業(12期),さらにその前の(8期)OB・OGの方なども参加し,30人近い規模でのコンパとなりました。

2005年08月05日

ゼミ合宿(アルバム)

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ゼミ合宿

ゼミ合宿風景
今回のゼミ合宿のテーマは,行政事件訴訟法の改正によってもなお積み残されている課題のうち,次の4つ
・行政立法の司法審査
・行政裁量の司法審査
・団体訴訟
・行政とADR
について,もし改正法を作るとしたらどのような条文が考えられるのか,その立法作業をすることでした。

どのグループも判決文や論文をさまざまに検討し,自分たちの頭で考えることがよくできていました。他方で,既存の枠組にとらわれすぎてせっかくの着想を生かせていなかったり,現行法の限界についての詰めが甘かったりした部分もありました。これらは後期のゼミ論文作成のなかで能力を高めていって欲しいと思います。

2005年07月11日

第13回 圏央道事件本訴一審(東京地判2004年4月22日判例時報1856号32頁)(土井)

環状自動車道路の事業認定と土地収用裁決のそれぞれの取消の訴えが併合審理された事件で、 事業の適法性に関して、『黙示的前提要件』という独自の要件を打ち出した判決でした。 国の認定する事業では、営造物に瑕疵のないことが当然の前提なので、この前提を満たさない 事業=瑕疵ある営造物の設置を目的とする事業に対する認定は即違法となるというものです( 先生曰く『一発退場』)。営造物の瑕疵とは受忍限度を超える被害の発生を指しますが、この ような被害の発生がその危険性に留まる場合でも、行政に調査義務を課しているようにみえる とのことでした。事業認定が違法とされると、次に後行行為たる裁決が違法性を承継するかが 問題となります。 今日の議論では、黙示的前提要件と法定要件についての各判断の際、考慮する事情 が重なってしまうのではないか、なぜわざわざ独自の要件を立てたのか、ということを中心に意見が出ました。

2005年07月04日

第12回 国立マンション訴訟(市村判決)(東京地判2001年12月4日判例時報1791号75頁)(本馬)

この判決では、当時明文化されていなかった義務付け訴訟が一部認容されました。但し、今回の判決では、従前の判例理論で打ちたてられた厳格な三要件(①〔当該権限を行使することの〕一義的明白性②緊急性③補充性)を維持したために①の要件を満たすことができず、義務付け請求は棄却され、不作為違法確認請求のみ認容されるに留まりました。今回の行政事件訴訟法改正により、①の要件は、「一定の処分又は裁決をすべき」こととされたので、その点では今回認められなかった義務付け請求が認められ易くなるのではないかと思われます。報告については、建築基準法の3条2項の既存不適格に関連し、現実的な問題としてどの程度の利害関係が生じていたか等について多く質問が集まりました。また、先生方からは、「法律の議論でなされていることは、誰もが持っている日常的な公正・公平の感覚とは決して不連続なものではない。法学というのは一面では相手を説得・納得させる学問でもあり、法律用語を駆使した専門的な議論も、法律を学んでない一般の方の正義感情に届くよう日常的な言語でわかりやすく説明することができるよう努力しなければならない。」といった趣旨の指摘がありました。自分が普段、法律用語に埋め尽くされた教科書を開く度に感じる敗北感を思い浮かべてみると、この指摘の重要さを身にしみて感じました。

2005年06月27日

第11回 小田急線連続立体交差事業認可訴訟(東京高判2003年12月18日判例地方自治249号46頁)(濱崎)

小田急の複々線(経堂駅付近)(photo taken by M.M.)
東京地裁の某裁判官による判決が出てくるのはこれで2度目です。鉄道の連続立体交差事業に対する認可(旧建設大臣)が取消された判決で、認可処分の前提となった都市計画決定の違法があり、認可にも違法性が承継されたことが理由でした。都市計画決定は行政処分ではありませんが、この違法性を争うために事業認可の取消訴訟が利用されます。もっとも都市計画の裁量に相当な幅があるため、訴訟要件の難関・原告適格を突破したとしても、その違法性が認められることは非常に困難とされてきました。しかし最近、(東京)地裁で国側敗訴の判決が相次ぎ、この判例もそのひとつです。昨年行政事件訴訟法が改正され、処分性のない都市計画も確認訴訟で争う路が開かれました。行政活動が違法・無効とされる機会が増えるかも知れません。ただし、判決で違法とされた都市計画や、事業認可にもとづく土地収用処分などの効力については、今まで取消判決が希少だったため議論されておらず、今後の課題だそうです。関係行政庁は判決に従い計画や処分を取消すべきなのでしょうか(拘束力の問題)・・・。さて、来週・再来週と東京地裁の珍しい(かつ難しい)判例が続きます。他人事にならないよう気をつけて。

