コアセミナー

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
コアセミナー
標準年次
1
講義題目
古典から学ぶ市民の教養
開講学期
前 期
担当教員
木村 俊道
単位数
2単位
教  室
2研
科目区分
基幹教育科目
履修条件
「古典」や「名著」を読破してみたい方。「市民」としての「教養」や「わざ」を身に付けたい方。思想・歴史・理論の観点から、政治や法に関わる人間の営みを、その「深み」において理解したい方を歓迎します。
授業の目的
【コアセミナーの共通目的】
大学時代の4年間は人生の中で最も能力が伸びていく時期の一つです。そのために是非とも必要なのが、入学直後の現段階で政治学・法律学の勉強の仕方を身につけておくことです。このコアセミナーは、少人数でのゼミ形式を通じて、具体的には以下の4点にわたる勉強の「型」や「フォーム」を体得することを目的としています。

(1)情報の集め方について学ぶこと(リサーチ能力)
(2)情報の分析の仕方について学ぶこと(分析能力)
(3)議論の方法について学ぶこと(ディスカッション・プレゼンテーション能力)
(4)自分の意見を説得的に文章にまとめる技術について学ぶこと(レポート・論文作成能力)

【この授業の目的】
本演習では、政治学・法学の「古典」を、時間をかけてゆっくりと読みます。この作業を通じて、人間や社会に対する洞察力を養い、他者と関わりのなかで生きる「市民」に必要とされる「教養」や、「善き生」を営むための「わざ」を身につけることを目的とします。
授業の概要・計画
昨今の日本社会においては、政治的リーダーシップや構想力の欠如、法に携わる者のモラルの低下、そして市民としての意識の劣化が大きな問題となっています。他方でまた、学問や科学の世界でも、知識の専門分化の弊害が顕著になっています。これらの原因の一つは、豊かな市民社会を営むために必要な、広い意味での「教養」の欠如にあるのではないでしょうか。

歴史と格闘した古典は、学問的な思考を鍛えてくれるだけでなく、わたしたちが、一人の市民として成長するための知的な糧となります。本演習では、そうした活動的な市民の「稽古」に欠かせない古典として、次の2作品を通読します。

 (1)マキアヴェリ『君主論』(1532)
 (2)中江兆民『三酔人経綸問答』(1887)

(1)は、権力政治のデモーニッシュな側面をリアルに描き、国家存亡の危機を乗り越えるために必要な君主の力量とは何かを論じた作品です。人間や政治に対する鋭い洞察に圧倒されます。
(2)は開国期の日本を舞台に、迫り来る西洋列強の脅威に対して、将来の日本が進むべき道を模索した作品です。民主主義や自由の理念、戦争の是非をめぐって、三人の酔客が激論を闘わせます。
授業の進め方
★毎回のゼミは以下のように進めます。
 (1)報告者を2名ずつ指名します。
 (2)報告者は、テクストの内容を「レジメ」にまとめ、それを「報告」します。併せて「コメント」も用意します。
 (3)その後、テクストの解釈や論点について、全員で「討論」します。

★小論文とゼミ論
また、テクスト読了後、『君主論』と『三酔人経綸問答』に関する小論文を作成し、講読の成果を確かなものにします。昨年は夏にリライトの期間を設け、それをもとにゼミ論集を作成しました。この一連の作業をこなすと、学問的な基礎力がかなり上昇します。

教科書・参考書等
【テクスト】
・マキアヴェリ『君主論』、池田廉訳、中公クラシックス、2001年
・中江兆民『三酔人経綸問答』、岩波文庫、1965年 
・岡崎晴輝・木村俊道編『はじめて学ぶ政治学−古典・名著への誘い』ミネルヴァ書房、2008年
 ↑★過去数年間におけるこのゼミの成果の一つです★

【参考図書】
・佐々木毅編『現代政治学の名著』中公新書、1989年
・佐々木毅『政治学の名著30』ちくま新書、2007年

・苅部直『ヒューマニティーズ 政治学』岩波書店、2012年

・塩野七生『わが友マキアヴェッリ』全3巻、新潮文庫、2010年
・司馬遼太郎『「明治」という国家』(上下)NHKブックス、1994年

・鴻上尚史『あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント』講談社文庫、2003年


成績評価の方法・基準
毎回の出席や報告・発表、授業への取り組み方、および小論文(ゼミ論)の内容によって総合的に評価します。
その他(質問・相談方法等)
過去の授業評価アンケート  2012年度前期