政治理論発展特殊講義

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
政治理論発展特殊講義
標準年次
3・4
講義題目
日本政治思想史
開講学期
後 期
担当教員
眞壁 仁  
単位数
2単位
教  室
203
科目区分
展開科目
履修条件
特になし。
授業の目的
(1)いくつかの政治的観念が、前近代・初期近代の日本においてどのように語られたのか理解を深める。政治社会において何を実現すべき価値と考え、それを所与の条件下で如何に追求したのか――歴史的文脈のなかで各時期の思想家の主張を理解する。
(2)歴史や思想家についての、研究史における評価変遷を考える。過去、つまり歴史理解には、価値中立的な理解などなく、常にある解釈が含まれている。歴史理解とは、絶えまざる解釈的な行為の繰り返しである。私たちの政治観、歴史観も、それらの上に成り立っていることを自覚する。
(3)私たちはどのような立場にあれ、ある歴史解釈とその上に成立する政治権力を、自ら自由に選択した任意の歴史解釈と思想評価に照らして識別し、判断していくことが求められるであろう。日本の政治的伝統に向き合う態度と、その際に立脚する思想的立場を考え続けることが、履修生各自にとって受講後の「目標」である。
授業の概要・計画
【授業概要】  現存する諸利益の対立を解決し秩序を形成していくことは、政治社会の普遍的な課題である。その際、現代の民主政治は、担い手の専門化・少数化が進行するなかにあっても、多数者の支配の貫徹を標榜し、そこに権力の正統性を求めている。このひろく「共有された近代」の政治思想に至るには、政治社会ごとに全く異なる文化状況のもとでの対立と論争の過程があり、今日の社会はなお、個々にその緊張に満ちた思想的刻印を帯びている。この授業では、東アジアの近代日本の政治社会を事例に、(1)政治権力の正統性がどのような論理によって主張されてきたのか、また(2)その承認や社会の現実をめぐって、政治的な諸理念が当時の知識人たちによってどのように主張され、いかなる議論の蓄積を生んできたのかを考察する。

【授業計画】  授業は、以下の内容を予定している。今年度は、近代日本への継受を視野に収めつつ、とくに近代以前の国家と宗教の問題を中心に扱う。変更を含め、詳細は初回の授業で説明する。

(1)はじめに:課題と対象
(2)「祭事」「奉仕事」
(3)「礼治」「徳治」「法治」
(4)「忠誠」「道理」
(5)「神国」
(6)「王法」「仏法」
(7)「御威光」「神祖」
(8)「天人相関」「天下」「三代」
(9)「儒家神道」
(10)「仁齋学」「徂徠学」
(11)「自然に帰れ」
(12)「國體」「祭政一致」
(13)「宗教」
(14)「国家神道」
授業の進め方
毎回配布したレジュメに沿って授業を行う。
教科書・参考書等
 教科書は使用しない。以下の参考図書は、長年「日本政治思想史」を講じてこられた方々の講義の成果である。当該分野の学問の「型」を身につけるためには集中講義の受講では不十分であり、これらを水先案内人として直接日本の「古典」を読み漁ってほしい。

丸山眞男『忠誠と反逆──転形期日本の精神史的位相』(筑摩書房、1993年/ちくま学芸文庫、1998年)
丸山眞男『丸山眞男講義録 日本政治思想史講義』第4・5・6・7巻、東京大学出版会、1998-2000年)
渡辺浩『日本政治思想史──十七〜十九世紀』(東京大学出版会、2010年)
渡辺浩『東アジアの王権と思想』(東京大学出版会、1997年)
宮村治雄『日本政治思想史──「自由」の観念を軸にして』(放送大学教育振興会、2005年)
松本三之介『明治思想史──近代国家の創設から個の覚醒まで』(新曜社、1996年)
松澤弘陽『改訂版 日本政治思想史』(放送大学教育振興会、1993年)
石田雄『日本の社会科学』(東京大学出版会、1984年)
成績評価の方法・基準
講義最終日に論述形式の筆記試験を行う。
その他(質問・相談方法等)
日程:12/23(火)〜12/26(金)
過去の授業評価アンケート 2013年度