私は2024年9月9日から16日に釜山大学で開催された、KU-PNU Law Student Exchange Programに参加しました。内容としては主に、講義を通じた韓国法の学習、法曹三者への訪問、文化ツアーを通じた韓国文化の理解を行いました。
講義は、韓国の行政法と朝鮮時代の刑事政策に関する法制史の2つを受講しました。どちらの講義も、日本と韓国の法制度や歴史を比較しながら進められたため、各国相互の違いと共通点を認識しながら学習を進めることができました。日本の統治下にあったという歴史的背景もあり、韓国の行政法には、法の形式や内容等が日本の行政法に似ている部分が多く見られました。一方、異なる点として、行政処分にAIを用いた自動的処分が取り入れられている点、行政と民間の約束に拘束力を与える「確約」という制度がある点がありました。法制史の授業では新羅時代の死刑制度を学びました。当時刑の執行に慎重になる傾向があり、朝鮮後期になると死刑執行を避け、「審理」という死刑執行の前段階の過程を繰り返すことで、実質無期懲役の刑を下していたといいます。同時期の他国を見てみると、ヨーロッパにおいても死刑執行を避ける傾向があったため、このような傾向が現在の死刑制度に対する批判的な世界の流れに影響を与えていのではないかと考えました。いずれの講義においても、講義者に対して多くの質問をすることができ、疑問点を解決しながら、より深い学習を積極的に行うことができました。
2日目には、検察庁・地方裁判所・釜山弁護士会館の要所を訪問しました。検察庁では実際に分析を行っている科学班の様子を見るなど、研修でしか見聞することのできない部分まで見学することができ、大変貴重な機会になりました。各法曹の方との対話では、主に法曹になるための道のりについて知見を得ることが出来ました。
また、法律の学習に加え、韓国の文化にも触れることが出来ました。慶州での世界遺産ツアーに参加し、新羅時代の歴史的建造物(太宗武烈王陵、天馬塚、芬皇寺 模塼石塔、石窟庵、仏国寺)をめぐりました。特に印象が強く残っているのは、日本による影響が垣間見えた点です。芬皇寺 模塼石塔や仏国寺にある石塔は、日本側による破壊や持ち去りにより、再建が不十分なもの、本来の形が不明なものがありました。このように、日本の行動によって新羅の文化が破壊されていた事実は、現地に行かなければ知る機会がなかったと思うので、大変興味深かったです。
今回、釜山大学での研修であったからこそ、学習・訪問できた部分が多くあり、短い期間ではあったが充実した学びのある7日間でした。また、今回九州大学のロースクール生と同行できたことは、司法試験受験を考えている私にとって、将来のことを相談できる相手を獲得することが出来たうえ、彼らをみてロースクール入学後の自分の像をより明確にすることが出来ました。
GV3年 安里 奏咲