●法政基礎演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
司法制度の形成から日本の法を考える
開講学期
前 期
担当教員
山口亮介  
単位数
2単位
教  室
303
科目区分
入門科目
履修条件
 特にありません。司法制度・裁判制度の歴史・沿革をはじめとして現代法の前提にどのような法や制度があるのかについて興味・関心を持つ方に履修をお勧めします。
 
授業の目的
【1】「法制史」に触れる:歴史的な観点から物事の基礎を問う
 東洋・西洋を問わず様々な法と制度の影響を受けて形成されてきた日本の法を考える上で、その歴史的前提に遡って検討を加えることは、現代法をより深く理解するうえで有益な営為であると考えられます。本演習は、法制史の立場から、司法省・各裁判所の設置や「裁判所構成法」(1890年)等の諸法令の施行など、明治時代以降に西洋法の学習と受容を通じて具体的な進展をみるわが国の近代法形成期の司法制度・裁判制度の展開の過程を学ぶことによって、現代のわれわれを取り巻く諸法制を多角的な視点から考察・評価するきっかけを得ることを目的とします。

【2】思考する力・調べる力・発信する力の集中的トレーニング
 本演習は「基礎演習」として、報告・質疑を行う上での方法・形式の学習及び実践のトレーニングを行います。報告に当たってテキストを精読しどのようにポイントを掴むか、関連する文献や資料(史料)に(図書館やデータベース等を駆使して)アクセスするにはどうすればよいか。それらをどのようにレジュメ等で文書化するとともに、自己の見解を含めて説得的に参加者に伝えることができるか。また、報告に対して事実や用語の確認にとどまらず「何々はなぜそうなっているのか」・「そうなった理由(あるいは背景)は何々と思うがどうか」といった、「なぜ」や「こう考える」ということを含めた疑問や意見をどれだけ提起することができるか。これらの「学習の作法」への意識的な取り組みを通じて、高年次の講義・演習の受講のみならず、自学を行う上での基礎体力を養うことを目指します。
 
授業の概要・計画
【授業の概要】
◯近代(明治・大正・昭和期)日本の司法制度の形成と展開について、テキストを読み進めていきます。参加者は担当する章につきテキストや関連する参考文献をもとに報告を行っていただき、報告後参加者全員で当時の法や制度を社会や思想のあり方との関連、また現代の法制との対比などの諸論点について議論を行っていきます(第3〜7、9〜14回)。
◯また、以上のプロセスを進める前提として、またこれからの学習にも資するものとして、レジュメやレポートの書式から文献の読解、リサーチ、効果的なプレゼンテーションなどについての訓練を行います(第1〜2、15回。このほか適宜実施)。

【授業計画】
 第1回 担当教員・各参加者の自己紹介ののち、ゼミの進行についての説明、テーマ選択、
文献の調べ方・プレゼンテーション・質疑応答の留意点についての小講義を実施
第2回 担当教員による報告の形式をとり、ゼミの進行・報告と議論の仕方等について確認
第3回 (報告第一回)草創期の司法
第4回 (報告第二回)「司法の近代化」を目指して
第5回 (報告第三回)治罪法と裁判所
第6回 (報告第四回)裁判所官制における裁判所の構成
第7回 (報告第五回)行政訴訟制度・司法官養成の萌芽
第8回 中間総括(プレ討論)
第9回 (報告第六回)裁判所構成法の前提条件
第10回 (報告第七回)裁判所構成法と外国法
第11回 (報告第八回)裁判所構成法の成立とその内容
第12回 (報告第九回)行政裁判所・特別裁判所の設置
第13回 (報告第十回)調停制度・陪審制度
第14回 (報告第十一回)戦後の裁判所と司法権
最終回 演習全体の総括討論・最終レポートについて
 
授業の進め方
(1)参加者は上記のスケジュールの中で最低一回(参加人数によります)のレジュメによる報告を行うこととします。各回ともに報告者のほかに司会者を事前に選び、次のとおり演習の進行を担当していただきます。
1.報告者、担当範囲の紹介
2.報告(報告者)
3.質疑応答、全体討論
4.担当教員コメント
5.報告者総括
また、報告者・司会者以外の各参加者は各回のテーマを予習した上で疑問点やコメントを用意して全体討論に臨んでください。その際、必ず一度は発言を行うように心がけてください。

(2)個別報告開始後2、3回ごとに、それまでの報告やテキストの内容をもとに疑問・質問や各参加者の考え等を小レポート課題として提出していただきます。また学期末には、各参加者が行った報告と議論を基にレポートを作成していただきます。これらのレポートの形式・分量については、演習開始後に指示します。
 
教科書・参考書等
【使用テキスト】
新井勉・蕪山嚴・小柳春一郎編『ブリッジブック近代日本司法制度史』(信山社・2011年)

【参考図書】
(法制史に関係するもの)
川口由彦『日本近代法制史』(新世社・1998年)
浅古弘・伊藤孝夫・植田信廣・神保文夫編『日本法制史』(青林書院・2010年)
(テキストの読解・議論に関係するもの)
福沢一吉『論理表現のレッスン』(日本放送出版協会・2005年)
これらのほか、演習中に適宜紹介を行います。
 
成績評価の方法・基準
 以下の諸点を総合的に判断し、評価を行います(括弧内は評価の割合)。
1.演習出席状況(10%)
2.演習における議論への参加状況(20%)
3.演習における報告・司会進行(20%)
4.小レポート(20%)
5.期末レポート(30%)
 
その他(質問・相談方法等)
 質問・相談は随時受け付けます。メールアドレスは、
yama-ryo 【】 law.kyushu-u.ac.jp (※【】を@に置き換えてください)です。
 演習を欠席する場合は、必ず担当教員に連絡をしてください。
 
過去の授業評価アンケート 2011年度前期