【2026年度・前期】STUDENT EXCHANGE PROGRAM in Malaya University への参加を通して得た学びと出会い

4 月 23 日から 29 日にかけて、GV プログラムの 2 年生 4 名と 4 年生 1 名の計 5 名がマレーシアのマラヤ大学で開催された Student Exchange Program 2026 に参加してきました。本プログラムはマラヤ大学の法学生団体 ALSA UM によって毎年企画・開催されており、九州大学は今回で 8 回目の参加となりました。今年は日本からは九州大学、インドネシアからはタルマナガラ大学、パンチャシーラ大学、マハサラスワティデンパサール大学、アディヤクサ単科大学の 4 校が参加し、マラヤ大学を含め、計 6 校がマラヤ大学に会しました。
今回の体験について、長尾知香(11期)、東屋敷結人(11期)、竹本海月(9期)、が紹介します。長い文章ですが読んでいただけると嬉しいです!

私たちは4月 23 日にマレーシアに到着し、24 日からプログラムがスタートしました。
初日には、マラヤ大学部法学部講堂にてオープニングセレモニーが行われました。
マラヤ大学の教授による挨拶をはじめ、各参加大学の代表者や、本プログラムを企画・運営している ALSA UM の運営幹部によるスピーチがありました。また、今年 ALSA UM が初めてこのプログラムのための公式キャラクターをデザインし、公式グッズの販売も企画したため、その紹介も行われました。
オープニングセレモニーは全大学の参加者が初めて一同に会す場でもあったため、その後のアイスブレーキングセッションでは、ミニゲームを通じて様々な大学の学生と自己紹介を兼ねた交流をすることができました。

昼食後は 5 つのグループに分かれ、キャンパス内の様々な場所に設置されたマレーシアの各地域を紹介するステーションを巡りながら、カルチャーセッションを楽しみました。各ステーションでは、その地域独自の伝統的なゲームを体験することができ、目隠しをした状態でマレーシア料理を口にし、その食感や味をグループの仲間に説明し当ててもらうゲームや、伝統的なダンスを実際に短時間で覚えて披露するというアクティビティなどを楽しむことができました。
また、中華系文化である習字、マレー系文化であるバティック(ろうけつ染め)、インド系文化であるヘナタトゥーも体験することができ、多民族国家であるマレーシアの文化を実感できる貴重な機会となりました。
キャンパス内のみで行われたカルチャーセッションでしたが、マレーシアの多様な地域の文化を学んだ一方で、お手玉のような道具やビー玉を使った遊びなども体験したことで、マレーシアと日本の文化の共通点を見つけることもできました。

プログラム 2 日目の 25 日は、マレーシア南西部に位置する古都マラッカへフィールドトリップが行きました。マラッカは 15 世紀頃に海上貿易の中継地として非常に栄えた都市であり、その歴史的背景からヨーロッパ文化の影響を色濃く残した独特な街並みが形成されています。現在はユネスコ世界遺産にも登録されており、世界的にも有名な歴史都市として知られています。
バスで3時間かけてマラッカに到着し、まず独立記念館を訪問しました。ここでは、マレーシアが第二次世界大戦期に日本軍の侵攻を受けた際の日本紙幣や日本語教育の資料や展示が見られ、日本ではあまり触れる機会のないようなマレーシア側の視点から見た戦争の歴史を学ぶことができ、とても興味深かったです。
近くのモールで昼食休憩をとった後は、マラッカの丘の麓にあるファモサ要塞と丘の頂上にあるセントポール協会を訪れました。これらの遺構はポルトガルによって建築されたものであり、東南アジア最古級のヨーロッパ遺構として知られています。現在、ファモサ要塞は大部分が消失してしまっていますが、街中で見られる一般的なマレーシアの建築とは異なる雰囲気を感じることができました。

夜には、マラッカの象徴的なスポットでもあるジョンカーストリートという中華街を訪れました。通りにはマレー系から中華系、インド系のレストランや屋台があり、歴史的な街並みが残る一方で、観光地としての賑やかさも感じることができる、非常に活気あふれる場所でした。
このフィールドトリップでは、観光時間や移動時間を通して、グループ内外の学生と話す機会が多くあり、絆を深めることができました。(長尾知香)

プログラム3日目の 26 日は、アカデミックセッションとして、テーマであるヒューマントラフィッキング(人身取引)についての講義を受け、その後にケーススタディとプレゼンテーションを行いました。このテーマは東南アジアにおいて特に議論が活発に行われており、日本でも報道番組等で見聞きする機会が増えています。
講義では、マレーシアがヒューマントラフィッキングの送り国と受入国の両方としての二面性を持っていることや、『Anti-Trafficking in Persons and Anti-Smuggling of Migrants Act 2007 (ATIPSOM) 』という包括的な単独法で人身売買の定義、捜査権限、被害者保護、保護施設、移民密輸がまとめられていることなどを学びました。

