法政基礎演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
近代日本の戦争と外交の歴史について考えるーー日中関係を中心に
開講学期
前 期
担当教員
後藤啓倫  
単位数
2単位
教  室
403
科目区分
入門科目
履修条件
特にありません。
授業の目的
本演習の目的は、以下の三点にあります。
(1)近代日本における戦争と外交の歴史に関する認識を深めること
(2)日中関係の歴史を相対的に理解し、日中関係について歴史的に考える思考を養うこと
(3)レジュメの作成方法、文献の読解能力、自分の考えを文章にまとめる能力を養うこと
授業の概要・計画
〈授業の概要〉
近年、日中関係は、いわゆる「尖閣問題」に端を発しながら、さらに「靖国神社参拝問題」が加わったことなどから緊張の度合いを深めています。戦後から60年以上経つ現在においても、こうした日中両国の擦れ違いをもたらす背景の一つとして、近代日中関係の歴史のなかでも、とりわけ近代日本の中国に対する戦争と外交に関する歴史認識の差異が考えられます。
そこで、本演習では、こうした問題関心の下に、現在の日中関係を考える手掛かりとして、歴史認識の前提となる日中間の近代における戦争と外交の歴史的展開を、これまでの実証研究によって明らかにされた事実に基づいて検討していきます。以上を通じて、日中関係を近代日本の戦争と外交という観点から参加者の皆さんと議論し、考えていきたいと思います。
具体的には、加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(朝日出版社、2009年)を輪読します。その際、著者の歴史事実の叙述にあらわれる著者の問題関心や著者の意図を正確に読み取ることに努めます。同時に、著者の依拠する資料や先行研究に当たることで、資料引用の適切さ、評価の妥当性についても検討し、著者の見解も多様な解釈のなかの一見解に過ぎないと理解することにも努めます。そして最後に、参加者の皆さんにはこの演習での議論を踏まえて、近代日本の戦争と外交に関するレポートを提出してもらいます。
本演習を通じて高年次専門科目を深く学ぶために必要な資料批判や論理的思考とともに、「学んだことを問う」といった学問の構えをぜひ身につけてもらえればと思います。

〈授業の計画〉
第1回:オリエンテーション
第2回から第8回:『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』の輪読
第9回:資料の調査方法について
第10回から第14回:『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』の輪読再開
第15回:『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』の総括とレポートの書き方について
授業の進め方
以上の計画に沿って『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』を毎回35ページ程度読んでいきます。
初回の授業において報告担当者とコメンテーターを決めたいと思います。報告者にはレジュメを作成し、担当個所の内容を報告してもらいます。その際、報告者には担当個所の内容に関する論点を提示してもらいます。報告者の論点に対してコメンテーターに考えを述べてもらいます。
演習は基本的に、(1)担当者による内容の報告、(2)内容に関する質疑応答、(3)報告者とコメンテーターの質疑応答、(4)報告者のコメントに対して全員で議論という流れで進めていきます。
また、初回の授業では、自己紹介をしてもらった後、レジュメの作成方法、論点提示の仕方などについて説明します。
第9回の資料の調査方法では、文献の検索方法など解説します。第15回のレポートの書き方では、課題レポートの書き方について解説します。
教科書・参考書等
〈教科書〉
加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』朝日出版社、2009年

〈参考図書〉
加藤陽子『戦争の日本近現代史』講談社現代新書、2002年
川島真・服部龍二編『東アジア国際政治史』名古屋大学出版会、2007年

その他の参考文献、専門的な学術論文などは、演習時に適宜紹介します。
成績評価の方法・基準
試験は行いませんが、全演習終了後に2000字程度の近代日本の戦争と外交に関するレポートを課します。
成績については平素ならびに提出レポートから総合的に判断します。
その他(質問・相談方法等)
質問や相談はゼミ中でもゼミ終了後でもいつでも受け付けます。また、直接研究室(法学部第1研究室)にお越し頂いても構いません。ただ、不在の場合があるので、事前に下記のメールにて連絡頂けると助かります。
h_goto[アットマーク]law.kyushu-u.ac.jp
※[アットマーク]@に置き換えて送信してください。
過去の授業評価アンケート 2013年度前期