※資料
○経堂駅
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○経堂駅からみた複々線(連続立体交差)
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2005年06月20日

第10回 食品衛生法違反通知事件(最判2004年4月26日判例時報1860号42頁)

今回の事例は通達に基づく検疫所長の違反通知に処分性を認めることができるか否か、という点が争われました。最高裁は「通知」に処分性を認めるために、本来、応答義務の無いはずの「届出」に応答義務を認め、また、厚生労働大臣の有する専門性を根拠に「通達」による権限の委任を認めるという論理を採りましたが、原審、また本判決を担当した横尾裁判官の反対意見では、この点につき本判決とは異なり通知に処分性を認めておらず、横尾裁判官は、通知ではなく不受理処分を拒否処分として争えば足りる、としています。「届出」「通達」の本来の枠組を超えた解釈を採った最高裁の多数意見にはやや疑問が残りました。また、行政事件訴訟法の改正との関係では、確認訴訟の利用により今回のように処分性を無理に認める必要がなくなったこと、「計画」「処分」というように二度争うことが可能になるため、違法性の争点の区分けがどのようになるか、という問題が注目されることと思われます。

2005年06月13日

第9回 病院開設中止勧告訴訟(福岡高判2003年7月17日判例タイムズ1144号173頁(岩橋・三角)

今回は二つの法律(医療法、健康保険法)とそれをつなぐ通達(医療計画公示後における病院開設等の取扱いについて)の三つの関係の中での「勧告」の意味が問われ、この判決では行政活動を形式的にではなく実質的に判断し、従来では処分性がないと考えられていた「勧告」に処分性を認める、という帰結が導かれました。今回の報告では、類似判例との比較、改正行政事件訴訟法によりどのような変化が生ずるかの検討などが詳しく行われており、とても評価できるものと思いました。また、先生方からは法を所与のものと考えるのではなく、法そのものの問題点を分析する姿勢が大切である、といった趣旨の指摘がありました。回が進むに連れハードルは高くなっていきますが頑張りましょう。また、授業終了後には合宿のグループ分けをしました。

2005年06月06日

第8回 水道水源保護条例訴訟(最判2004年12月24日民集58巻9号2536頁)(小澤・中島)

ある町が、産廃施設の建設を阻止しようと制定した条例にもとづく認定(事実上の設置不許可処分)をめぐる判例でした。憲法31条にもとづく適正手続の要請に関連して、事前の経過措置を設ける「配慮義務」の存否が争われ、行政庁に配慮義務のあることを認めた判決となりました。この点につき、「立法者の配慮義務」とするジュリスト1289号(2005年)211-213頁の杉原則彦調査官の解説は誤りと思われます。 もっとも、判例は配慮義務について述べたものの、この事件では本件条例が当該産廃施設排除目的で制定されており、条文の質などからそれが明らかなため、行政庁の、民法上の信義則違反ともなりうる態度を暗に指摘しているようです。 本件条例により、事業者は設置許可申請をする、すなわち行政庁と民法上でいえば契約締結段階に入る以前に、町に協議書を提出するという手続を踏む必要がありました。そのため、町(の審議会)が協議書を検討後、実質的な不許可処分となる認定が下され、町と何らかの法的関係を持つ前に設置を拒まれたことになります。したがって、無関係の者の間で信義則を用いることは出来ませんが、本来法的関係に入っていたはずの状況を考慮して、最高裁は結論を出したのではないかということでした(大橋先生)。 判例が本当は何を言いたかったのか、ということを読み取ることを難しさを再三思い知らされています。 そのほか、判決の射程については、国立マンションや山形県個室付浴場事件などの判例を分析した説明がありました。 最後に原田先生が、今後司会は全員の発言促進のため学生にすると宣言され、次回の司会者は松永君が拝命しました。頑張ってください。

