[2022年度・前期]GVセミナー「Case Study」で学んだこと

GV3年生は、2022年度前期の隔週金曜日に「Case Study」を行いました。

九州大学法学部では、3年生になると、各々が興味のある法学の分野を深く学ぶためのゼミに所属します。Case Studyでは、それぞれのメンバーがそれぞれのゼミで学んだことを他のメンバーに英語でプレゼンテーションし、それをもとに皆で議論を行いました。

 このCase Studyを含め、GVプログラムのカリキュラムの目標として「法的専門性と、高いレベルの英語力を身に着けること」が掲げられています。このCase Studyにおいても、より専門的な判例に関する英語での発表・議論を通じて、これら二つの力を磨き上げてきました。

しかし実際、我々はこの講義から、それよりももっと多くのことを学びました。

そのうちの一つとして、「スライド作成のノウハウ」が挙げられます。プレゼンテーションにおいてスライドは、言葉だけでは伝わりにくい内容を補足したり、複雑な内容を視覚的にまとめて理解しやすくするといった重要な役割を担っています。スライドも発表のひとつであり、この講義においても皆工夫を凝らし、できるだけわかりやすく印象的なスライドを作ることに取り組んでいました。

  私の発表した労働法の判例は、事実関係や人物関係が雑多で、パワーポイントだけではどうもわかりやすく表現することが難しく思いました。そこで得意のイラストを描いて、それをパワーポイントの代わりにスライドにすることにしました。全く初めての試みだったのでうまくいくか不安でしたが、同期から称賛の声をいただいて、初めて自分のやり方に自信を持つことができました。このように、既存のやり方にとらわれず思い思いに新しい方法を試してみられるのも、少人数であるからこそのGVプログラムの魅力だと感じます。

 また、この講義を通して「自分の意見を持ち、人に伝えること」を学びました。Case Studyでは基本的に判例に対する自らの意見を述べることが求められます。「自分の意見を持ち、人に伝えること」は決して簡単なことではなく、多くの努力と工夫が必要になりました。判例について自分の意見をもつためには、まず判例を熟知する必要があります。一言で判例といっても、そこには事実関係や双方の主張、判旨など様々にありますから、そのすべてを熟知することが非常に大変でした。ただしもっと苦労したのは、意見を人に伝えることです。自分の中だけですと、善悪・好悪の判断は直感だけ済まされますが、それを人に伝え、理解させるとなった場合、そうはいきません。意見(結論)に対する論理立った理由付けがなければ、誰も納得してくれないからです。上記のスライド作成同様、議論においても、自分の意見を明確に伝えられるような話し方の工夫を不断に行いました。はじめは意見を言っても、なかなか伝わらずもどかしい思いをしましたが、回数を重ねるごとに容量をつかんでいくことができ、最後には意見が意見を呼ぶ、活発な議論をすることができるようになりました。

以上のことだけにとどまらず、様々なことが学ぶことができるのがGVの授業の特徴だと思います。GVの卒業生の進路先は、LLMや公務員、私企業など多種多様ですが、ここで身に着けたスキルは、どの進路に就こうとも必ず活きてくるスキルだと確信しています。これからも、後期の授業含め様々なGVプログラムのイベントが行われますが、そのすべてから積極的に学ぶ姿勢を心掛けていきたいと思います。

八尋 一修