講義受講後には、実際にあった人身取引事件のシナリオを基にマラヤ大学の学生が演じる5人の当事者(外国人労働者・仲介業者など)それぞれにインタビューをして、その事件の違法性や有責性についてグループごとに議論を行い、考察結果をプレゼンするというケーススタディを行いました。私たちが法律家として当事者それぞれに質問を投げかけることで、事件の経緯や背景、当事者の心理などを直に触れながら、人身取引を取り巻く複雑な関係を読み解くという実践的な学習を経験しました。特に、被害者と加害者を単純に二分することが難しく、経済的困窮や情報格差、仲介業者による搾取など、さまざまな要因が絡み合って問題が発生していることを学びました。

私が所属していたグループは、7人のインドネシアの学生と私たち3人の九州大学からの学生で構成されていたため、10人で一つのプレゼンテーションを作り上げることは、お互いの意見のすり合わせから、論点の確認や結論の方向性の議論にいたるまで困難なことが多かったように感じます。しかし、普段は異なる法の下で生活している私たちだからこそ、お互いの考えを素直に出し合い、それぞれを活かすことで、より良いプレゼンテーションを作ることができました。このディスカッションを通じて、人身取引問題をはじめとする法的問題について扱うときには、法的側面だけでなく、社会的・経済的背景を含めた多角的な視点から考察する重要性も実感しました。

またアカデミックセッション後には、スポーツセッションとして、水風船を使って様々なゲームを楽しみました。水風船版ドッジボールや、水風船を落とさないよう気をつけながら後ろ向きに投げて回すチーム対抗リレーなどを楽しみました。

みんなで一緒に楽しみながら身体を動かすことができるこのスポーツセッションの時間はとても楽しく、また、限られた時間や場所・費用の中で、創意工夫を凝らして企画してくれたマラヤ大学の学生の熱量を感じる時間でもありました。

プログラム4日目の 27 日は、クアラルンプール市内でのフィールドトリップが行われました。
まずマスジッド・ネガラと呼ばれる、クアラルンプールの国立モスクを訪れました。このモスクは、独立の象徴として 1965 年に建立された国内最大のモスクの一つあり、近代建築と伝統的なイスラム美術が融合した芸術を目にすることができました。案内をしてくださった方は、ムスリムでない私たちに対しても、モスクのできた経緯やマレーシアでのムスリムの生活などについて事細かな説明をしてくださりました。またモスクの入館に際しては、肌の露出を控えることが求められるため、女性はヒジャブというヘッド・スカーフを借り着用するという新しい経験もできました。

次に、私たちは国立博物館を訪れました。この博物館は、1963 年に開館し、マレーシアの歴史・文化・民族の成り立ちを総合的に紹介する国内最大級の博物館です。4つの展示室に分かれており、先史時代・マレー王国時代・植民地時代・現代のマレーシアに関する展示を学ぶことができました。特に印象に残った展示は、第二次世界大戦下の日本統治時代についてのものです。日本による統治は、物資不足やインフレのような物的な困難をもたらしただけでなく、差別や弾圧のような心理的な傷も与えていたことを知り、日本人として日本軍の行いは非常に考えさせられるものでした。

その後は、セントラル・マーケットという観光市場に移動して、昼食を食べたり、お土産を購入したり、それぞれが充実した時間を過ごしました。
午後からは KLCC(クアラ・ルンプール・シティ・センター)という商業エリアを訪れました。KLCC には、ペトロナスツインタワーという象徴的なツインタワーがあります。このタワーは、かつてアジアで一番高い建物であったことでも知られていて、1996 年に完成した超高層ビルです。2つのタワーは一見同じもののように見えますが、タワー1は日本の建設会社が、タワー2は韓国の建設会社が施工したそうです。ツインタワーは壮観だったものの、外気温は30℃を超え、太陽の光も日本では体験したことがないほど強かったため、外では歩くのがやっとでした。

プログラム最終日の28日には、毎年恒例のカルチャーナイトとクロージングセレモニーが行われました。
カルチャーナイト前に食べたプログラム最後の食事は、グループのメンバーと食卓を囲む最後の機会になりました。これまでグループで回った様々なマレーシアの名所や、アカデミックセッションでのプレゼンづくりの話など、話題は尽きず、楽しい食事となりました。