2005年05月30日

第7回 学生無年金障害者国賠訴訟(東京地判2004年3月24日判例時報1852号3頁)(屋良・松永)

今回の判決は、原告の方々が学生時代に年金に加入していたか否か、という親しみの持ちやすい話題で(当時の年金加入率など時代状況の差はありましたが)議論がしやすかったように思います。しかし、大橋先生から、まだ傍観的にしかこの事件を見れていないのではないか、と指摘を受けたことを筆頭に、今週も先生方から様々な御指摘を頂きました。ただ今回は前回までに比べ、発言の数も多かったので次回からはさらに深い議論になれば良いと思います。尚、今回はゼミの途中から大橋ゼミ出身で現在、総務省に勤めていらっしゃる先輩に参加して頂きました。お忙しい中、有難うございました。

2005年05月23日

第6回 水俣病関西訴訟(最判2004年10月15日判例時報1876号3頁)(鳥飼・堤)

原告側は行政庁の責任追及のため、第一審から上告審に至るまで、考えうる限りの法的根拠をもって闘いましたが、レジュメにも列挙された条文の中に、追い詰められた水俣病患者の苦悩が伺えるようです。しかし、原田先生のカミナリが落ちてしまいました。問題部分を見極めることにもっと神経を使いましょう。最新判例の場合は、従来のものとの相違、あるいは共通点につき、先例と比較して慎重な射程の検討が必要です。そのほか、学説は丁寧に調べて論者を記すこと、参考文献は必ず個別にレジュメで使われた箇所を示すこと、定義を引用する際は文献の専門分野を確認すること、などのご指摘がありました。続いて中尾先輩からは、必要な条文はレジュメに載せること、行政擁護のための行政便宜主義を原告側が用いたのはおかしいので追及してほしかった、などのお小言(?)を頂いています。最後は大橋先生がとどめを刺されました。文献の絶対量が足りない、古典的名著が挙がっていない。意見には当たり障りのないものでなく、議論を巻き起こすものを考えること。事件の背景にいたるまでもっと深く掘り下げること。明日は我が身ですが、全員の教訓として、詳しく残しておきたいと思います。

2005年05月16日

第5回 じん肺訴訟(最判2004年4月27日判例時報1860号34頁)(西田・河野)

不作為の不法行為の除斥期間の起算点、裁量権収縮論について議論しました。報告は、各審級毎の原告、被告、裁判所の論理について詳しく説明されていた一方、基本的な問題の所在についての言及が少なく、やや理解し辛い面もありました。他者に自分の意見を伝えることの難しさを改めて考え直させられる良い機会になりました。

2005年05月09日

第4回 難民不認定国家賠償訴訟(東京高判2004年1月14日判時1863号34頁)(友石・小嶋)

前回に引き続き、報告の仕方について先生方から様々な指摘がなされました。活字のなかでも信頼できるものとそうでないものがあり、その区別をつけられるようになるべしという教訓は特に印象的です。また、複数の学説に対する学者の立場について、先生方の間で交わされた会話にはついてゆくのが少々大変でしたが、楽しく拝聴しておりました。

2005年04月25日

第3回 従軍慰安婦訴訟(東京高判2003年7月22日判例時報1843号32頁)(鳥居)

今回は従軍慰安婦訴訟を扱い,その中で国家による不法行為の損害賠償責任における「国家無答責の法理」にスポットをあてた議論を行いました。今回のように事実関係が多岐に渡る場合は,論点を絞って考察をする手法も評価できるように思いました。また,報告の方法に関していくつか御指摘を頂いたので,今後の報告で改善できるように頑張りましょう。

2005年04月18日

第2回 大阪市食糧費情報公開事件(最判2003年11月11日判例時報1842号31頁)

(やむを得ぬ事情で)報告者が欠席したため,先生方の質問には全員が平等に発言することになりました。情報公開として氏名を明らかにすべきか否かの分かれ目について,公務員/民間,職務行為/非職務行為,全面公開など,様々な意見が出ました。

2005年04月11日

第1回 ガイダンス

自己紹介のあと,大橋先生より今年度のゼミのコンセプトについてのお話がありました。その後,報告者の決定・ゼミ役員の決定を行い,最後にゼミ報告の方法についてのガイダンスをしました。