●法政基礎演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
自由民主党の研究
開講学期
前 期
担当教員
篠原 新  
単位数
2単位
教  室
2研
科目区分
入門科目
履修条件
特にありませんが、戦後日本政治や現代日本政治に関心がある方の参加を歓迎します。
授業の目的
本演習では、大きく以下の4点を目的としたいと思います。
  1.自由民主党の研究を通して、戦後日本政治や現代日本政治についての理解を深めること。
  2.テキストの記述から著者の意図を読み取る力を習得すること。
  3.今後、様々な演習に参加するにあたって重要と思われる、報告の仕方、論点提示の仕方、議論の進め方などの基本的なスキルを習得すること。
 4.論文(レポート)の書き方を習得すること。
授業の概要・計画
《授業の概要》
1955年、自由党と日本民主党による保守合同によって自由民主党が結成されました。当初は存続が危ぶまれた自由民主党ですが、1955年の結成以降2009年まで、ほとんどの期間、与党であり続けました。2009年の総選挙では、民主党に敗北して下野したものの、2012年の総選挙では民主党に勝利し与党に復帰しました。このように自由民主党は、戦後日本政治や現代日本政治を考察する上で避けては通れない位置を占めていると言えるでしょう。
本演習では、この自由民主党を分析対象とした2つの文献を取り上げます。これらの文献の輪読を通じて、自由民主党がいかなる歴史的背景を持っているのか、これまでにどのような政策を遂行してきたのか、また、なぜ長期間に亘って政権を維持することができたのかなどについて理解を深めたいと思います。その後、こうした理解を背景として、現在の自由民主党がこれまでの自由民主党と比べていかなる点で変化しているのか、また、どのような問題を抱えているのかなどについて考えていく予定です。

《授業の計画》
具体的には、北岡伸一『自民党』(中公文庫、2008年)と野中尚人『自民党政治の終わり』(ちくま新書、2008年)を輪読します。前者は、自由民主党結成から宮澤内閣までの歴史を扱ったものです。後者は、55年体制の下で構築されてきた自由民主党の「システム」が崩壊しつつあることを分析したものです。演習では、自由民主党を分析するにあたり様々な観点や評価があることを理解し、著者の問題関心や読者に伝えたい内容や意図を把握することに努めたいと思います。
演習終了後には、これまでの議論を踏まえて、自由民主党について各自の関心あるテーマを分析・検証したレポート(5000字程度)を提出していただきます。その後、全員分のレポートを収めた論文集を作りたいと思っています。

第1回:オリエンテーション
第2回−第7回:北岡伸一『自民党』についての報告と議論
第10回−第14回:野中尚人『自民党政治の終わり』についての報告と議論
第15回:レポートの書き方について
授業の進め方
初回の演習で、報告担当者(1人複数回割り当てます)を決めます。また、報告の仕方やレジュメの作成の仕方、議論の進め方などについて説明します。
  以降の演習では、報告担当者がレジュメを作成した上で報告を行います。その際、テキストの内容に関する疑問点や論点も挙げるものとします。演習は基本的に、@担当者による内容の報告、A内容に関する質疑応答、B担当者が挙げた疑問点や論点についての議論、という流れで進めたいと思います。原則として、1回の演習で1−2章程度の量をあつかう予定です。
  また、本演習では終了後にレポートを提出していただくことにしていますので、最後の演習で文献収集や引用・脚注の仕方などレポートの書き方を説明したいと思っています。
教科書・参考書等
・テキスト
北岡伸一『自民党──政権党の38年』中央公論新社(中公文庫)、2008年。
野中尚人『自民党政治の終わり』筑摩書房(ちくま新書)、2008年。

・戦後日本政治史についての参考文献として、
田中浩『戦後日本政治史』講談社(講談社学術文庫)、1996年。
冨森叡児『戦後保守党史』岩波書店(岩波現代文庫)、2006年。
石川真澄、山口二郎『戦後政治史』(第3版)岩波書店(岩波新書)、2010年。

・55年体制下の自由民主党についての参考文献として、
  佐藤誠三郎、松崎哲久『自民党政権』中央公論社、1986年。
石川真澄、広瀬道貞『自民党──長期支配の構造』岩波書店、1989年。

・最大野党であった日本社会党についての参考文献として、
原彬久『戦後史のなかの日本社会党──その理想主義とは何であったのか』中公新書(中央公論新社)、2000年。
岡田一郎『日本社会党―その組織と衰亡の歴史』新時代社、2005年。

※また、演習時に適宜、紹介します。なお、参考資料は適宜、配布します。
成績評価の方法・基準
試験は行いません。
成績は、出席状況(20%)、報告内容及び議論への参加度(40%)、レポートの内容(40%)で評価します。

その他(質問・相談方法等)
演習に関するご質問やご相談はメール(shinohara(アットマーク)law.kyushu-u.ac.jp)で随時受け付けます。また、直接研究室(法学府第16研究室 TEL 092-642-3233)にお越しいただいても構いませんが、不在のときもありますので、事前にメールでご連絡ください。
過去の授業評価アンケート  2012年度前期