[2021年度・後期] GV3年セミナー:英語で判例報告·議論し直すことの意義

GVプログラム5期生の上原朔也です。

2021年度後期は、前期に引き続き判例報告(Case Study)を行いました。それぞれのゼミで扱う内容を英語で整理し直し、報告しました。前期に比べて、各自の勉強も深まっているので、より活発に議論をすることができました。

私は、全3回の報告のうち、初回は本ゼミで勉強している国際取引法に関連して、契約の成立について、メモ書きの有効性が議論となった裁判例(東京地判平成12年4月19日、判時1745巻96頁)を取り上げました。また、後の2回は、サブゼミの比較法で扱ったアメリカの裁判例を2つ取り上げました。サブゼミでの私のテーマは、未成年者が発生させた損害を親におわせる際の法的根拠を、各国の議論と比較しながら整理すると言うものです。その中から、親に責任を問わないという、アメリカ各州で取られる原則を徹底した事件(Van Camp v. MacAfoos, 156 N.W.2d 878 (Iowa 1968))と、その原則に反して、親に厳しい責任を課すルイジアナ州の判例(Turner v. Bucher, 308 So. 2d 270 (La. 1975))を紹介しました。

最初の報告は、日本の裁判例を英語で紹介するものだったので、争点を整理しながらそれを的確に翻訳し、短くまとめることに苦労しました。一方で残りの2回は英語の判例なので翻訳作業は必要ありませんが、その分情報を取り出すことに苦労しました。しかし、ゼミでは翻訳版しか読まないので、原本を丁寧に読みそれに基づいて議論をすることで、問題となっている争点に対する理解が深まり、ゼミでの勉強にも大いに役立ちました。

このセミナーを通して、それぞれ別分野で勉強している他のGV生から広い視点で質問をもらい、議論を重ねることができるので、自分の勉強を深めることができました。さらに、他のGV生の報告を聞いて、自分の専門分野以外の法律分野についても勉強することができ、自分の分野との意外な関連など、新たな発見も多くありました。

上原朔也
Sakuya Uehara