




九州大学法学部へのご招待
九州大学法学部は、法学・政治学教育を通じて、地域社会、日本社会、国際社会でリーダーシップを発揮しうる創造性豊かな人材の養成を目指しています。
そもそも九州大学法学部で学ぶ法学・政治学とはどのような学問でしょうか。人間は社会的動物であり、社会あるところに法あり、ともいわれます。わたしたちが社会生活を営むうえで、何らかのルールを必要としていることは否定できないでしょう。ルールがあれば、他者の行動もある程度予測することができ、比較的安心して日常生活を営むことができます。また社会生活上のトラブルも未然に防ぐことも可能でしょう。仮にトラブルが生じたとしても、ルールに従って解決できます。
法は、社会生活におけるルールの1つです。法学・政治学は、このようなルールがどのようにして作られるのか、作られたルールがどのように維持され、改正されるのか、また、そのルールが社会生活においてどのように理解され、受容されているのか、さらにはどのような歴史を有しているのか、しかもどのようなルールが適正で、どのように運用されるべきなのか等について研究する学問といえます。
近年では社会のグローバル化によって、より多くの日本人や日本の企業が国際社会において活動しています。また世界中の地域の人や企業が日本社会において活動しています。こうしたグローバル化の現象は地域社会でも見受けられます。グローバル化した社会では、多様な文化や価値観を持った人たちと共に仕事をし、生活をしていかなければなりません。その多様な文化や価値観のなかで共生していくためにも、皆が従うべきルールを形成し、解釈し、適用していくことが必要となります。その際、多様な文化や価値観を持った人たちが合意できる価値評価基準は何かが、まさに今問われています。この問題を扱うのが法学・政治学であり、これらの学問的重要性はさらに強まっているといえます。
九州大学法学部では、法学・政治学に関する多くの科目を提供しています。法学関係では、法律学の基本となる「憲法」・「民法」・「刑法」をはじめ、会社法を中心とする「商法」、行政活動を規律する「行政法」、裁判の手続きについて定めている「民事訴訟法」・「刑事訴訟法」のほか、「国際法」や「知的財産法」等を提供しています。また、法の歴史に関する「法制史」、法とは何かを原理的に追究する「法哲学」、法が実際に社会においてどのように運用されているのかを問題にする「法社会学」もあります。
政治学については、政治の原理や理論を検討する「政治学」や政治思想の歴史を扱う「政治学史」のほか、政治・外交の歴史を扱う「政治史」・「外交史」や国際政治や国際関係を分析対象とする「国際政治学」などがあります。
グローバル化時代の要請に応えるために、法学部では2015年度から、「GV(Global Vantage)プログラム」という英語教育にも重点を置いた学部・大学院の一貫教育を実施しています。そこでは1994年に他大学に先駆けて大学院に開設した、英語のみで教育をする国際ビジネスコースでの経験を活かした教育をおこなっています。また2018年度からは、文系4学部(法学部・文学部・経済学部・教育学部)と協力して、学際的な科目や他学部の科目を履修できる「文系4学部副専攻プログラム」を全国に先駆けて導入しました。2023年度からは新たに工学部建築学科を加え、「人社系副専攻プログラム」がスタートしています。このプログラムでは法学部の学生は、人社系学部が提供する科目を広く体系的に学ぶことができます。副専攻プログラムの修了要件を満たした学生には、卒業時に法学部の学位(法学士)に加え、本プログラムの修了証が授与されます。因みに2023年度には文系4学部全体で29名の学生が本プログラムを修了いたしました。さらに2020年度から法学部・法科大学院5年一貫型教育による「法曹コース」を開始しています。
これらの科目やプログラムを履修することによって、九州大学法学部では、ルールの形成、解釈、適用に関する基礎的な知識をしっかりと身につけ、日本や外国の法や政治に関する自らの意見を国内外の社会に向けて積極的に発信できる、地域社会、日本社会、国際社会をリードする人材を養成していきたいと思っています。
九州大学法学部は、法曹(裁判官・検察官・弁護士)、公務員、企業・団体の職員、国際機関やNGOの職員、大学等の研究者などを養成し、社会に送り出してきました。2023年度の卒業生192名のうち、法科大学院等の大学院への進学が30名、国家・地方公務員等が48名、民間企業が86名、その他が28名です。法曹や公務員は言うまでもなく、民間企業でも、契約を中心とした取引先とのトラブルに関する法律、企業の買収や合併に関する法律、銀行・証券・保険などの金融に関する法律、公正かつ自由な競争に関する法律、特許権などの知的財産に関する法律、労働法など、いろいろな場面において法律の知識が必要とされます。
法学部は、1924年9月に九州帝国大学法文学部として創設され、1949年5月に新制九州大学発足に伴い法学部となりました。2024年には法文学部創設100周年を迎えます。これまでに1万9千人に及ぶ卒業生を輩出し、国内外の多様な分野でリーダーとして活躍しています。また法学部同窓会をはじめ、多くの卒業生からは、様々な形で大学での教育及び卒業後の活動を支援していただいております。九州大学法学部は、高い志をもって法学・政治学を主体的に学ぼうとされる皆さんを心から歓迎します。
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九州大学法学部の授業科目は、勉学の中心となる法学部の「専攻教育科目」と、「基幹教育科目」を二本柱としています。「基幹教育科目」は、九州大学が文系・理系のあらゆる学問領域をカバーする総合大学であることから、法学部学生の皆さんにも、この特質を十分に活用して、いわゆる教養教育にとどまらない学際的な学習を期待するものです。社会の高度化・複雑化が進行する今日、法と政治を学ぶ者にとって、外国語科目・情報処理科目等の履修、さらには、経済学・歴史学・哲学・生命科学・工学などの他の専門科目の履修が不可欠であることは、自明とさえいえるからです。これらの科目群は、九州大学全学の教員の協力により実施され、入学後最初の1年間は、主として「基幹教育科目」を履修することになります。
法学部の「専攻教育科目」は、法学部の教員が担当する法学・政治学の専門科目群です。
それぞれ学界等で中心的に活躍中の教授陣が、各自の研究活動を踏まえ、長年の実績・知見からそれぞれに工夫を凝らした教育活動を実践します。九州大学法学部の擁する教授陣には、外国人教員や弁護士など、多彩な顔ぶれが含まれ、日常的に、多様な教育活動が展開されていることも特筆に値します。
入学当初の1年間は、「基幹教育科目」を通じて「大学での学び」に必要な基礎的スキルと知的基礎体力を身につけ、2年次以降の法学・政治学の専攻教育では、積み上げ型に配置された入門・基盤・展開科目を、学生各人のニーズに即して、段階的・体系的に履修することができるのです。
また、2019年には、法科大学院の既修者コースの教育内容と一貫した体系的教育を行う「法科大学院連携プログラム」を開設しました(本パンフレット21頁「法科大学院連携プログラム(法曹コース)の紹介」を参照)。

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九州大学法学部の提供する専攻教育科目は、大きく以下の5つのグループにわけることができます。これらのグループからバランス良く、あるいは必要とあればどれかに重点を置いて学べるように、時間割の配置などで工夫がされています(なお、主な授業科目は年度によって変更されることもあります)。
1. 基礎法学
憲法、民法、刑法といった現行の法律を中心に学ぶ実定法学と異なり、基礎法学は、法の歴史・思想や外国の法律を含めて、より広い視点から法の様々な側面を考察する学問です。現行の法制度を学ぶうえで、こうした視点からの広く深い理解は不可欠で、九大法学部では基礎法学教育を重視しています。
(主な授業科目)
法哲学、日本法制史、西洋法制史、東洋法制史、ローマ法、法社会学、比較法、中国法、情報法、紛争管理論など
2. 公法・社会法学
公法学・社会法学の課題は、国家と市民に焦点をあてた「社会認識」を深めること、および「人権の尊重」や「公共性の実現」が法を通じていかにして可能かを探ることにあります。社会における公正・平等の実現や、市民の主体的参画を可能とする法システムを構想することを学びます。
(主な授業科目)
憲法、行政法、租税法、行政学、労働法、社会保障法、経済法など



3. 民刑事法学
交通事故、医療ミス、傷害・窃盗事件、不法侵入、名誉毀損、少年犯罪…。隣人との紛争、商品や土地の購入、借金、会社の設立…。さらには離婚や遺産相続などなど。このような私たちにとって「身近な」ことがらを法的に検討するのが民事法学や刑事法学です。
(主な授業科目)
民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法、商法、少年法、刑事政策など
4. 国際関係法学
現代において、国際関係の舞台に登場する様々な問題は、私たちの日常生活と密接につながっています。パンデミック対策と出入国管理、環境汚染対策、フィンテック・AI・自動運転技術の社会実装等、日々のニュースで耳にする国際的な諸問題を、法的立場から分析するのが国際関係法学です。
(主な授業科目)
国際公法、国際私法、国際取引法、知的財産法など
5. 政治学
私たちには、選挙をはじめ様々な場面で国や自冶体、あるいは世界の進路について、市民として、あるいは政治家や公務員としてなど、多様な立場から「政策」の決定にかかわることが求められています。政治学は、これらの判断や活動の基盤をなすものの見方を学ぶものです。
(主な授業科目)
政治学、政治学史、政治史、国際政治学、比較政治学、外交史など
少人数ゼミナールの重視
九州大学法学部における教育手法の特色の一つに、大正13年の創立時以来、少人数教育の場としてゼミナール(ゼミ)を重視してきたことが挙げられます。現在も各種のゼミを多数配置し、ことに、3年次・4年次の「高年次ゼミ」は、必修科目として位置づけられ、法学部の教員が各自特色のあるゼミを担当しています。ゼミという場における、教員と学生、学生相互間の活発な討議・研究は、人間的な連繋を深め、まさに主体的に学ぶことの意義を体得しうる絶好の機会といえます。加えて、ゼミ単位でのスポーツ活動、休暇中の合宿、旅行等も盛んに実施されています(本パンフレット10頁、11頁をご覧ください)。

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法学部に入ったからといって、九大では、― 東大や京大も同じですが― 法学の授業がすぐに毎日始まるわけではありません。法学は「大人の学問」とも言われますが、きちんと理解するのが難しいところがあり、いきなり1年生から法学にどっぷり浸かるよりは、最初の半年や1年、歴史学、哲学、論理学などの一般教養(と外国語)の勉学に費やした方が有効だという考えからです。また、せっかく総合大学(University)に入ったのに最初から最後まで専門の勉強のみというのは、もったいないとも言えるでしょう。とはいえ、法学部に入ったのに法学の授業がゼロではそれもまた面白くない…。そこで九大法学部では、1年生の前期に講義科目「法学入門」と「政治学入門」を提供しています。
この講義では、1年生全員が入る大教室で、教員が90分間、延々と一方的に話し続けます。このような授業スタイルには、高校の授業に比べれば約2倍の長さがあるし、先生は教室の前の方でマイクで喋っているし、板書もほとんどないし、出席確認も宿題もない…と戸惑うだろうと思います。

板書やプリントの無いなかで、学生は集中して先生の講義を聞き、何が重要で何が重要でないかを即座に判断し、ノートにまとめていかなくてはならないわけですから、90分講義が終わると多くの学生はヘトヘトになります。しかしこういう努力を続けることによって、他人の難しい(退屈な?)話を聞き、考え、まとめるという、将来どのような分野に進むことになっても必要になる能力を身につけなくてはならないのです。法学部は昔から「潰しがきく」などと言われ、実際さまざまな分野への進路が存在しています(決して全員が司法試験を目指すわけではありません!)が、実はそれは、このような法学教育の(一見すると退屈そうな)スタイルが様々な分野で活躍できる「強い頭」を育ててきたからかもしれません。
法学の勉強は、一に読むこと、二に読むことです。教員が薦めるさまざまな本や論文を読み、考えること(さらに自分の考えたことを友人と議論すること)が法学部では不可欠です。そしてそもそも法律とは、社会を良くするための道具です。したがって、読書好きで、日本や世界の様々な問題に関心がある(=日頃から新聞をきちんと読んでいるような)高校生は、法学部にとくに向いているでしょう。退屈そうに見える講義でも、聞き続け、考え続け、そして家や図書館で読み続けると、あるとき突然面白くなってくるはずです。いかにも昔ながらの大学らしい「法学入門」の講義、どうぞお楽しみに!


