[2022年度・後期] Moot Court:講義室から法廷へ

GV学生4人がマレーシアのマラヤ大学が主催したMoot Court「Tun Suffian Human Rights Law Moot Competition」に参加しました。日本では国際法模擬裁判として知られるMoot Courtの大会であり、参加大学は原告・被告の立場に分かれて裁判を行います。今年はアジア各国から全6大学の学生がオンラインで集まりました。

今回は改宗を禁止する法律の有効性や適用の有無が争点になりました。日本では、馴染みのない改宗ですが、宗教によっては改宗を禁じているものもあります。また、特定の宗教の信者に対してのみ管轄権を持つ裁判所と、いわゆる通常の裁判所との管轄権の問題も議論になりました。このように日本では見られない問題や司法システムで裁判を行えることは、Moot Courtの面白さでもあり、物事を相対的に捉える視点を得る機会にもなります。では、私たちがどのようにMoot Courtの準備を進めていったのか簡単に振り返りたいと思います。

9月中旬に問題発表が行われてから、12月の大会当日まで何度もミーティングを重ねました。最初の方は問題の内容を時系列で整理したり、自分達の言葉で問題を噛み砕いて説明してみたりと問題への理解を深めました。そして、法学の授業で学んだ知識を使って主張の内容を考え、根拠として引用できる判例を探しました。もちろん、根拠のない主張で裁判官が納得するはずがありませんので、主張の根拠となる判例探しは非常に重要です。他にも、論文や研究レポートなど参考にできるものは他のメンバーと協力して調査しました。大会当日では口頭で裁判官に自分達の主張を認めてもらう必要があるので、口頭弁論の対策も行いました。この対策では、ティーチングアソシエイトのピーター先生や実務家の先生、LL.Mの先輩からたくさんのアドバイスをもらい、主張の内容、組み立て方だけでなく、英語の発音や、堂々とした主張の仕方を教わりました。

Moot Courtへ向けた準備や対策は困難なものでしたが、法学を学ぶ学生として、条文や判例を根拠に主張を組み立てたことは貴重な経験だったと感じています。特に口頭弁論の対策で練習した説得力ある主張の仕方は、今後の授業や実生活で大いに役立っていくと思います。

竹石 明生