学部長挨拶

学部長挨拶

法学部長(法学研究院長・法学府長)  德本 穰

 九州大学は、2000年度から研究院制度を発足させ、学部生の所属する教育組織である「法学部」、大学院生の所属する教育組織である「法学府」と「法務学府」(法科大学院)、教員の所属する研究組織である「法学研究院」を有しています。2018年10月には、法学部(法学府、法学研究院)が箱崎キャンパスから伊都キャンパスに移転いたしました。静穏で新たな環境の中、法学研究院スタッフ一同、日々研究・教育に励んでいます。

 法学部は、法学・政治学教育を通じて、地域社会、日本社会、ひいては、国際社会において、リーダーシップを発揮しうる創造性豊かな人材(弁護士・裁判官・検察官、公務員、企業・団体の職員、国際機関やNGOの職員、大学等の研究者等)の養成を目的としています。1924年9月に九州帝国大学法文学部として創設され、1949年5月に新制九州大学発足に伴い法学部となりました。これまでに約1万8千人に及ぶ卒業生を輩出してまいりました。2024年には、いよいよ法文学部創設100周年を迎えます。

 法学府は、いわゆる大学院です。高い倫理性・社会性に裏打ちされた、国際レベルで活躍しうる創造性豊かな研究者とルール形成や政策形成をリードすることのできる高度な専門的知識・能力をもった高度専門職業人を養成することを目的としています。修士課程は、研究者、専修、国際の3コースに分かれ、博士後期課程は、研究者、高度専門職業人、国際の3コースに分かれています。国際コースでは、いずれも英語で教育が行われ、海外の大学を始めとする教育・研究機関等との連携が行われています。

 法務学府は、いわゆる法科大学院のことで、法曹養成を目的とする専門職大学院です。詳細につきましては、法科大学院のホームページを御覧いただければと存じます。

 法学研究院は、研究組織です。基礎法学、公法・社会法学、民刑事法学、国際関係法学、政治学、実務法学の各部門からなります。法科大学院の教員も原則として法学研究院に所属しています。所属教員は、法学部、法学府、法科大学院等の教育に携わるほか、科学研究費補助金をはじめとする外部の競争的資金を獲得し、研究に従事しています。法政学会をはじめとして研究会・学会活動等も活発に行われています。古代ギリシャや古代ローマに遡ることができる法学・政治学の長くて豊かな伝統を継承しつつ、知的財産法、情報法等、新しい時代の要請にも応える研究が展開されています。

 法学部では、2015年度から、「GV(Global Vantage)プログラム」を実施しています。英語力を重視した特別入試を実施し、それらの学生を中心に、その他の意欲ある学生も参加しながら、国際化を推進しようとするものです。また、2020年度からは、法学部に「法曹コース」が設置されました。法科大学院と連携した本コースの体系的・一貫的教育課程によって学部を3年間で修了し、法科大学院の既修者コース(2年間)に進学できるようになりました。新しい時代の要請に応えるために、大学では恒常的な改革に取り組んでいます。

 他部局との連携や社会連携も推進しています。各教員による社会貢献・国際連携活動をはじめ、人社系研究教育コモンズ等との連携を通じて、他部局と協力して学際的研究を推進しているほか、弁護士会、司法書士会、行政書士会、社会保険労務士会、さらにはタイ王国司法省等との連携も行っています。

 この度、2023年4月に、法学研究院長・法学府長・法学部長に就任いたしました(法科大学院長は山下昇教授です)。九州帝国大学法文学部以来の長い伝統を踏まえ、これまでの改革の成果を受け継ぎながらも、不易流行を旨に時代の要請に応えるための改革を続けてゆく所存です。在学生の皆様やその御家族、卒業生の皆様のみならず、地域社会や国際社会をはじめとする皆様のより一層の御支援・御協力を心よりお願い申し上げます。