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教育内容・方法

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シラバス

科目名
  • 授業科目名労働紛争処理
  • 授業科目名(英語)Labor Disputes Resolution and Law
  • 標準学年2年次
  • 必修・選択の区別選択
  • 単位数2単位
教員名 山下 昇 ( YAMASHITA Noboru )
時限 木 , II ( 10:30~12:00 )
授業の目的 労働法は、もともと労働紛争の解決という実践的目的を有する法領域である。そこで、本講義では、労働法の発展的内容として、具体的紛争の解決事例を数多く分析することにより、労働法をめぐる法的知識・技能の養成を目的とする。
履修条件 原則として「労働と法」の講義を受講していること。
到達目標 カリキュラムマップ、到達目標科目対応表及び学修ロードマップを参照のこと。
授業の概要 本講義では、労働と法での基礎知識・基礎理論の理解を前提として、発展的専門知識、課題の分析・応用能力の到達レベルを目指す。具体的な事案に即して論点を整理し、判例や学説の理論を紛争解決に応用するための考え方を養成するため、事例演習による労働法の学修を行う。
授業の概要(英語) Advanced seminar on labor law.
授業計画 第1回 労働者の範囲・使用者の範囲
働き方が多様化する中で「労働者」はどのように定義され、どのような法的保護を受けるか、労基法上の労働者の具体的判断要素はどのようなものか、持ち株会社、親子会社、業務請負、派遣などでの使用者の責任は誰が負うのか
第2回 採用の自由と試用期間/採用内定
採用の自由はどこまで認められるか、労働契約はいつ成立するのか、採用内定取消はどのような場合に許されるか、試用期間満了に伴う本採用拒否は許されるか、どのような差別が労基法3条違反となるか
第3回 平等原則/パートタイム・有期契約労働/労働憲章
労働者の人格権保護の法的根拠は何か、労働者の健康情報はどのように保護されるか、セクハラに対する法的対応はどうすべきか、労働者の自己決定権はどこまで保護されるか、派遣社員・有期契約労働者の労働義務・契約修了の効力はどのように判断されるか
第4回 労働契約と就業規則/就業規則の不利益変更
労働義務とはいかなる義務か、労働義務に違反した場合の責任はどのようなものか、労働者は何を媒介として労働義務を負うのか、就業規則による不利益変更は認められるか、労働協約による不利益変更は認められるか
第5回 労働組合とその活動
チェック・オフ協定はどのような効力を有するか、労働組合の統制権の根拠と限界はどのように解されるか、ユニオン・ショップ協定は有効か、就業時間中の組合活動は認められるか(懲戒処分の対象となるか)
第6回 団体交渉
団体交渉の対象事項は何か、誠実交渉義務とは何か、団交拒否の正当理由は何か、団交拒否の場合の法的救済として、どのような集団・方法があるか
第7回 労働協約
労働協約の規範的効力はどのようにして労働契約に効力を及ぼすか、一般的拘束力によって非組合員の労働条件を不利益変更できるか、平和義務違反の争議行為に対して懲戒処分を科すことができるか、労働協約には余後効があるか
第8回 賃金
賃金の減額の合意はどのような要件によって認められるか、成果主義賃金は法的にどのように評価されるべきか、支給日在籍要件は適法か、年俸制とは何か、退職金減額・不支給条項はどのような場合に有効と認められるか
第9回 労働時間
労働時間とはいかなる概念か、手待時間や仮眠時間も労働時間といえるか、労働時間と認められた場合の賃金はどのように計算されるか、時間外労働命令権の法的根拠は何か
第10回 休暇・休業/安全衛生・労働災害
年次有給休暇とはどのような権利か、長期の有給休暇に対して、時期変更権は行使できるか、職業病に罹患した労働者はどのような法的救済を受けることができるか、過労死・過労自殺も労災となるか
第11回 人事異動-配転・出向、事業譲渡
配転命令権・出向命令権の法的根拠は何か、いかなる場合に命令権の濫用となるか、人事権の法的根拠は何か、降格は自由になしうるか、病気休職の期間満了時に従前の職務につけない場合には解雇されるのか、会社の組織変動(事業譲渡)より労働契約関係はどのように変動するか。
第12回 懲戒
懲戒権の法的根拠は何か、内部告発者は保護されるか、私生活上の非行を理由に懲戒処分を科しうるか、学歴を低く詐称した場合も経歴詐称と懲戒解雇の対象となるか
第13回 普通解雇・整理解雇・退職
能力不足を理由とする解雇はどのような場合に有効か、整理解雇の4要件とは何か、解雇無効の法的効果はどのようなものか、遡及払い賃金が認められる範囲はどこまでか、有期契約は期間満了によって当然に終了するか、退職後の引き抜き行は違法か
第14回 団体行動-組合活動・争議行為のルール
争議行為の正当性はどのように判断されるか、争議行為に参加していない労働者の就労不能期間中の賃金請求権・休業手当請求権は認められるか、第三者に損害が発生した場合誰が賠償するか、いかなる場合にロックアウトは正当といえるか
第15回 不当労働行為
栄転も不利益取扱いといえるか、使用者の言論は支配介入に該当することがあるか、使用者による労組法7条違反の行為は不法行為となるか、救済命令に対する司法審査はどのような視点から行われるか

授業の進め方 毎回、事例問題をあらかじめ準備し、TKC教育学習支援システムを通じて配布するので、受講者各自が事前に回答(レポート作成)しておくこと。講義では、事例問題に対する解説をしながら、関連する問題点について適宜質疑応答を行う。
教科書及び参考図書等 参考書:『労働法の世界(第13版)』 中窪裕也・野田進、有斐閣
参考書:『労働判例百選(第10版)』有斐閣
試験・成績評価等 期末試験とレポートにより成績評価を行う。レポートの評価40%(1回あたり10%×4回)、期末試験の評価60%の配分。出席状況や授業態度により加点・減点を行うことがある。
事前学習 事例問題について十分予習をし、関連する判例の論旨について確認しておくこと。事例問題は、TKC教育学修支援システムを通じて、1~2週間前までに配布する。
課題レポート等 レポートはA4用紙2〜3枚程度でレポートを作成するものとし、不定期に提出を求め(合計4回)、成績評価の対象とする。
オフィスアワー 木曜日12:00~13:00、六本松の教員室等で質問等に対応する。また、個別にオンライン方式による質疑応答を行うこともある(要相談)。
その他 労働紛争処理と労働法実務はいずれを先に受講しても構わない。