長期留学

長期留学

GVプログラムでは、長期留学は義務ではありません。学生の権利として、学術交流協定締結校への長期留学を行うことができます。大学間協定校一覧はこちら、部局間協定校一覧はこちらをご覧ください。

以下では、GVプログラム生の留学体験記を掲載しています。

ボルドー政治学院(フランス、2017年後期)

山下 萌子(2018年9月GVプログラム卒業)

 私は、九州大学の留学プログラムの支援を受け、2017年9月から1セメスター、フランスのボルドー政治学院に留学しました。
 フランスに到着した初日に、寮までの道を尋ねても早口のフランス語を聞き取れず、なかなか寮へたどり着けないという苦い洗礼を受けましたが、ボルドーの歴史漂う街並みやぶどう畑の壮大な風景は世界遺産都市にふさわしい素晴らしいものでした。
 私の通ったボルドー政治学院は、周囲に多くの大学があり、学生が多く、人も親切で治安も良く暮らしやすい環境でした。授業は、法哲学、法学史、西洋史、国際問題等を受講しました。留学生向けに開講されている英語のクラスを受講したものの、慣れないうちは苦しく感じました。また、ボルドー政治学院は専門知識を学ぶグランゼコールの機関であるため、現地学生はもちろん、世界各地から集まる留学生の知識や思考レベルがとても高く、特に日本と授業形式の異なるディスカッションの場面では、自分の考えをはっきり主張する彼らとの実力差を痛感しました。ヨーロッパでは、バス停でバスを待つ人同士が政治や社会問題を話題に議論をする光景が当たりまえの文化であるらしく、普段、論戦することに慣れていない私は、自分の無知や未熟さに劣等感を抱き、今までの学問に対する姿勢を大いに反省しました。このような学業面での苦労は、留学前から覚悟していてもやはり身につまされるものがありました。

 生活面においては、日本ではありえないと思うことに多々遭遇しましたが、日本のあたりまえが通用しないのでとにかく、自分で行動あるのみ、という姿勢でポジティブ思考で突き進みました。本来、心配性で用心深い性格なのですが、留学中は新しい自分に出会えた気がしました。
 留学の目標の1つに、フランス人の友人を得ることを掲げていたため、日本語授業のサポートのボランティアを務めたり、パーティーに参加するなど積極的に活動し、フランス人と交流する機会を増やしました。その甲斐あって、多くの友人ができ、授業後にボーリングやスケートをして遊んだり、食事やお酒を共にして非常に楽しく過ごしました。さらに、休日には留学生仲間でヨーロッパの国々を旅したり、週末には劇場に足を運んだりと刺激的な経験をしました。この人脈は、留学で得た貴重な財産となりました。
 留学をすることは大学入学時から漠然と決めていました。その頃は立派な目標を持っていたわけでもなく、単に海外の大学に行ってみたいという好奇心からでした。こうして留学をしてみて、想像以上の様々な経験をし、留学を通じて多くのことを学びました。留学の最大の魅力は多様性を肌で感じられることです。異文化の環境の中で共に学び生活する留学を通じてこそ、様々な価値観を受け入れる寛容さを培うことができるのだと思います。異文化を理解し受け入れる寛容さが国際社会で求められているのです。

 振り返ってみると、留学は私の大学生活の中で1番のチャレンジでた。戸惑い苦しみながらも、自分の成長を図る充実した半年間にすることができました。私はこの留学で学んだことを教訓とし、法学府国際コースへと進学し、国際社会で通用する人材になるべく学業に励むつもりです。
 限られた大学生活をより充実したものにするためにも、是非、留学にチャレンジしてみてください

ミュンスター大学(ドイツ、2018年~2019年)

荒岡 草馬(2019年3月GVプログラム卒業)

 私は、学部4年の4月から、法学部の部局間留学協定を利用して、ドイツのミュンスター市にある「ヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学(ミュンスター大学)」で10ヶ月半、留学生活をおくりました。
 留学先にドイツを選んだ理由ケルンへの日帰り旅行としては、主に①日本とドイツの法体系が類似していること、②ドイツでは、私の研究テーマである情報法に関する議論が進んでいたこと、③学部1年次にゲッティンゲン大学とのシンポジウムに参加してドイツに興味を持ったこと、などがありました。

 当初私は、ドイツ留学をするにもかかわらず、ドイツ語に関する知識がほとんどありませんでした(第2外国語は韓国語でした。)。そのため、留学生活が始まったばかりの頃は、街中にある看板の意味が分からない、バスの運転手と意思疎通ができないなどのトラブルに遭遇することがしばしばありました。
 幸いミュンスター大学では、留学生向けに英語の授業が開講されており、ドイツ法に関する入門科目に加え、国際法やまれるのは、もしドイツ語ができれば、現地学生と同じ専門科目が履修できたという点です。そこは、次回以降の課題にしたいと思っています。

 ミュンスター大学には、情報法に特化した「情報通信メディア研究所(ITM)」があり、その所長であるトマス・へーレン先生に、私の研究テーマについてアドバイスを頂くことができました。また、ITMには情報法関連書籍を集めた専用の図書館もあり、空き時間にはそこでドイツの公共放送に関する資料を収集することもできました。

