履修条件 |
このシラバスをよく読んだ上で、主体的にゼミ活動に取り組む意欲のある人。 ゼミは少人数の講義なので、学生同士、あるいは学生と教員とのコミュニケーションを十分にはかることができます。このような恵まれた環境のなかで、刑事裁判というテーマを通して「法とは何か」という問題を一緒に考えてゆきましょう。 |
授業の目的 |
コアセミナーの共通目標は、次の4つです。 (1)情報の集め方について学ぶこと (2)情報の分析の仕方について学ぶこと (3)議論の方法について学ぶこと (4)自分の意見を説得的に文章にまとめる技術について学ぶこと
このゼミ固有の目標は、次の3つです。 (1)近代刑事法原則の意義を理解すること 日本国憲法第31条〜第40条は、日本の刑事裁判を律する重要な原則を定めています。講義の前にぜひ読んでみてください。読んでいるうちに、「なぜ、このような原則があるの?」、「なぜ、憲法は約100箇条のうち10箇条も刑事裁判に関する条文にあてているの?」など、いろんな疑問がわいてくると思います。その疑問を、一緒に考えてゆきましょう。 つまり第1の目標は、刑事裁判に関する重要な原則、すなわち「法」の意義を理解することです。 (2)日本の刑事裁判の現状を批判的に分析すること もしも刑事裁判が「法」の通りに実行されているならば、「法」さえ理解すれば刑事裁判についても理解したことになるのかもしれません。ところが実際の刑事裁判は、「法」の通りに運用されていないこともあります。したがって日本の刑事裁判を理解するには、その現状を知った上で、「なぜ、『法』のいう通りに運用されていないの?」、「現実が『法』と違うのは、問題じゃないの?」といった疑問を考え続ける必要があります。 つまり第2の目標は、「法」と現実とのギャップを知り、批判的に分析することです。 (3)先端的テーマがもつ問題の奥深さを実感すること みなさんは、新聞報道やニュース、あるいは書籍などを通じて、刑事裁判に関する先端的テーマを知っているかもしれません。例えば、「裁判員制度」、「刑事裁判への被害者参加」、「取調べの可視化」といった立法問題を思い浮かべる人もいれば、具体的な刑事事件を思い浮かべる人もいるかもしれません。 法学部生になったからには、このようなテーマをききかじってその場限りの感想をいだいて終わるのではなく、その問題の奥深さを実感したいと思いませんか。本格的な勉強は3年生以降の演習や「刑事訴訟法」という講義でやるとしても、時間が許す限り、一緒に議論してゆきましょう。 |
授業の概要・計画 |
第1回 自己紹介/授業概要の確認/報告順番の決定など 第2回 文献収集の仕方の説明、六法・判例・基本書の使い方などの説明 第3・4回 「刑事裁判・総説」 刑事裁判の基本的問題に関する担当教員によるレクチャー 第5〜12回 「刑事裁判の諸問題」 数人から成るグループもしくは個人による報告とディスカッション 第13回以降 まとめと予備日 ※詳細は次の「授業の進め方」をご覧下さい。 ※順番等が入れ替わる可能性があります。
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授業の進め方 |
(1)この講義では、第1・2回でゼミに関する基本事項を確認した後、第3・4回のレクチャーは担当教員が行います。第3・4回の講義のねらいは、@刑事裁判の基本的問題の所在をおさえること、Aレジュメの形式を学ぶことです。 第5〜12回(全8回)は、参加者のみなさんによる報告と議論で構成されます。具体的には、グループもしくは個人による報告(30分程度)の後、その報告内容について全員による議論を行います。担当者は、事前に報告テーマについて調べて、レジュメの作成および印刷を行い、報告1週間前のゼミでレジュメを配付してもらいます。担当者以外の者は、配付されたレジュメを手がかりに、また関連文献を調べるなどして、報告テーマについて検討し、当日発言できるよう準備をしてきて下さい。当日の司会は、次に報告をするグループもしくは個人が担当します。 第13回以降は、第5〜12回の報告・議論を踏まえて、各担当者から、より発展的な報告をしてもらう予定です。 (2)第5〜12回の報告テーマは、@無罪の推定(疑わしきは被告人の利益に)、A黙秘権、B冤罪(誤判)、C犯罪被害者と刑事裁判、D裁判官の役割、E検察官の役割、F弁護人の役割、G裁判員制度の計8テーマを予定しています。報告者には、この講義の目標との関係で、それぞれのテーマについて、そのテーマに関する「法」を見つけて、そのテーマに関する現実を「法」に照らして評価(批判)してもらいます。 (3)報告担当者は、報告から2週間以内に、報告テーマについてのレポート(2000字程度。超過しても構わない)を担当教員に提出して下さい。レポートは、@報告当日の議論を踏まえ発展させた内容で、A少なくとも2〜3の文献(インターネット上の情報を除いた活字のもの)を引用したものとします。 (4)報告テーマについてのレポートの他に、以下の2つのレポートを作成・提出してもらいます。第1に、各自、法廷傍聴に行ってもらい、その成果としてのレポート(形式等については講義で指示します)を作成してもらいます。第2に、各自、小坂井敏晶『人が人を裁くということ』(岩波新書、2011年)を読んでもらい、その成果としてのレポート(5000字程度)を作成してもらいます。いずれも7月20日の講義までに提出して下さい。 |
教科書・参考書等 |
六法は、必ず持ってきて下さい(小型のもので構いません)。 @秋山賢三『裁判官はなぜ誤るのか』(岩波新書、2002年)、A平川宗信『刑事法の基礎[第2版]』(有斐閣、2013年)、B小坂井敏晶『人が人を裁くということ』(岩波新書、2011年)については、各自、事前に購入し、@Aについては予め読んでおいてください(Bについては、上述の通り、レポートの課題となっています)。 またC南野森編『ブリッジブック法学入門〔第2版〕』(信山社、2013年)は、前期の講義として皆さんが受講する「法学入門」の教科書ですが、この本に収められている第4章3と第11章(いずれも豊崎執筆)についても、各自、予め読んでおいてください。 その他の参考図書等については、適宜、指示します。 |
成績評価の方法・基準 |
無断欠席のないことが単位認定の前提条件になります。その上で、@ゼミ報告・発言等の平常点とAレポート・小論文との総合評価とします。 |
その他(質問・相談方法等) |
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過去の授業評価アンケート |
2012年度前期 |