皆さんの多くは、法学部では「法」について学ぶことができる、と考えていることでしょう。もちろん、間違いではありません。しかし法学部では、法学だけでなく政治学も学ぶことができます。法学部が法曹養成だけでなく公務員養成という社会的役割を担ってきたため、法学と政治学という二本立てになっているのです。しかし、それだけではありません。二本立てになっているのは、そもそも法と政治が密接不可分であるからでもあります。法は「政治の世界」で制定され、時に解釈・運用されています。他方、政治は「法の支配」という理念の下で行われています。法学と政治学という二本立てになっているのには、こうした実際的・本質的理由があるのです。
さて、皆さんが九州大学法学部に入学すると、他の基幹教育科目に加えて、さっそく法学入門と政治学入門を受講することになります。政治学入門では、90分×15回の授業を通じて、日本政治に関する基礎知識を学んでいきます。特に工夫しているのは、次の二点です。まず、可能なかぎり一次資料に基づいて、日本政治の実態を理解するように心掛けています。たとえば、政治にカネ(政治資金)がかかると言われますが、そのことを一般的知識として学ぶのではなく、首相の政治資金収支報告書を分析することを通じて具体的に学ぶようにしています。一次資料を記載した詳細なレジュメを配布しているのは、そのためです。
もう一つ工夫しているのは、討論の機会を設けるようにしていることです。いうまでもなく、異なる意見を持つ市民同士が討論し、時に自分の意見を変える勇気を持つことが、民主政治においては決定的に重要です。それを学ぶ機会は、しかし、決して多くはありません。そこで政治学入門では、「住民投票は是か非か」、「衆議院にふさわしいのは小選挙区制か比例代表制か」といった論点をめぐって、主要な論拠を検討し、受講生同士で討論した後、Moodle で投票する、ということを試みています。写真は、法学部1年生が選挙制度をめぐって討論している姿を写したものです。
政治学入門の授業評価は、法学入門の授業評価と同じく、インターネットで公開されています(九大法HP →在学生→法学部生→時間割・シラバス等)。授業の雰囲気を知るためにも、ぜひご覧になってください。

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「憲法学」とはどんな学問ですか?
一般的には、憲法9条をどう考えるのか、といった特定の条文や論点が取り上げられがちですが、「憲法学」は、端的に、憲法という対象を観察することです。憲法は、「最高法規」とされるように、国内の法の最上位に位置づけられています。したがって、「すべての法は憲法に通ずる」とでも言いましょうか、憲法の研究をしていると、ほかのさまざまな法分野を見ることができます。
皆さんは、アサガオの観察をしたことはありますか。どの視点に着目して、どのように観察するのかによって、発芽時期や様子、葉脈の展開、花のつく時間などいろんな研究結果が出ますよね。憲法学もこれに似ています。憲法はどのようにできたのか、そもそもなぜ憲法があるのか、いま憲法がどのように機能しているのか、憲法と他の法との関係はどのようになっているのか、他の国の憲法はどうなっているのか(比較憲法)、などなど多角的な「理論的な研究」が行われています。また、「実践的な研究」も多々あります。憲法の定める国の仕組みの根幹にかかわる政治や行政の改革に対する分析や評価、また感染症対策のように政策により人の自由が制限される場合の人権保障の問題への取組みなど、憲法の文言や趣旨をいかに実現するか、日々研究が重ねられています。
法学部で養われる力とはどんなものですか?
まずは、論理的思考力です。事件を法的に解決するには、法解釈を通じて、事件の事実(物を壊した)に法(器物損壊罪という刑法や、損害賠償を定めた民法)を当てはめて解決します。このとき、事実の整理と当てはめる法の解釈を通じて結論を導き出す訓練は、論理的思考力の向上に役立つでしょう。
また、議論の力です。議論の際に、相手の主張との争点を抽出する力と、論拠をもって反論する力もつくでしょう。意外なところでは、法概念の厳密さに触れ、言葉づかいに敏感になるように思っています。
先生がご専門にされている分野があれば教えて下さい。
憲法のなかでも、主に「行政権の統制」を研究対象としています。今日の行政権には、「集中」と「分業」の二面性があります。例えば、首相の権限強化という中央への権力集中が指摘できる一方、もともと行政権がしていた仕事を民間事業者などに任せる民営化や、コロナ対策でも見たように、専門家の見解に委ねざるを得ない専門特化も現代の特徴です。これらは、何も日本に限らず、世界的な現象です。とりわけ、ドイツでは、これらを法律や裁判によって統制しようと取り組んでおり、法律や裁判で十分に規律していない日本からすれば大変参考になるため、ドイツの憲法学との比較研究をしています。とはいえ、テロや戦争、はたまた感染症などへの対応に迫られると、こうした法的統制がないがしろにされる恐れがあり、そうした事態での権限行使の統制の仕組みも必要だと考えています。
高校生に一言お願いします。
法学部(法律学・政治学)は、多様な問題関心を受けとめることのできる器の大きな学部だと思います。現に私は、高校生のとき、哲学に関心がありましたが、法学部ではその関心を深めることもできました。大学で何ができるかではなく、何がしたいか、が大事ではないでしょうか。社会に出ていかに活躍するかを見据えて進路選択をするもよし、純粋に学問的関心から飛び込むのもよし、いずれにせよ、自ら選んだ道は、いつか自らをも満たす花となるのではないでしょうか。


刑法とはどのような法律ですか?
刑法は、何をすれば犯罪となるのか、どのような刑罰で処罰されるのか、を定めた法律です。この法律では、いろんな面でバランスをとることが大事になってきます。人の利益を守るためには積極的な処罰が必要となると考える反面、刑罰によって人の自由を制約するものであるのだから消極的に罰さなければならないとも考えなければなりません。また、あらゆる個別的な事情に条文を当てはめるため柔軟性が必要となる一方で、ルールとしての役割があるから安定性も必要になります。このような正反対の性質を常に考えなければならないのが刑法です。
刑法学の魅力とは何ですか?
刑法学は、実践的な学問でありながら哲学的な学問でもあるという特徴があります。犯罪を行う人がいる以上、刑法には実用性が求められます。しかし条文を適用するには、解釈が必要となり、そこでは多くの難題に遭遇します。殺人罪を例にとって考えてみましょう。「人を殺す」という行為が殺人罪に当たるのですが、「人」とは何か(胎児や脳死状態の患者は?)、そもそも「殺す」とはどのような行為なのか(道端で急病状態の人や自殺しそうな人を放置した場合は?)など、条文を現実の事案に適用するためには、多くの問題を明らかにしなければなりません。このように刑法は実用性を求め、突き詰めていくと哲学的な物事の根本的な問いに行きつくのです。
法学部ではどんなことを学びますか?
法学部では主に法律や政治学について専門的に学びます。法律と一言でまとめられていますが、目的によって様々な法律があり、国によってその中身も多種多様です。それらの法律を過去の裁判所の判決や学者の方の体系書などを読み解きながら理解していきます。そしてこれらを通してリーガルマインドというものを身に付けていきます。論理的に考える「思考力」、裁判所の判例などを読み解く「理解力」、議論の中で自分の意見を伝える「コミュニケーション能力」など様々な能力がこれに含まれます。この能力は法学の分野に限らず多くの分野で必ず役に立つはずです。
冨川先生のゼミはどのような活動をされていますか?
私のゼミでは特定のテーマに絞り、それに関する判例調査を行っています。特に現在は、どこから未遂犯になるのかというテーマを何週間もかけて取り組んでいます。みなさんの高校での学修や法学部の講義の授業はいろんなテーマを広く浅く学んでいくのでかなり異なる学修だと思います。少人数で長期間、一つのテーマにとことん取り組んでいくと、今までの学修では考えられなかった新たな発見があります。
高校生に向けてメッセージをお願いします。
法学部だからこそ出来ることは法律に触れることです。そして法律を扱うためにはあらゆる分野の様々な知識が必要となってきます。九州大学法学部に興味を持たれたみなさんは知的好奇心のある方が多いと思われますので、きっと法学に楽しさを見いだせるはずです。そして法学を学んでいく中で養われていくリーガルマインドが、みなさんの将来にきっと役に立つはずです。
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民法とはどのような学問ですか?
一言でいえば「普通の人」どうしの間の権利や義務の関係を扱う法です。このような法を私法というのですが、民法はその中でも一番基本的なところを扱います。土地の所有権が誰にあるか、契約が有効かどうか、事故が起きた場合の損害をどうするか、などといったことですね。もちろん家族法も民法に含まれます。人の生活に近いところにある法ですから、早くから発展してきました。だから、今の法学というものができあがっていくときにも、民法学はその母体のような役割を果たしたのですよ。
民訴など他の法律や学問との違いはどのような点だとお思いですか?
民事訴訟法は、権利を実際に実現するにはどういう手続を踏むのか、ということを定めています。このような法を手続法といいます。民法は、そもそもどんな場合にどんな権利・義務があるのか、ということを定めています。このような法を実体法といいます。その中でも細かい規定が必要なときは特別な法律を作って個別に定めるのですが、民法は基本法ですから、大原則のようなことがたくさん書かれています。私法の土台を支えているということです。
先生が民法の研究をしようと決めた理由を教えてください。
分野の点では、当事者間は対等で上下も強弱もないという理想が当時の私の性に合ったのかなと思います。企業法務の弁護士にも興味があって迷ったのですが、東京の大きな弁護士事務所でエクスターンシップをさせてもらったときに、研究の方が自分のやりたいことに近いのかなと思うようになりました。
先生のゼミではどのような事を行っていますか?
今年は在外研究でゼミを担当しませんでしたが、いつも基本的には、各自で選んだ民法上の争点について担当の回を決めて報告してもらいます。選び方は任せているので、漁師町の出身だから漁業入会権を扱いたいなど、あまり教科書では扱われていないようなテーマを選ぶ人もいましたね。それから年に1回、他の大学の知り合いの民法の先生のゼミと合同ゼミをやっていました。普段知らない人から評価されるのは刺激になるようです。
法学部ではどのようなことを学ぶのですか?
法律を適用するとはどういうことなのか、それぞれのルールはどうしてそう決められているのか、どういう場合にどういうルールが必要になるのか、といったことを勉強してもらうことが重要だと思っています。法律を使う仕事に就かなくても、全く法律に関係のない生活をするということはありませんから、活かし方はいろいろあります。
先生が学生に求める力はどのような力ですか?
まず日本語の文章を読む力をつけて欲しいと思います。理屈を読むのは小説を読むのとは少し違います。文字が読めるだけではなくて、書かれてあるものを読みながら、こういう問題意識に基づいているのだな、こういう主張をしたいのだな、ここにその根拠、ここに結論が書かれているのだな、ということが読み取れないといけません。そうしてきちんとした組み立てを理解することは、次に自分の主張を書けるようになるためにも必要なのです。
最後に高校生へ一言お願いします。
みなさんやりたいことはいろいろあると思いますし、中には将来何がやりたいか分からない人もいると思います。法学部だと学んだ内容をいろいろな進路で活用できるので、そういう人にもおすすめできます。伊都キャンパスは静かで勉強するにはよいところです。あるいは勉強以外のことをがんばるのもまた貴重な経験でしょう。大学でお会いできることを楽しみにしています。