カルチャーナイトでは、九州大学とインドネシアの4校、そしてマラヤ大学がそれぞれ伝統的な民族衣装を身にまとい、伝統的な舞踊や流行のダンスなどを披露しました。
私が特に驚いたのは、マレーシアとインドネシアの文化の多様さです。マラヤ大学はマレーシア13の州すべての伝統舞踊や歌唱を披露し、インドネシアの4校は、それぞれが全く異なる歌や踊りを披露していました。

私たちは、2年まえから毎年披露している AKB48 の『恋するフォーチュンクッキー』を選び、参加者全員をステージ上に招待することで、みんなで一緒に踊る機会を設け、最後に楽しい時間を過ごすことができました。
各校のパフォーマンス後には、アワードセレモニーが開かれ、私は「ベストドレッサー賞(男性部門)」をいただくことができました。
クロージングセレモニーでは、マラヤ大学が準備してくれた1週間の思い出ムービーをみんなで楽しんだり、それぞれの感謝や思いをつづった手紙を交換し合ったり、写真を沢山撮ったりして、別れを惜しみながらも幸せな時間を過ごしました。(東屋敷結人)

今回のマラヤ研修を通して、私は学問的な知識だけではなく、多様な価値観を理解し、尊重する姿勢を身につけることができました。特に印象的だったのは、さまざまな文化的背景を持つ学生たちと交流できたことで、プログラム期間中、ディスカッションや日常会話を通して、自分とは異なる価値観や考え方に触れる機会が多くあり、多様性を尊重することの大切さを実感しました。自分にとって当たり前だと思っていた考え方が国や文化によって大きく異なることを知り、物事を一つの視点だけで判断しないように心がける意識を向けられるようになったと思います。
また、英語を必然的に使わなくてはいけない環境に身を置いたことによって、タイ研修後に課題にしていた、自分の意見を英語で積極的に発信する力も成長することができたと感じています。積極的にコミュニケーションをとる中で、完璧な英語でなくても英語で交流することに意味があることを非常に実感し、今はまだ英語を使うということに関しては努力段階ではあるが、いつか自然に英語を駆使できるよう、これからも英語の学習に励みたいと改めて実感しました。(長尾知香)


今回のマラヤ研修は、プログラム全体が完全に学生主体で企画・運営されており、マレーシアの文化を余すことなく伝えようとする文化体験や、体験型アカデミックセッションを通しての深い議論など、マラヤ大学の SEP 運営体制には多くの刺激を受けました。
私は 1 年後期から GV プログラムに編入しましたが、当初は英語力・法的素養の両面で、周囲の学生に引け目を感じていました。それでも、マレーシアで東南アジア両国の学生たちと起床から就寝まで共に過ごしたことで、自分がこれまで見ていた世界の狭さや、価値観・考え方の根本的な違いを実感し、より広い視野で世界を見つめる重要さを知ったことで、自らの考え方を改めようと感じました。
本研修で特に感じたのは、自分の中で壁を作らず、「まずは挑戦してみる」という姿勢の重要性です。今回は英語力も法的素養も自信がないながら、積極的に飛び込んでいく姿勢を大切にしたことで、より深い学びや新たな気づきを得ることができました。今後さらに英語力と法的素養のレベルを高めるため、より広い視野を持って学び続けていきたいです。(東屋敷結人)


この長いブログをここまで読んでくださったということは、GV プログラムの活動に強い興味を持ってくださっているということだと思いますので、そんな方々に向けて綴りたいと思います。
実は私がこのマラヤ大学でのプログラムに参加したのは異例の3回目でしたが、私が毎年参加したいと思う理由はやはり、ここでの人との出会いに大きな魅力を感じているからです。これはマラヤ大学での研修に限った話ではありません。
GV 生だからこそ得られる機会の中には、1回きりではなく、その後も繋がり続け、思わぬ形で新しい縁や自分自身の成長へと広がるものが多くあります。
海外研修で出会った学生と連絡を取り続けたことが、マラヤ大学やタルマナガラ大学の学生を九州大学に招待した GV ワークショップの開催に繋がりましたし、こうした経験を通して得た英語力や自信が、私が上海でのサマースクールへの参加を決める大きな後押しにもなりました。また、GV プログラムでの経験は、自分自身の将来の選択肢を広げてくれる貴重な機会でもあります。海外の学生たちが自分の関心分野を追求するために大学院へ進学し、時間をかけてキャリアを考えていく姿を見て、私も法学をもっと深く学びたいと感じ、LL.M.(法学修士)への進学を視野に入れるようになりました。
この投稿を見てくださっている GV プログラムの後輩や、GV プログラムへの入学に興味を持ってくださっている方々には、ぜひ GV プログラムでしか得られない貴重な機会に積極的に挑戦して欲しいです。その挑戦が想像以上に大きな学びや出会い、成長に繋がると思います。(竹本海月)


最後まで読んでくださり、ありがとうございました!