1年を通して多くの学びがありましたが、生活面でもたくさんの刺激がありました。まず、来てばっかりの頃に驚いたのは、ドイツでは日曜祝日に全ての店や施設が休みになるということです。日本のようにコンビニがそこかしこにあるわけでもなく、休日は誰もが家族や友人と過ごすので、休日中に食材が足りなくなったときは大変でした。
 一方で、休日や長期休暇の間は、ドイツ国内外の様々な都市に赴き、同じヨーロッパでも国によって文化や習慣の違いがあるということを知ることができました。このように、比較的安価に、かつ、短期間で多くの国を回れることは、ヨーロッパに留学する何よりの特権だと思います。
 ドイツ留学を通して、私の視野や価値観は大きく変わりました。今後自らの進路を歩むにあたって、この留学で得た経験は必ずプラスに働くと信じています。ぜひ、現役大学生の皆さんにも大学在学中に海外経験を積み、新たな発見をして抱きたいと思います。

ライプニッツ・ハノーファー大学(ドイツ、2019年~2020年)

周 礼旻(2020年3月GVプログラム卒業)

 私は、学部4年の4月から、法学部の部局間留学協定を利用して、ドイツのハノーファー市にある「Leibniz Universität Hannover(ハノーファー大学)」で12ヶ月間、留学生活を送りました。この学校への留学を決めた理由は、もちろんヨーロッパを多方面で牽引しているドイツにて国際法を学んでみたいという好奇心もありましたが、何よりここでは「情報法」という比較的新しい法分野における研究が盛んだったので、テクノロジーが加速度的に発展するこれからの社会における法とはどういう姿をしているのかを探る最適な環境であると感じたからです。案の定、開講されている授業はどれも面白いものばかりで、特に「International Private Law and the Internet」や「Data Protection in the age of Artificial Intelligence」といった授業では、個人情報の保護が基本的人権の尊重と同義であると位置付けたうえでインターネット上のあらゆる交流における法秩序を模索しているヨーロッパの現状に大変驚きました。このように、日本と海外(この場合はヨーロッパ)における法を比較できることも留学の醍醐味の一つだったなと振り返っています。

 留学で特に印象に残っているのが、夏休みの間にハノーファー大学が開催する3週間のサマースクールです。ここでは、情報法に関連した法についてのレクチャーが毎日朝から夕方遅くまで行われ、ヨーロッパ各地から集まってきた大学院生や現役弁護士と共に時間の許す限りぶっ通しで議論をするという体験をしました。授業以外でも、参加者みんなで集まってビールを片手に朝まで将来について語ったり、それぞれの母国の伝統料理を持ち寄ってピクニックをしたりと、有意義という言葉で片付けるには惜しいほど充実した時間を過ごすことができたと感じています。これらの経験を通して、これまで以上に情報法に対する学術的な興味が深まり、遂には大学院に進学し研究をしていこうと決意するに至りました。この一年間の価値は計り知れません。

 生活面でも多くの気づきを得ました。特に日本とドイツのライフスタイルの違いは明確で、日本は「住みやすいけど生きづらい」印象でしたが、一方でドイツは「住みづらいけど生き心地が良い」という印象を受けました。生活上多少の不便を被ってもそれに文句を言わず互いを許し合う文化の基では、人間関係がギクシャクすることもあまりないのかもしれません。住みやすさと生き心地の良さは必ずしもトレードオフの関係にはないとは思いますが、1年間留学するなかで個人的に強く感じた点です。
 この1年間の留学は、学業的にも人生経験としてもかけがえのない体験でした。やはり冒険を通して得るものは大きいですね。

ボルドー政治学院(フランス、2019年後期)

廣瀬 梨早(2021年3月GVプログラム卒業)

 学部3年の9月から、法学部の部局間留学協定校であるSciences Po Bordeaux(ボルドー政治学院)で1セメスターの留学をしました。実質3ヶ月半という短い期間ではありましたが、数多くの経験をすることができました。

 ボルドー政治学院はフランス南西部のボルドー市に位置しています。留学生向けには英語とフランス語2つのコースがあり、私の所属していた英語コースEnglish trackでは講義は英語で開講され、希望者はFrench track向けの講義も履修可能です。私は大学でフランス語を第二外国語として学ぶなかでその文化に関心を持ち、フランスへの留学を希望すると同時に、学術的な面では英語能力を伸ばしたいと考えていました。そこでこのEnglish trackの存在を知り、ボルドー政治学院を留学先に決めました。
 講義については、いわゆる留学と聞いてイメージされるアクティブな授業形態とは異なり、大人数で教授の話を聞く日本の大学と似た形式のものが多かったです。特に面白かったのは国際政治の授業で、現代社会で起こっている事象を政治学の歴史と学説に基づき分析することができました。他にも政治人類学やメディア学など色々な講義があり、専攻以外の分野へも関心が広がりました。また、友人と挑戦したフランス語開講の憲法は、英語と日本語の助けを借りなければ理解は難しかったですが、専門的な用語に触れつつ、自国の憲法に影響を与えた法をその土地の言語で学ぶ貴重な経験となりました。

 フランスではストライキが多く、頻繁に止まる交通網や市街で遭遇するマーチと共に生活してみて、権利の主張が行動として根付いている文化を肌で感じることができました。こうした発見や出会いが、今後どのような環境で仕事や生活をしていきたいか再考させてくれたのも、留学を通しての大きな収穫です。

 九州大学で、私はJTWというプログラムのチューターとして留学生のサポート活動をしていたのですが、ボルドー政治学院では学生団体主導で現地学生がバディとなって、諸手続の補助に始まり、パーティーを開いてくれたこともありました。チューターをしていたことで、これらのサポートをただ受け取るのでなく、次に自分が留学生を受け入れる時にどう生かそうという視点で捉えられたのはよかったなと感じています。またチューター時代の友人とボルドーや旅行先で再会し、家族での朝食に招待してもらったり、実家に宿泊させてもらったりと、より現地の生活に近い体験もできました。

 友人とその家族、そして私をこの留学に導いてくれたチューター活動と交換留学プログラムには感謝でいっぱいです。