政治史とはどのような学問ですか?
政治史とはいうまでもなく政治の歴史を扱う学問です。しかし「政治とは何か」は難問で、百人百様の回答が想定されます。それゆえ各自が考える政治への現代的な関心でもって、関連する過去の政治へ問いかけ、そこでの回答をもって現在の政治へと問い直すことが政治史の学問的営為の一つといえます。政治学の一分野である政治史はまさに現在と過去との対話で、特に現在の問題意識から過去に問いかけ、そこで得た歴史的な知見や教訓をもとに現在や未来への問いかけを行い、市民の一人として政治に参加し、政治について討議するきっかけを得ることが特徴といえます。
以上を通じて、政治とは何かを自ら学ぶことが政治史という学問だといえます。
政治史の面白さや魅力はなんですか?
当時国家機密のため知りえなかった政策決定過程の内実がその後公開された史料によって、そのブラックボックスが明らかになる点が魅力です。また主要学説を史料の新発見や新解釈によって、批判し修正できる点が大きな魅力です。さらに史料の偶然の発見によってそれまで全く知られていなかった政治事象が明らかになる点も政治史の面白さといえます。これまで私は何度もこうした経験をしました。
熊野先生の授業の特徴を教えてください。
政治理論で歴史的事実を解釈する点が特徴です。私の授業では、政治学の一分野としての政治史ということをとても意識しています。政治学を中心とした社会科学の理論や概念を駆使して過去の政治事象に当てはめ、そこから解釈を導き出すというのが、本授業の特徴です。
単に歴史的事象を年代記的に説明するのではなく、現代政治学の主要な理論や概念をそれらに当てはめて解釈することが、高校での歴史の授業との大きな違いだと思います。具体的には、私の授業では「世界システム」論、「国家社会主義」論、政治過程論、オールタナティブ論等を駆使して、20世紀の重要な歴史的事件である第一次及び第二次世界大戦についてドイツを中心に解説しています。
熊野先生が考える、九大法学部で学ぶ意味、おすすめポイントはなんですか?
九大法学部は2024年9月で創設百周年を迎えます。この百年の伝統を敢えて一言で表せば、「自由の学燈」だと思います。学問に自由は不可欠で、自由なしに真の学問は行えません。学問の自由の燈火を本学部はこの間大事に守り続けてきました。この自由で闊達な学的活動の場が、九大法学部の場合、高年次の少人数ゼミだと思います。そこでは教員と学生が自由に議論を交わし、学的真理を一緒に追究して、学問の自由を謳歌しており、これこそが九大法学部で学ぶ意味だと考えます。少人数ゼミは私のおすすめポイントです。
高校生に向けてメッセージをお願いします。
青年期特有の疑問(なぜ?)があります。確かに成人になり年齢や経験を重ねていくと、徐々に当初の疑問は薄れてしまいがちです。しかし経験上、青年期の疑問は物事の本質を掴んでいることが少なからずあり、それ故に今の疑問を大事にして欲しいと思います。是非ともその疑問を大学での学びの礎としてください。学問はまさになぜ?から始まるからです。
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3・4年次は専攻教育科目の履修をつうじて、学生各自が自分自身の問題関心に沿った学びを深める期間です。 法学部教育の共通インフラとも言うべき「基盤科目」の履修をふまえて、より多種多彩な「展開科目」群の中から各自のニーズに応じて自由に科目選択を行い、卒業後の進路を見据えた自前の学修計画を立てることができます。また、3年次から始まる高年次ゼミナールは、少人数クラスの濃密な議論をつうじて高度な専門性を育む法学部教育のコアであり、ゼミナール担当教員は活発で個性豊かなゼミナール運営に特に力を注いでいます。3・4年次の目標は、学生一人ひとりが自分なりの明確な目的意識をもって専門性を高め、大学での学びを実りあるものにすることです。法学部教員スタッフは、みなさんの目標達成に向けた学びを強力にサポートします。


東洋法制史・中国法とはどのような学問なのでしょうか?
東洋法制史は中国を中心とした東アジア諸国の法の歴史を学ぶ学問です。中国法は現代中国における法律について学ぶ学問です。
なぜそれを学ぼうと思ったのですか?
直接のきっかけは、僕が学部4年生の頃に出たゼミです。現代中国法のゼミだったのですが、そこで学ぶ法律が今まで習ってきた日本の法律とは全く異なっていて、そして全く違う社会がそこにあり、中国人たちはそこで普通に暮らしているという、全く自分達とは異なる社会のあり方にまず驚きました。逆に今まで学んできた日本の法律の概念や体系は、気持ちいいほど音を立てて崩れていきましたね。そのカルチャーショックが一番惹かれた理由です。その時のゼミは必要に応じて歴史もやるという形式だったので、東洋法制史についても並行して学んでいました。
現在研究されて何年くらい経つのでしょうか?
大学に入ったのが1993年ですから、もう30年以上経ちますね。大学院に入ったのは98年、約四半世紀前ですね。
今でも熱は冷めないですか?
熱が冷めないというか。飽きないですね。あの国には常に何かあるので(笑)。話題には事欠かないというか、ネタには事欠かないですね!
日本と中国の法律に似通っている部分はありますか?
中国の今の法律は、特にここ20年程の間に日本や欧米などの制度をかなり取り入れたので、だいぶ共通している部分があります。けれどもベースにはやはり社会主義という制度がありますし、中国の伝統的な考え方も存在するので、それらと新たな要素とのせめぎあいが生じます。
法律があれば全くそれ通りに社会が動いているかというと、そうは言えないのですね。そういうあたりを研究していくっていうのも一つ面白い点なんですよね。
大学に入学される際は法律に興味を持たれて法学部に進学されたんですか?
と言えればかっこいいんだけど、むしろ全然法律には興味がなくてですね。どちらかと言えば歴史が好きだったので、まあ今でも歴史をやっているわけですが(笑)。だからまあ、大学っていうのは法学部だったり文学部だったり枠組みっていうのはあるんですけれど、その枠組みも絶対的なものではないので。別に法学部に入って歴史をやってもいいわけですし。経済学部に入って法律やったっていいわけです。そこはむしろ、自分で自由にデザインする、それぐらいの勢いで大学で活躍してもらえると僕は嬉しいですね。
高校生に向けてアドバイスをお願いします。
とりあえずいろんなものに目を向けて、まずは体験してほしいですね。どの分野でもいいです。とりあえず何か凝り固まった一つのあり方だけを求めるんじゃなくて、常に世の中は多種多様なので、自分とは違ったあり方に目を向けて、多様性というものにまず敏感になってもらいたいです。ひょっとしたら現在の我々とは違うあり方があるかもしれない。いろんなものを健全な目で疑って、いろんなあり方というものを体験してほしいです、そこを高校生には一番期待したいですね。また、高校だったら嫌っていうほど宿題やらテストやらが黙っていても降ってくるわけですけれど、大学は自分から獲りに行かないと何にも得るものがないんですね。積極的に何かを“獲りに行く”という自発的な姿勢が求められるわけです。なるべくそういう態度を高校生のうちに身につけておけば、大学生になっても困らないと思います。遠慮は要りません。自分なりに何か引っかかるものを感じたのであれば、そこには必ず何かがあります。自分がふと気になったこと、これを瑣末なことと片付けずにむしろ大事にして、それを手がかりに貪欲に追求してもらえればと思います。



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刑事訴訟法とはどのような法律ですか、刑法との違いも含めて教えてください。
刑法は、犯罪と刑罰を定めた法律です。この犯罪と刑罰をめぐる様々な問題を考察する学問が、刑法学です。
これに対し、刑事訴訟法とは、刑事事件の手続を定めた法律です。刑事訴訟法学では、捜査にはじまり、検察官による事件処理(起訴・不起訴)、公判(裁判)、救済手続(上訴・再審)、そして裁判の執行に至る、刑事手続のあり方を考察します。
X が警察官に犯罪の嫌疑をかけられた、さらにXは検察官によって起訴されたといっても、その人が犯人であるとは決まっていません。
近代以降の国家においては、「手続きなくして刑罰なし」という格言の通り、その人を裁判なしに犯人であると決めつけ、処罰することはできません。国家の持つ権力の中でも、刑罰権というのは大変峻厳であり、慎重に手続きを進めなければならないからです。
ゼミや講義ではどのようなことを教えているのでしょうか?
ゼミの内容については、毎年異なっています。各人が自由にテーマを選んで報告する、著名な刑事事件をひとつ取り上げて、その事件の手続上の問題点を深く掘り下げてゆく、新しい立法について検討する、最高裁の判例を読解・検証する、などなどです。
ゼミでは、ゼミ生同士で、ディスカッションをします。「最高裁が言っているから正しい」といった、権威に頼るだけで中身のない発言をする人はまずいないですね。仮にそういう発言をすれば、「なぜ正しいか、説明(論証)して」と誰かに突っ込まれることでしょう。自分の頭でとことん考えて、自分の言葉で表現できる学生は、伸びますね。
他大学との合同ゼミを開いたり、沖縄や壱岐などで合宿をしたり、東京などに事件調査に行ったり、施設を見学したりすることもあります。
講義では、捜査から始まる手続の流れにしたがって、その概要を解説してゆきます。その際には、現在の日本の判例・実務や学説を説明するだけでなく、歴史、諸外国の刑事手続、国際準則にも触れながら、日本の刑事手続が「当たり前」のものではないという相対化の視点をもってもらうことを心がけています。
加えて講義の一環として、年に一回ゲストの方を呼んで、講演会を開いています。ゲストの方は、弁護士や事件の当事者の方が多いですね。現状をよく知る方のお話を聴いて、「生きている刑事訴訟法」を知ってほしい、というのが狙いです。もともとは民事しか関心がなかったけれど、講演会をきっかけに問題意識を深め、刑事事件に携わる裁判官になった卒業生もいます。
刑事訴訟法を研究するようになった理由はなんですか?
学部生の頃、憲法や法律で定められている原理や原則がなぜ存在しているか、あるいはその原理や原則の内容として学説や判例が説明していることを「当たり前」として受け取っていいのか、ということがとても気になりました。また刑事手続に関していえば、理念と現実とのギャップが大きいことに大変ショックを受けました。特に、誤った有罪判決(冤罪)が現に存在するということを知って、その原因や防止策、また救済のあり方を総合的に考えてみたいと思いました。
研究のスタイルは人によって様々ですが、私の場合、物事の根源まで考えたいという哲学的な関心を持つ一方、大学の外に出て、実務家と共同研究する機会も多いです。
高校生に一言お願いします。
「公務員になりたい」、「弁護士になりたい」といった、どの職業に就きたいかというよりも、漠然としていてもよいので、社会でどのような役割を果たしたいか、何をしたいかということをよく考え、その「初心」を大切にしてください。そこにブレがなければ、どのような道(職業)を選択しても、後悔することはないのではないでしょうか。


国際私法・国際取引法とはどんな法律ですか?
皆様の中には、大学に入って海外留学をしたい方もいらっしゃるでしょう。安心な渡航計画にするためには、海外旅行保険や留学保険の検討も大切です。それらのパンフレットをいくつか読んでみると、渡航先で「法律上の賠償責任」を負った場合にも保険金が支払われるという内容の説明が書かれていることがあります。これは、留学中に間違えて他人のものを壊してしまったこと等を理由として高額な賠償請求に対応する必要が生じた場合の備えになる項目です。ところで、この「法律上の賠償責任」という表現にでてくる「法律」というのは、「日本の法律」のことでしょうか?それとも「留学先の国の法律」を指しているのでしょうか?
このように海外のことが関わってくる法律問題について理解するために必要になるのが、国際私法や国際取引法です。そこで学ぶ知識や考え方は、将来どのような生き方を選んでも役に立つはずです。
国際私法・国際取引法の魅力について教えてください。
国際私法・国際取引法の勉強を進めていくと、必然的に、諸国の法の間にみられる相違点や共通点に気づくようになります。それぞれの国の法に反映されているその国の文化や歴史について理解を深めるきっかけになるのも、この分野の勉強をしていて楽しいところです。
九州大学法学部で学ぶことの意義はなんですか?
世界に開かれた学びの環境が魅力の1つだと思います。国際ワークショップ・講演会・インターンシップ等、海外の大学や国際機関の方々と交流できる機会を充実させることに力を注いでいますので、学生の皆様に活用してほしいと思います。また、留学を希望する場合のサポート体制も整っていますので、このパンフレットのGV プログラムや国際交流・国際教育に関するページもぜひ読んでみてください。
大学外ではどのような活動をされているのですか?
文化財の国際取引規制や返還問題に関するユネスコ(UNESCO)の諸会議に出席しています。また、ユネスコの諮問機関であるイコモス(ICOMOS)でも、法律問題等を扱う委員会(ICLAFI)に所属しています。難しい問題の連続で色々な課題を抱えていますが、学生の頃から興味を持っていた分野なのでやりがいを感じています。
高校生へ一言お願いします。
九州大学法学部で皆様にお会いできるのを心から楽しみにしています。勉強に疲れた日には、映画『グリーンブック』もおすすめです。作品として好きなのが一番のおすすめ理由ですが、SDGs 目標10(「人や国の不平等をなくそう」)等、法学部で学ぶ色々なことに繋がりのある映画です。
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政治学史とはどのような分野ですか?
他の大学では「政治思想史」とも言われる分野で、古くはプラトンやアリストテレスなどの古代ギリシャの思想から、20世紀の思想までの2500年にも及ぶ政治学の歴史を追いかける分野です。具体的には、個々の政治思想家や、デモクラシーや自由、国家などの政治的概念の歴史的な展開について研究しています。
講義ではどのようなことをやるのでしょうか?
基本は時代順で、プラトンやマキャベリ、ホッブズなどのそれぞれの時代を代表する人物と古典を中心に見ていく講義です。高校の授業では著者とその著作をセットで覚えるというところまでに留まっていたと思われますが、この講義ではそれらの作者が、政治や国家などについて具体的にどのようなことを考えているか、またテクストの中でどのようなことが論じられているか、といったことまで踏み込んでいきます。
古典を研究対象とした理由はなんでしょう?
いくつかあるのですが、大きなものとして今の時代の基礎となっている近代ヨーロッパの正体を探ってみたいというのがあります。言い換えると、今現在の私たちの価値や規範、あるいは政治や国家などの正体とは何かということを解き明かしたい、というような感じです。
さらに、そのような考えを持つようなきっかけとして、高校時代に、世の中の規準や仕組みにふと疑問を抱いたことがありました。一見当たり前のように見える所与の世界が本当に正しいのか、あるいはそれらがどのように作り出されたのかという疑問、それが近代の正体を探るということに繋がっていったというわけです。
高校生へのメッセージをお願いします。
図書館などを利用して、興味を持った本は積極的に読んでみてください。先ほども言いましたが、私が政治学史という分野に興味を持ったのは高校時代の一冊の新書との出会いがきっかけでした。受験勉強に追われながら自分の時間を確保するというのはなかなか困難かもしれませんが、ぜひ良い本と出会ってください。ふと手に取った本が自分の興味を引き出してくれることもあるのです。そうすることで自分の周りの世界が全く違うものに見えてくるかもしれません。



情報法とはどのような法律ですか?
情報法とはインターネットやメディアなどを通じて流通する情報に関する法的問題について扱う分野です。例えば、身近なところでいえば、LINEで友だちとやり取りするメッセージの秘密はどこまで守られているのか、インスタグラムに自分の写真が勝手に掲載されることはプライバシーの侵害にあたるのかなど、情報の流通に関する様々な法的問題について考えていきます。
情報法を学ぶ意義としてどのようなことがあるのですか?
まず、今日の情報技術が発展している社会では、情報に関する法的問題が身近になっているため、社会生活を送る上でこの分野の知識が不可欠のものとなっているということです。日々暮らす中でも私たちはスマートフォンなどを通じてインターネットから情報を得て、SNS 上で友人とコミュニケーションをとり、また電車に乗るとIC カードを通じて情報が収集され、コンビニでお茶を買うだけでもポイントカードにより購買履歴が収集されています。こう考えると私たちは情報と無縁で生きることができませんが、そうした時に個人情報の保護やプラットフォームの責任など様々な法的問題が絡んできます。
また、情報技術の発達にともない、自由や民主主義など近代社会の根本的な価値が問い直されるようになっています。例えば、最近ではフェイクニュースによって選挙結果が歪められるリスクが懸念されていますが、これは、自由な個人が多様な情報を吟味して理性的に判断し、政治のプロセスに関わることで民主主義が実現されていく、という近代社会の前提が問い直される問題でもあります。また、A(I 人工知能)はマイノリティーに対して不公平な判断をする傾向があると言われていますが、このことは翻って、そもそも従来の社会において人はマイノリティーに対して公平な判断をしてきたのかを問い直すことにもつながります。情報法は、情報技術の発展に伴う最先端の問題を追うだけでなく、自由、平等、民主主義など近代社会の基本原理・価値がそもそも何だったのかということを、情報技術が投げかける問題をきっかけに問い直していく学問でもあるのです。
情報法を研究するようになったきっかけは何ですか?
元々、法哲学や政治哲学、その中でも特に自由論や権力論に関心があり、個人が自由に選択するとはどういうことか、私たちはどのように権力の影響を受けて行動しているのかということに興味がありました。そんな時にローレンス・レッシグというアメリカの情報法学者の『CODE』という本が2000年代初めごろ日本に紹介され、日本でもそれを受けて社会学者や法哲学者らが情報社会における自由の行方について議論するようになっていたのですが、彼らの議論を読んでいく中で、自由や権力の在り方が情報技術の発展によって根本的に変わってくるのではないか、そうだとすると、情報技術がもたらす具体的な問題を踏まえ自由の保障のあり方を考えなおす必要があるのではないかと考え、情報法を学んでみようと思いました。
従来は、法律や道徳などにより私たちの自由は制約されていましたが、今日ではアーキテクチャと呼ばれる、物理的・技術的な手段によって私たちの自由は制約されるようになっています。例えば、スマートフォンにフィルタリング設定がされている場合、自分が興味のあるウェブサイトを見ようと思ってもブロックされることがあります。従来は、校則や親の言いつけなどで自由が制約されていたとしても、こっそりと破ることができ、また禁止されている行為であっても様々な事情から正当化される可能性がありました。しかし、技術的に行為の可能性があらかじめ制約されてしまうと、逆らうことができなくなり、また、本当は正当化される行為であったものでも制約を争う可能性がなくなり、見えないうちにあらかじめ私たちの自由が奪われていきます。ここには、個人の自由にとって根本的な問題が潜んでいるのではないかと思ったことが、研究の原点です。
高校生へのメッセージをお願いします。
法学部を目指す高校生の皆さんには、法律の専門知識を今から勉強する必要はありませんが、哲学や歴史など人間や社会に関する問題について扱った本を幅広く読んだり、友だちと話したりして、関心を広めてもらいたいと思います。大学に入ってからも、何か違和感があるなと思ったことや、何だか面白いなと思ったことなど、自分の中の小さな疑問や好奇心を大切にして学び続けてほしいと思います。
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社会保障法とは、年金や医療保険、生活保護、障害者や高齢者、そして子どもの福祉について、法律学で考える学問体系です。憲法はもちろん、労働法や行政法などに関係ある分野で、時には経済学や金融の知識を学ぶこともあります。

各学年10人ずつ、男子12人、女子8人の計20人で構成されています。発表の際に作られるグループはランダムで、いろいろな人と話す機会があります。月に一回程度ゼミ内のコンパ、夏にはゼミ合宿があり、仲良く活動しています。

毎週あるグループ発表では、決められたトピックについて発表を行います。グループは基本的に4年生1人と3年生3人で構成されており、4年生は3年生のフォローをしながら進めていきます。発表1週間前には先生との打ち合わせで発表の方向性を決め、その後レジュメの作成?発表割の決定を行います。発表準備では何に焦点を当てて発表するか、グループメンバーと相談することが1番大変ですが、やりがいがあります。
発表後には、発表を踏まえてグループ内で話し合いをし、発表者とその他のグループで質疑応答をします。他にも、厚生労働省年金局の方から年金財政について詳しい話を伺ったり、障害者福祉や生活保護の裁判を扱った弁護士さんから事件について講義をいただくこともあります。
他にも、主張が対立するトピックの時にはディスカッションをすることもあります。
前期は年金保険法、後期は障害法を扱っており、各分野についての学びを深めています。

社会保障について学習することで、社会に出てからも使える知識を身に付けることができます。また、発表やグループ討論を行うことから、人前で自分の意見を発信することに慣れることができます。卒業生は国家公務員や地方公務員になった方が多いですが、金融、メーカー、ITなどの民間企業のほか、法科大学院などに進学して活躍されておられます。

社会保障法は私たちの暮らしに身近であるだけでなく、政治的にも大きな分野です。少子高齢化だけでなく人の生き方、誰が誰を助けるべきか、助けるべきではないか、いつも意見が対立します。学生にはいろいろなものを見聞きして、一人でしっかり考え、立場が異なる人と論理的に議論が出来る様になって欲しいと思っています。



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お金の貸借りなどの法的トラブルが発生し、話し合いでも解決できないような場合、最終的には裁判を通じて紛争が解決されることとなります。このような裁判、つまり民事裁判(被告人が犯罪行為を行ったのか、またどのような刑罰が科されるべきなのかを裁判する刑事裁判とは区別されます)のやり方について定めている法律が民事訴訟法です。
具体的には、どこの裁判所に訴えるか、裁判を進めるためにはどのような書類を裁判所に提出しなければならないか、その書類には何を記載しなければならないか、自分の主張を裏付けるためにはどのような方法(証拠)を用いなければならないか、その証拠はどうやって裁判所に提出されるのか…などを定めています。

民事訴訟では裁判を通じて権利を実現していくこととなりますが、これは裏を返せば、民事訴訟の制度が確固たるものとなっていなければその権利は実現されないともいえます。極端な話ですが、最高法規である憲法でいかなる権利が認められていようとも、民事訴訟でその実現が認められなければ、その権利は絵に描いた餅となってしまいます。このように、民事訴訟法は、あらゆる権利・あらゆる紛争の基盤となる法律であり、この法律を学ぶたびにその重要性を実感します。
また民事訴訟法のこのような特性上、民事訴訟法を勉強するうえでは他の法分野の知識が必要となる場合もあります。民法や会社法はもちろんですが、倒産事件に関しては破産法など、そのほかにも例えば労働関係をめぐる紛争であれば労働法、消費者と企業間の紛争であれば消費者法のように、紛争の種類に応じてさまざまなバリエーションがあります。民事訴訟法に加えて他の法分野についても学ぶことは大変ではありますが、その分やりがいも感じます。

前期は、報告を担当する学生が重要判例の検討など報告したいテーマを選択し、そのテーマについてパワーポイントなどを用いてプレゼンを行い、それに対して学生と教員とで議論を行い、理解を深めていきます。
後期は、名古屋大学・慶応義塾大学との合同ゼミ合宿が例年12月に予定されており、授業時間は合宿で出題される問題の予習に使います。合同ゼミ合宿では、1日目は民事訴訟に関する問題が出題され、大学ごとに対抗して、立場を分けて議論を行います。2日目は即興で大学混合チームを結成し、あるテーマについて議論の上でプレゼンを行い、最終的にどのチームのプレゼンが優れていたかを投票で決定します。

法的な知識ももちろんですが、プレゼンや議論の方法といった、将来どの進路に進むかにかかわらず必要な能力を身に着けてほしいと思っています。特に、法曹の道に進まない学生にこそ、将来実務家と渡り合っていくことを見据えて、法曹を目指す学生と対等に議論を行うことに慣れてもらうことを希望しています。
しかし何よりも、ゼミ活動を通じて一人でも多くの方と知り合うことが重要だと考えています。3・4年生のゼミが社会人になる前の最後の友人を作る機会となる方もいますし、ゼミでの友達の中には一生の付き合いとなる人も少なくありません。コロナ禍において、私たちは人と人とのつながりがいかに大事かを経験しました。ゼミ生には、少しでも多くの「一生の資産」を手にしてほしいと思います。



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九大生の時間割


副専攻プログラムとは 私は人社系副専攻プログラムに登録しています。他学部の専攻教育科目をとることができます。元々、文化的建造物に興味があったことから、「建築から学ぶ地域文化遺産」というコースをとっており、自分の専門外から刺激を受けることができます。これ以外にも、文学部・教育学部・経済学部・工学部建築学科の授業を受けることができます。
1年後期から始まる憲法・民法・刑法 1年生前期に受けた法学入門を活かし、1年生後期から憲法・民法・刑法を学びます。ただ、それ以外は基幹教育の授業なので、興味のある分野から自分に合った時間割を組み立てます。また、1年生の後期は必修がないので、その間に法学の準備をするのも、法学以外の分野を学ぶのもよいと思います。 2年生の授業について 1年生後期の憲法・民法・刑法に加え、他にも法の授業が本格的に始まります。特に、2年生前期にある法政基礎演習では、少人数で議論しながら法への理解を深めています。皆バックグラウンドが多様で、自分では思いつきもしなかった考えに触れることができます。

伊都キャンパス周辺情報

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法学部生の1日 ※法学部2年生(前期)

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大講義室での講義

高度な内容で、進度が早いため、空いた時間を見つけて予習します。合否は考査一本勝負で決まることが多いです。
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食堂はメニューが豊富

廉価で栄養価の高い鶏天定食が一番人気です。学生証と一体になった支払システムのおかげで、会計もスピーディ。
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課外活動も盛ん

九大は、サークル活動も盛んです。2年次から、幹部を務めることが多いです。
法学部生のテスト期間
テスト期間は、受験生時代のように1日10時間程度勉強することも多いです。テストでは、半年間かけて学んだ膨大な量を解答時間内でスピーディーに処理する必要があります。持ち込みは、六法とボールペンのみ。単位の合否も、そのテストの一瞬で決まります。
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充実した学習環境


学内には多くの自習スペースが設置されており、魅力的です。日本有数の蔵書数を誇る九州大学中央図書館は、法学や政治学の資料がかなり充実しています。
どんなバイトをしているの?
学業と両立させながら、アルバイトも経験できます。
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?学内でのバイト
先生や職員の方々と関われる機会が多いのが魅力です!仕事をするなかで、専門的知識も身につくため、将来を見据え、活動の幅も広がります。
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?飲食店
伊都周辺でも飲食店が増加し、学生の需要も高まっています。アルバイトを通じて、接客スキルが身につくのが大きな魅力です。また、多くの飲食店で、まかないが出るため、食費を浮かせることもできます。
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?法律事務所での事務
受付や事務作業がメインです。法学部生であることを強みにしながら、弁護士の先生と関わることができ、勉強になります。比較的融通が利きやすいため、空いた時間は自由に使えるのもありがたいです。
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?塾講師
受験知識を活かしながら、中学生や高校生の進路を応援できるのが魅力です!形式は、個別、集団、オンラインなど多岐にわたります。教えるのが好き・得意な人におすすめです!また、授業を通して、人に分かりやすく伝える能力を追求することができます。
部活・サークル~ SF 研究部編~
本学の学生団体数は、公認団体だけで約120団体に及びます。課外活動施設等の充実した設備に加え、卒業生や地域とのつながりが活動の勢いを後押しします。今回は所属している「SF研究部」についてご紹介します!
活動のようす
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?自作「SF 雑誌」の販売

自作「SF雑誌」を、九大祭や文学フリマ等で販売します。入部者の殆どが初心者ですが、先輩方が分かりやすく教えて下さるので、きちんとした作品を完成させることができます。部員一丸となって作成したものが完売したときには達成感がありました。
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?合宿(年2回)

親睦を深めるために、自然豊かな山の中で、2泊3日の合宿を行います。普段から授業終わりに部室に集まりボードゲーム等をしながら良好な関係ですが、寝食を共にする中で、部員同士の絆がより強くなっていることを実感します。
九大法学部生の受験インタビュー
Q:受験生時代の勉強時間を教えてください。
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平日は放課後に四時間、休日は約八時間勉強していたよ。規則正しい生活を心がけよう。
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量よりも質を重視しよう。私は平日に頑張る分、日曜日は休息日にしていたよ。
Q:二次試験対策について教えてください。
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記述問題は先生に添削をお願いしたよ。日々の継続的な努力が必要不可欠だよ。
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しっかり基礎を固めて過去問を解こう。でも九大の試験は120分と長めだから初めのうちは大問毎に解いて練習を積んだよ。
Q:おすすめの勉強法を教えてください。
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英語はとにかく読んで聞いて書いて話す。単語は音声を聞いて発音しながらの方がより覚えやすかった!
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勉強内容を自分で説明する。声に出してアウトプットすることで、内容の定着度を正確に把握できるのでとてもおすすめ!
Q:勉強の息抜きは何をしていましたか。
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私は英語の二ュースを見ることをおすすめするよ。勉強しながら息抜きができると、罪悪感が少なかった。
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とにかく人と話すこと。1人で抱え込んでいたものが案外些細に感じられたり、解決策が見つかったりすることが多かった!
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大学院法学府では、演習(ゼミナール)への参加や論文の執筆を通じて、法学・政治学のさらなる研鑽を積むことができます。長い伝統を誇る大学院法学府(旧・法学研究科)は、大学・研究所だけでなく、社会のいたるところで活躍する数多くの修了生を輩出しています。
2年間の修士課程には、後述する「国際コース」のほか、法学・政治学の高度な専門知識を習得し、社会で活躍する人材を養成する「専修コース」と、法学・政治学の研究者を養成する「研究者コース」があります。いずれのコースでも、少人数の演習に参加し、法学・政治学の専門書を読み、議論を闘わせることになります。こうしたコースワークに加えて、2人の指導教員の助言を受けつつ、自分の選んだテーマに関する修士論文を書くことになります。コースワークを終え、修士論文の審査に合格すると「修士(法学)」の学位が授与されます。
修士課程修了後、「専修コース」の学生は、民間企業や政府機関などで法学・政治学の専門知識を活かした仕事に就くことが想定されていますが、「研究者コース」の学生は、さらに3年間の博士後期課程に進学することになります。博士後期課程でも、コースワークはありますが、中心になるのは、なんといっても博士論文の執筆です。
なお、大学院法学府には、英語で授業を行い国際的に活躍する人材を養成する「国際コース」も設置されており、さまざまな国からの留学生が英語による授業を受けています。もちろん、日本人学生も「国際コース」に入学することが可能です。
皆さんのなかには、すでに大学院進学を考えている人もいるかもしれません。そうした人にとっては、大学院大学に入学することは、たいへん有益でしょう。すでに学部段階で、大学院進学を見越したプログラムが組まれているからです。とりわけ、英語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語で書かれた文献を読む授業の充実ぶりは、大学院大学ならではです。また、日本語だけでなくさまざまな言語で書かれた膨大な専門書(約400万冊)が所蔵されているため、いちはやく法学・政治学の専門的研究に取り組むことも可能です。さらに、多くの大学院生と接する機会が多いことも見逃せません。修士課程・博士後期課程で学んでいる先輩たちと日常的に接することは皆さんの知的刺激となり、学問への意欲をさらに高めてくれるでしょう。
法学・政治学を学ぼうとしている皆さん。ぜひ大学院進学まで視野に入れたうえで、学部を選択してみてください。

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大学院ではどのような研究をされていますか。
社会保障法を専攻しており、そのなかでも、雇用保険法における離職理由の判定過程、また離職理由に基づく給付制限や給付内容の差異について関心を持っています。最近では、日本の法律である雇用保険法にとどまらず、アメリカの失業保険法について勉強・研究しています。
大学院を目指したきっかけを教えてください。
第1に、ある物事について徹底的に調べ・考え抜き、社会に新たな知見を提供する、研究者という職業に憧れたことです。研究者である先生方がどのように仕事をしているのか、大学院に進学し、より近くで見てみたいと思いました。
第2に、学部4年間の勉強ではもの足りないと思ったことです。「社会保障法を勉強した」と胸を張って言えるほどの知識を持っていないなと感じ、もっと社会保障法の勉強をしたいと思いました。
大学院での生活はいかがですか。
自宅・研究室・大学図書館の3ヵ所を使い分けながら日々勉強・研究を進めています。九州大学図書館は蔵書が豊富かつ美しいので、とても気に入っています。研究室に行けば、院生の友人と雑談をしたり、先輩に研究に関する相談をしたりできるので、良い気分転換になります。
最後に、高校生に一言お願いいたします!
大学に入学し、法学を学び始めると、今までに見たことのない専門用語や新たな思考方法を求められ、戸惑い・つまらないと感じるかもしれません。そういう時には、「面白くなるまで勉強する」という言葉を思い出してほしいです。これは私が学部時代にお世話になった先生が言っていた言葉で、至言だなと思っています。知識が乏しい学び始めの時期に、法学がつまらないと感じるのは当然のことです(もちろん、最初から法学が面白いと思える方もいるかもしれません)。勉強をすればするほど、意味内容を知っている専門用語が増え、また、普段目にするニュースや自分の生活と法学のつながりが分かり始め、法学の勉強がどんどん面白くなると思います。
まず、気になった法分野の入門的な教科書を1冊、通読してみることをオススメします!


大学院ではどのような研究をされていますか?
「知識の動態化と統治機構の変容」という、小難しいことを研究しています。
いままでの憲法学は、統治に必要な知識がどこかにあって、議会がその知識を使ってちゃんとした法律をつくり、行政がその法律を執行する、と考えてきました。しかし、例えばAIなどが典型例ですが、そもそも危ないのか、危ないとしてどう危ないのか分からない、ということがあります。このような領域において、統治機構はどう変容するのか、変容すべきなのか、といったことを考えています。
憲法学など大学での学問の面白さを教えてください。
学問について語れるほど、僕は勉強をできておりません。が、蛮勇をふるってお答えするならば、「他者と向き合うこと」に面白さを見出しています。
ある学問領域には、歴史とともに積み上げられてきた固有の論理があるものです。その論理は、20年少々しか生きていない自分の常識では測ることができず、時として常識自体に反したりします。憲法学についても、まだまだ理解できない部分だらけ。学問領域それ自体が、安易な理解を拒む、広い意味での「他者」なのです。
他者と向き合うことは、楽しいばかりではありません。考え方の違いにイライラすることもありますし、理解のできなさにムズムズすることもあります。しかし、それでもなお向き合い続けていると、ある時ふと理解できたりするのです。あるいは他者と向き合う中で、自分のことが分かったりもします。自分はどのようなところにムズムズして、どのようなところにワクワクするのか。他者を見つめる自らのまなざしを自覚する中で、自分自身への理解も深まります。
このような楽しさに取りつかれて、僕は大学院にやってきてしまいました。
最後に、高校生に一言お願いいたします!
あまりにも月並みなアドバイスですが、まずは学校での勉強に打ち込んでいただければ、と思います。
先ほど、「学問領域は他者だ」というお話をいたしました。他者とコミュニケーションを取るためには、ある程度の共通の基盤が必要です。この基盤を身につけるのが、高校までの勉強です。いまは面白くないかもしれませんが、いつか見つかる「面白いこと」を探究する際に、きっと役に立ちます。
皆さまのご多幸を、こころよりお祈りいたします!
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2004(平成16)年、司法制度改革の一環として、法曹養成制度の改革が行われ、法科大学院(ロースクール)制度が発足しました。司法試験を受験するためには、原則として、法科大学院を修了しなければなりません。法科大学院は、2年間(法学既修者コース)ないし3年間(法学未修者コース)で、法曹としての基本的な能力を身につけるための教育機関です。修了者には「法務博士(専門職)」という学位が与えられます。
九州大学法科大学院は、2004(平成16)年4月、法科大学院制度の発足と同時に設立されました。西日本を代表する法科大学院であり、これまで561名の司法試験合格者を輩出しています(2024年4月現在)。
九州大学法科大学院は、司法制度改革の理念を実現するため、高度化・複雑化・グローバル化した21世紀の社会で求められる新たな法曹像を追求しつつ、人間に対する温かいまなざしをもった、「社会生活上の医師」としての法曹を養成することを教育理念としています。
教育プログラムの点では、法律学の基礎となる科目(法律基本科目)はもちろん、実務法曹にとって不可欠な技能を修得するための科目(法律実務基礎科目)、幅広い素養を身につけるための科目(基礎法学・隣接科目)、最新の社会問題に取り組むための科目(展開・先端科目)を豊富にそろえており、非常に充実した教育システムを提供しています。
また、九州大学法科大学院は、学生の自学自修を支援するため、行き届いた学修環境を整備しています。1人1席の専用机を備えた学修室、個人用ロッカー、専用図書室、インターネットによる学修支援システム、専任教員によるチューター(担任)制度、修了生のための法務研究員制度などです。
2022年度からは、法曹コース修了者を受け入れ、法学部3年間(早期卒業)、法科大学院2年間(既修者コース)の5年一貫の教育連携を行うことにより、早期の法曹資格取得を目指します。現在、九州大学法学部等と法曹養成連携協定を締結しています。「法学部に入学して、法曹資格を取得する」というルートをより身近なものとし、法学部の学生の皆さんが「法曹になる」という目標を実現するために、ともに努力していきたいと思います。
法曹をめざす皆さんは、九州大学法学部で基礎的な法学の素養を身につけた上で、是非とも九州大学法科大学院に入学してください。正義と公正に対する感受性に富み、公的な利益や他者のために献身的に取り組むことができる、意欲ある皆さんの挑戦を期待しています。
https://www.law.kyushu-u.ac.jp/lawschool/

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各大学の法曹コースの学生(法曹コース生)は、さまざまな法科大学院が実施する特別な入試(特別選抜)を受験することができます。特別選抜では、学部での成績を考慮して合否が判定されますので、学部成績が良好であれば、よりスムーズに法科大学院に入学できます。また、法科大学院の既修者コースでは、一般に、司法試験の必修科目(憲法・民法・刑法・行政法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法)をひと通り学んでいることを前提に教育が行われますが、法曹コースの出身者については、それ以外の科目の一部についても学部の段階で学習済みだとして扱うことが認められています。さらに、法曹コース生が法科大学院の科目の一部をあらかじめ履修しておくことも認められています。つまり、法曹コース生は、本来は法科大学院で行うことになっている学習の一部を学部の段階で先取りすることができるわけです。
法曹コース、特別選抜、学習の先取りの具体的な内容は、各大学の法学部や法科大学院によってさまざまです。また、法学部と法科大学院が「連携協定」を締結しているかによっても違います。九州大学法学部は九州大学法科大学院と連携協定を締結していますので、以下では、九州大学法学部の法曹コースを経て特別選抜により九州大学法科大学院に入学する場合について説明します。
九州大学法学部では、2年生の前期の終了時に希望者を募って法曹コース生とします。希望者が多い場合には、それまでの成績により選抜を行います。
法曹コース生は九州大学法科大学院の一部の科目を履修でき、その単位を一定以上の成績で修得して同法科大学院に入学すれば、そのまま修得済みの単位として認められます。また、同法科大学院では、法や法学の基礎を探求する科目や、より深く法学を理解するのに役立つ法学以外の分野の科目について一定数以上の単位の修得が求められますが、法曹コース生がそれらの科目に対応する学部科目について優秀な成績を修めた上で同法科大学院に入学した場合には、それらの科目についてはすでに単位を修得しているものとして扱われます。
九州大学法科大学院は、九州大学法学部をはじめとする連携先の法曹コース生を対象とする、学部成績と口述試験だけで既修者コースへの合否を判定する特別選抜(募集人員9名)と、連携の有無を問わず法曹コース生を対象とする、学部成績と3科目の専門科目の筆記試験の成績で合否を判定する特別選抜(募集人員6名)という2つの特別選抜を行います。いずれの選抜でも学部成績が重視されます。なお、法曹コース生であっても、7科目の専門科目の筆記試験が行われる一般選抜を受験することはできます。したがって、法曹を目指す人が法曹コース生となることに特段の不利益はありません。

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九州大学法学部は、2015年度から、日本人学生を対象に、グローバル人材の育成を目指して、英語による教育を重視した学士・修士一貫国際ビジネス法プログラム「GV(Global Vantage)プログラム」を設置しました。
GVプログラムは、法学部プラス修士課程(LL.M.)の実質5年間で、「グローバル・ローヤー」を育成します。ここでいう「グローバル・ローヤー」とは、「各国の法律家に互して、英語で交渉し、契約書を起草し、各国での法適合性を調査し、国際ルールの策定に参加するなど、国際ビジネスの最先端で活躍する人材」です。



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大学入学後、英語を用いて法律を学べる GVプログラムがあると知り、2年次に編入しました。編入後すぐにフィリピンでの模擬世界遺産委員会への参加、ドイツでの学会発表に参加し、苦戦しつつも自分を一つ成長させることができました。また、学部3年次に長期留学を予定していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、あえなく断念することになりました。そこで私はパンデミック収束の目処が立たない中で留学を目指すのは難しいと考え、早期卒業して日本にいながら国際的な環境に身を置くことのできる LL.M.への進学にシフトしました。LL.M.では学部の授業と比べ、法律という側面だけではなく、経済や技術等、他分野が絡んだ問題についての授業が多く、知的好奇心を刺激します。また、ほとんどの授業でプレゼンを行うのも特徴的です。LL.M. の前期は他国の学生が日本になかなか入国することができず、オンライン乃至ハイブリッドでの授業が中心となっていました。私は授業と同時並行で就職活動を行なっていたため、場所を気にすることなく受けることができるオンライン授業はとてもありがたかったです。そして後期には全ての学生が来日し、授業も対面で行われるようになってからは、授業外での交流が増え、すでに裁判官や弁護士、企業法務や政府機関で活躍されている学生と交流を深めることができました。
LL.M.進学前後で GVプログラムに入ってよかったなと思う場面は沢山ありました。英語で法律を学ぶということに対する慣れの側面はもちろん、修士論文のテーマや、構造を考えるにあたって TA の補助が受けられます。また、GVには高い志を持つ仲間、LL.M. では各国で活躍する実務家からさまざまな刺激を得ることができます。学士と修士合わせて4年半、周囲とは違った刺激的で質の高い濃密な時間を過ごせる環境が GV プログラムにはあります。

高校留学で身につけた英語力を活かして新たに専門性を身につけたいと思い、GVプログラムの5期生として入学しました。入学してすぐ、夏にフィリピンでの模擬世界遺産委員会、冬にドイツでのシンポジウムにそれぞれ参加し、英語でのプレゼンおよびディスカッションを経験しました。パンデミックの影響で海外での活動はこれが最後となってしまいましたが、1年生のうちから複数回海外に行くことができ、英語を使って学ぶことができるのはGVプログラムの強みだと思います。コロナ禍で海外に行けないまま残りのGVプログラムでの生活を送る中で、入学時に志した、英語を使って専門性を磨くという目標を達成するには、LL.M.で学ぶことが必要だと考えたので、GVプログラムを3年半で早期卒業し、LL.M.に入学しました。
LL.M.は1年間のプログラムで、授業を受けながら修士論文を執筆します。クラスメイトは様々な国から留学してきた弁護士、裁判官、官僚などの実務家の方達で、彼らと一緒に議論を交わし、学んでいくことは非常に刺激的です。授業は普通の法学部の授業とは異なって、各法分野の最先端の議論を取り上げ、法律がどう関わっていくべきか、法的リスクはどこにあるのかなど、より実務的で未来志向な議論が多いことが特徴的です。また、ほとんどの授業でプレゼンやグループワークを行うのも印象的です。GVプログラムでの海外研修の経験が、ここで活きていると感じています。同時に、自分が関心を持っている分野、疑問に思っている論点を選んで、これについて研究し、論文を書きます。研究テーマは入学前に決めなければなりませんが、テーマの決め方から議論の構成の仕方まで、GVプログラム専属のティーチング・アソシエイツによる手厚いサポートが受けられます。私は授業と同時並行で就職活動も行っていましたが、LL.M.での経験から多くの学びを得たことで、自分の専門性に自信を持って面接に臨むことができたと感じています。
勉強面以外でも、LL.M.に入ってたくさんの友人ができ、非常に充実した学生生活を送ることができています。LL.M.での活動がここまで楽しめているのも、GVプログラムで高い志を持った同期や先輩たちに出会い、大きな刺激を受けながら、英語で法律を学ぶという経験があったからだと確信しています。GVプログラム、そしてLL.M.で学ぶことで、グローバルローヤーへの道が大きく開けます。

私は中高時代から、海外で働きたいと考えており、様々な学部を検討していました。その中で、語学だけでなく、専門分野も身につけて国際的に活躍したい、という思いが芽生え、GVプログラムに入学を決めました。GVプログラムでは、フィリピンでの模擬世界遺産委員会や韓国でのワークショップ、法務統括室でのインターンなど、他では得られない様々な経験を積むことができました。コロナ禍など想定外のこともあったのですが、国際法をより深く学びたい、様々な社会的課題の解決に貢献したいという思いが強くなり、当初は予定していなかった、LL.M.への進学を決めました。LL.M.での日々は本当に濃密で、充実した日々を送っています。LL.M.は様々な国から学生が集まっており、授業での議論も各国の視点から発言されるので、とても興味深いです。私は集団的自衛権の行使について論文を書いているのですが、IT法、文化政策、刑事法など幅広い分野の講義を受けています。また、4月からは翁先生の下で、Research Assistantとして、動物型ロボットの倫理標準化について研究を進めています。
LL.M.の魅力は、勉学だけでなく、交友関係も大いに充実させることができます。周囲の学生は、勉学だけでなく、旅行やサークルなどに積極的な人も多くいます。学業的に優秀なだけでなく、あらゆることに貪欲な彼らの姿に、日々刺激を受けています。また、ふとした会話でも、文化や社会的な違いの話になることが多いのですが、海外のことを知ることができるとともに、日本のことも改めて考えるきっかけになっており、興味深いなと感じます。
今後とも、論文執筆に取り組むとともに、残りの学生生活を最大限楽しみ、より多くの学びを得たいと考えています。
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グローバル化した世界において、日本の大学でも国際化がどんどん進行しています。九州大学は、スーパーグローバル大学創成支援トップ型「世界大学ランキングトップ100を目指す力のある、世界レベルの教育研究を行う大学」のひとつに選ばれて、全学的に国際化をさらに進展させています。
その九州大学においても、法学部の国際化は他をリードするさまざまな取り組みを行っています。
交流協定と交換留学
九州大学法学部・法学府(大学院)は、独自の交流協定を世界の大学・高等教育機関と結んでいます(表)。法学部の学生は、大学間協定校に加えて法学部の交流協定校への交換留学ができます。また、これらの協定校から法学部へ毎年、交換留学生がやってきて一緒に勉強し、大学生活を送っています。

留学生との交流
現在、法学府(大学院)と法学部では合わせて20カ国以上の国から100名近くの留学生が学んでいます。この多様な留学生を生活や学習の面からサポートするのがサポートチームです。サポートチームは多くの留学生が最初に出会う日本人の友人でもあります。また、サポーターをすることで、日本にいながらにしてさまざまな国のあり方の一片に触れることができ、異なる背景を超えたコミュニケーション能力を磨く機会ともなります。


国際教育
法学府(大学院)には日英両語による修士課程(BiP)、英語のみによる法律系(LL.M)と政治学系(CSPA)の3つの国際修士課程と、法律系の国際博士課程(LL.D)があります。もちろん日本人学生も受験できます。これらの国際コースは、学部教育の国際化にも一役買っています。
「留学はしたいけどなんだか不安だ」という人は、まず九州大学で提供されている英語による授業に参加することをお勧めします。一般教養科目には留学生センターで実施されているJapan in Today’s World(JTW), Asia in Today’s World(ATW)やASEAN in Today’s World(ASTW)があります。必修の英語課目は多様なレベルと内容で、法学部学生それぞれのニーズと関心に応えられるように工夫されています。専門課程に進んだら、法学府国際コースの授業を聴講してみましょう。英語力を磨きながら留学の心構えをすることができます。
このようにそれぞれの段階で提供されている国際教育をうまく活用して交換留学を経験し、ひいては国際コースへの進学も進路選択のひとつとすることもできるでしょう。
国際コースでは授業のほかにも、その時々のトピックスを取り上げた講演会やシンポジウムなどが数多く英語で開催されていて、法学部学生の参加も大歓迎です。
いろいろな支援
留学をするには国際的に認められている語学能力試験の結果を提出することが求められるのが一般的です。たとえば英語であれば、TOEFLやIELTSなどです。こうした語学能力試験の受験を応援するために、法学部は、受験料の一部または全部を補助する制度を提供しています。このような語学能力試験の結果は、留学だけではなく、就職や社会活動にも活用できるものです。
また、いざ交換留学が決まれば、航空運賃の一部補助を受けられる制度もあります。
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留学体験記

私は3年後期から4年前期にかけての約1年間、オランダのUniversiteit van Tilburg(ティルブルフ大学)へ部局間交換留学に行きました。国際公法ゼミに所属していたため、「国際法の首都」と呼ばれるハーグのあるオランダでこの法分野の勉強がしたかったことと、自然豊かで穏やかな環境で過ごしたかったことから、Tilburgを留学先として選びました。
勉強面では、国際ビジネス法、国際人道法、国際民事紛争処理など、国際法系の授業を多くとっていました。授業ごとにスタイルは異なるのですが、私が受けた授業は「予習課題でインプット・授業でアウトプット」の形態が多かったです。私は自分の意見・考えを発信することに慣れていなかったため、最初は活発なディスカッションや発言に圧倒されてばかりいましたが、授業前に自身の考えをまとめ発言の準備をすることで、少しずつアウトプットに慣れていきました。
生活面では、8カ国から集まる16人の留学生とシェアハウス型の寮に住んでいました。個性も文化・国籍も生活スタイルもバラバラなフラットメイトたちとの暮らしは、留学生活を賑やかなものにしてくれました。フラットでのハロウィンやクリスマスなどのイベントはもちろんですが、夜中までたわいもない話やゲームをしたり、試験期間に一緒に勉強したり、夜ご飯を一緒に作ってシェアしたりと、何気ない日常もかけがえのない思い出です。
また、ヨーロッパ圏内の移動のしやすさを利用して、オランダ国内やヨーロッパの様々な地域を旅行しました。旅行先では五感でその土地の文化・歴史に触れることができたことに加え、参加したウォーキングツアーや宿泊したホステルで仲良くなった人と一緒にご飯を食べたり観光をしたりと、良い出会いもたくさんありました。クリスマス・年末年始には、以前九大に留学していて私がチューター(サポーター)をしていた友人とそのご家族がお宅に招いてくださり、フランスにある友人の家で日本とは一味違う休暇を過ごすことができました。
一年間の留学は、福岡で生まれ育った「井の中の蛙」だった私に、「大海」の一部を見せ、自身や自分の住む「井戸」について考える上での新たな視点や考え方をもたらしてくれました。留学中は大変なことも辛いこともありましたが、それらを通しての学びも多くありました。一年間オランダで学び、生活したからこその経験や出会いは、私にとってかけがえのない財産です。

私は現在、ドイツのミュンスター大学で約10ヶ月の学部間交換留学をしています。3月の中頃に到着したので、あと少しで3ヶ月が経とうとしているところでこの留学体験記を書いています。到着後の3月、4月は雨の降る日が多かったですが、夏に向けて晴れの日が増えてきています。ドイツの夏は最高だと友達に聞いているので楽しみです!
授業は4月から始まっていて、主に英米法の授業を受けています。ドイツは地理的にイギリスに近いということもあり、英米法の授業が豊富です。異なる法体系や法自体の学習は、日本法への理解を深める良い機会になっていると感じています。ほんとうはドイツにいるので、ドイツ法の授業を受けてみたかったのですが、ドイツ法の授業はドイツ語で開講されているみたいです(泣)。ただ、留学生向けにIntroduction to German Private Lawという授業が英語で開講されており、受講しています。その授業では、ドイツの民法典である「Burgerliches Gesetzbuch (BGB)」を中心に勉強しています。
予想はしていましたが、日本の「民法」との共通点が多くあり、ドイツ法の影響を感じました。また、ドイツに来てから、ドイツ語の勉強も始めました。ドイツでは若者を中心に多くの人が英語を話すことができ、スマホの翻訳機能もあるので言語においてあまり不自由はありませんでした。それでも、その国の言語でしかできないことや分からないことがあると思うので、ドイツ語の勉強を続けていきたいと思っています。
授業以外の時間も充実しています。たまに趣味の水泳をしたり、最近はジョギングも始めました。ミュンスターでは多くの人が、プライベートの時間を運動や自然の中で過ごしたりするので、私も自然とアウトドアになってきています。また、ミュンスター大学には、現地の学生で構成される留学生担当チームがあり、このチームが留学生に向けてさまざまなイベントを企画してくれます。私もよくそのイベントに参加しており、ヨーロッパ中から集まった留学生と交流できるので楽しいです。旅行も留学中の楽しみの一つです。留学生を含めたドイツの学生には、セメスターチケットという公共交通機関乗り放題券が配布されます。このセメスターチケットを使えば、長距離列車などは例外ですが、ドイツ国内であれば切符を買わずに旅行することができるのです!ほんとうに遠くまで行こうとすると、すごく時間もかかり、乗り換えも多いですが、活用しない訳にはいきません。大切な宝物のように重宝しています。
留学が始まってまだ3ヶ月程度ですが、多くの学びがありました。実際に生活してみないと分からないその地域の人々の考え方や生き方、そして外から日本を見てみることで、今までにない気づきもありました。まだまだ私の留学生活は続いていくので、ここで総括するのは難しいですが、留学してよかったと思っています。ずっと留学への踏ん切りがつかないでいましたが、先生方や家族、友人の協力もあり、実現することができました。協力していただいた方々への感謝をもって、締めさせていただきます。
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進学状況ならびに支援体制
近年、法科大学院(ロースクール)へ進学し、法曹を目指す人たちが多くなっています。ロースクールは「専門職大学院」で、修了後は「法務博士」の称号を得ることができます。入学試験から、入学後の勉強、さらに「司法試験」、また合格後も司法研修所での修養と、長期にわたる勉強が必要ですが、法学部ではロースクール進学を見据えたサポートを低学年時より行っています(また、2019年には「法科大学院連携プログラム」を開催しました)。多くの先輩が現にロースクールへと進学し、法曹資格を取得しています。さらに研究を志す人には、研究大学院修士課程、博士後期課程への進学のため、ゼミや勉強会を中心としたサポートを行っています。
就職状況ならびに支援体制
就職を希望する学生は、九州内外を問わず、有力民間企業に就職したり、あるいは国家公務員・地方公務員となる人が多いです。法学部では、就職相談から、就職ガイダンス、就職支援講演会、あるいは学修支援など、多くのチャンスを提供しています。また、法学部にキャリアデザイン専門の部署を設置し、学部として全面的にバックアップしています。ゼミの先生を中心に教職員一同、みなさん一人ひとりのサポートを行っています。小さなことでも分からないことはどしどし尋ねて、是非こうしたシステムを積極活用してください。
就活体験記
2024年法学部卒 松藤 優太(就職先:総務省)
私は今年の春、総務省に入省しました。私は、憲法ゼミに参加し、憲法学の中でも特に表現の自由について学んでいく中で、偽・誤情報問題等に関心を持ち、情報流通の健全性の確保という民主主義の維持・発展のためには必要不可欠な課題に取り組みたいと考えるようになりました。
そこで、偽・誤情報対策だけではなく、放送政策など様々な観点から施策を講じることが出来る総務省を志望しました。
公務員試験の対策には、公務員講座や筑紫会という団体を利用しました。試験対策に行き詰まり、悩んだ時期もありましたが、上記の団体で知り合った友人と一緒に対策したことで、最終的に総務省から内定を頂くことが出来ました。
公務員就活に限らず、就活は長丁場でしんどい時期もあると思いますが、一人で抱え込まず、周りの友人や先生に相談したり、時にはリフレッシュしながら、頑張っていただければと思います。
2024年法学部卒 古川 清子(就職先:福岡県庁)
「公務員試験の対策は、早ければ早いほど良い」。2年生後期、進路を決めかねていたとき、この言葉を聞いて、公務員就活を開始しました。志望先も定まらないまま、漠然と試験対策を開始しましたが、自己分析や政策研究を行う中で、県職員の、地域社会への貢献性の高さ、地理的にも業務的にもスケールが大きい業務に携わることができる点等に魅力を感じ、福岡県庁への入庁を決めました。
公務員試験は対策しなければならない科目数が多いため、計画的に進めることが重要だと思います。その意味でも、試験対策を早期に始めることができたのは良かったと感じました。とはいえ、遅く始めたからだめというわけでもありません。法学部での学習内容と試験範囲は重なる部分も多いため、試験対策を周囲より遅れて始めたとしても、大きく不利になることはないと思います。
また、就活相談室も積極的に利用し、悩み相談や面接指導をしていただきました。私は、ある自治体の試験で大きく失敗してしまい、精神的に落ち込みました。そんなときに訪ねた相談室のアドバイザーの方の言葉に大変助けられました。このように、九大法学部は就活の支援体制が充実しているので、こうした制度を積極的に活用して就活を進めていってください。就職活動は、体力的にも精神的にも大変な時期もあるかと思いますが、皆さんが希望の進路に進めることを心より祈っています。
2023年法学部卒 穴井 希実(就職先:日本生命保険相互会社)
今年の4月に、日本生命保険相互会社に就職しました。大学では行政学ゼミに所属し、毎週様々なテーマに対して発表・議論する中で、論理的思考力を養う訓練ができたと感じています。
就職活動では、公務員・民間企業問わず様々な業種に幅広く応募し、自分の将来について真剣に考えました。最終的に、自分の中で大きなご縁を感じた日本生命保険相互会社に就職を決めました。就職活動時には、ゼミのOBの方をはじめとする九州大学の先輩方に相談させていただくことも多く、お忙しい中とても親身になって相談に乗ってくださったことで、壁をひとつひとつ乗り越えていくことができました。公務員や、法曹や研究者を目指すための進学など、法学部の同級生は様々な進路に進んでおり、九州大学法学部で4年間学ぶことで、皆さんの将来は大きく広がると思います。大学周辺や学研都市駅の開発も進んでおり、大学生活はますます充実したものになるのではないでしょうか。皆さんが希望の進路を勝ち取ることができるよう、応援しています。
(2023年7月執筆)
2023年法学部卒 大塚 もえ(就職先:トヨタ自動車)
私は今年の春から縁あってトヨタ自動車に就職させていただきました。海外に興味があり、コロナ禍で留学は叶わなかったのですが、海外で働くことに興味がありました。
また、世界で通ずる日本のモノづくりに関わりたいと考えていました。両親もメーカーで働いていたこともあり、仕事が目に見えるかたちで社会に貢献できるところからグローバル、モノづくりの視点で就職活動をしていました。
私が入社を決めたトヨタ自動車は、世界中で認められている車づくりの会社です。実際にタイや台湾、アメリカに旅行に行った際にも日本の車メーカーは選ばれて、安全で丈夫な車として評価を受けています。
何よりも入社することにした決め手は、就職活動時に出会った先輩社員の方々でした。仕事は平日はとても忙しそうでしたが、プライベートにも全力で、海外で働く夢を楽しそうにお話される姿に私はとても惹かれました。
私は業務内容も大事ですが、就職活動時に出会う「ひと」も就職先を選ぶ一つの大きな基準だと思います。1日の大半を、もしかしたら家族よりも長い時間を過ごすことになる職場で、一緒に切磋琢磨する同僚や先輩を就職活動時に見極めてください。
大学での学びは、必ず社会人でも役に立つはずです。私は、行政学ゼミで、嶋田先生に何度も繰り返し言われた「他者意識」が仕事に活きています。仕事は、多くの関係部署、そして多くの関係する会社様によって成り立ちます。相手の立場に立って、お願いをしたり、頼まれた仕事をしたりすることは信頼を得ることにつながります。大学生活での学びが、皆さんの社会人生活の基礎となるはずです。大学生活を思いっきり楽しみ、周りにいる優秀な先生方や先輩、同期、後輩からたくさん学んでください。就職活動はつらいと思う瞬間があると思いますが、後輩の皆様が納得のいく決断のできるように応援しています。
(2023年7月執筆)
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九州大学法学部の教員と学生からなる『九州大学法政学会』では、毎年、裁判官・検察官・弁護士等を講師として招いて、「ロー・アンド・プラクティス・セミナー(略称LPセミナー)」を開催しています。プラクティスとは、(法の)実践を意味する言葉ですが、学生の皆さんにとっては、現役の法律実務家の実体験に基づいた講義を聴き、「生きた法」を学ぶ絶好の機会と言うことができます。また、このセミナーは、20年あまりの実績をもち、他の大学にはない九大法独自の試みとして、高く評価されています。
講義の終わりには、その締めくくりとして、法律実務家と手造りの模擬裁判という企画も準備しています。
学生の皆さんは、このセミナーに参加することによって、法の実際の運用や法律家の仕事の面白さに触れることができます。また、将来、法科大学院への進学を考えている学生にとっても、主体的な参加を通じて有益な示唆が得られることと思います。

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●裁判官チーム
・最初は法学部の専門科目をほとんど受けていない私たちに裁判ができるのか不安でしたが、弁護士の先生のご指導のもとで準備をして、本番では判決を出すことができてほっとしました。弁護士の先生からは模擬裁判に用いる知識だけでなく、法律を学ぶ上で大切な考え方を教わりました。私はまだ進路を決めていませんが、法曹に興味がある人はもちろん、他の進路を考えている人にとっても模擬裁判は有意義なものだと思います。 -
●原告チーム
・証拠書類や陳述書などからみんなで矛盾を見つけ出したり、当日尋問の中で新たな質問を考えたりするなど頭を使うとてもおもしろい経験でした。また、一緒に取り組んだメンバーと思っていた以上に仲を深めることができて嬉しかったです。実際に実務を行う弁護士の先生からのお話を聞いたり、施設を見て回ったりできて法曹に進みたいという気持ちが強まりました。このような貴重な機会をいただきありがとうございます。
・夏季休暇中は、模擬裁判に参加するかどうか悩みましたが、友達に誘われたから、また、弁護士さんと関われる機会だからという浅い理由で参加を決意しました。ですが、模擬裁判の準備を進めていくにつれて、どんどん模擬裁判の魅力に気がつき、とても充実した活動となりました。具体的には、原告グループのみんなで、主尋問を考えたり、相手の弱い部分をつくために、反対尋問を工夫したりしたことがとても印象に残っています。模擬裁判の準備は大変でしたが、本当に参加してよかったと思います。 -
●被告チーム
・初めて裁判資料を読んだ時は原告の言い分がもっともらしく感じられ、被告の弁護を自分たちが本当に出来るのか不安に思った。しかし証拠を詳しく調べていくにつれて原告の言い分に綻びがあることが分かってきて、だんだんと楽しくなっていった。もちろん、被告の主張が全て正しいというわけではなかったものの、何とかして被告を守りたいという気持ちが強くなっていった。
また、私は反対尋問の担当だったが、どうすれば自分たちの獲得目標を達成できるか、そして裁判官にそれを伝えることができるかを考えながら質問を考えるのは難しい作業だった。普段の会話とは全く異なるものであり、自分の思考力が試されるものであった。浦川先生からの助言をもとに自分たちの案を修正していく作業は、最終形までの道のりは長かったものの、同じチームの仲間と共に試行錯誤する時間は非常に有意義であった。
今回の模擬裁判での活動を通して、私は自分の考えをより正確に、そして理論的に人に伝える力を身につけることが出来たと思う。自分で考えたものを人に共有することで、人に伝える過程で自分の理解を深められたり、自分にはない視点から意見を得られたりするということを学んだ。人に伝える術、また、そこから得られる恩恵の重要さをこの模擬裁判で再確認することが出来た。これからの生活の中でこれらを活かしていきたいと思う。





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