ミュンヘン大学と共同シンポジウム

皆さんこんにちは!GVプログラム3年の荒岡草馬です!
今日は、少し前になりますが、今年の2月に九州大学で行われたシンポジウムに関して書きたいと思います。
このシンポジウムは、ドイツのミュンヘン大学から教授や大学院生を招待して開かれたもので、主に刑法学、国際関係法学などをテーマにした発表が行われました。
発表には、過去の犯罪発生状況などのデータを利用して犯罪を未然に防ぐ「予備警備」というシステムに関して、罪刑法定主義の観点から評価を行ったものや、EU法とドイツ国内刑法の関係性について論じたものなど、ドイツの最近の法事情を検討したり、ドイツと日本の法制度のあり方を比較法的に説明したりするものが見られました。

GVプログラムからは4名の学生が参加し、ヨーロッパなどで主張されている「忘れられる権利」について、今年1月に出された最高裁判決を題材に、憲法的な視点から発表を行いました。「忘れられる権利」とは、簡単に言うとGoogleなどの検索エンジンに、過去の犯罪履歴などに関する検索結果が表示されないように求める権利のことです。この権利は、まだ日本では法制度上認められておらず、今回の判決はこの「忘れられる権利」を憲法上認めるかどうか、裁判所としての見解が示されるものとして注目を集めていました。結果として、最高裁は「忘れられる権利」について言及しませんでしたが、下級審の判断を含めて、今後日本国内でこの権利が導入されるきっかけになったものだと見ることができます。

報告準備では、春休み中にグループのメンバーで集まり、今回の最高裁判決について第1審、第2審の判決文から読み直して争点をまとめるなど、多少大変な場面もありましたが、メンバー4人が分担して文献を探したり、スライドを作ったりして、なんとか本番に漕ぎ着けることができました。

私は、昨年度ドイツで開催された「ゲッティンゲンシンポジウム」にも参加しましたが、そのときはまだ、法律に関する知識も足りず、同じグループメンバーだった先輩に頼りきりでした。今年度のシンポジウムでは、一年間学んだ法律の知識を活かしながら、メンバーと議論を重ね、グループとしての見解を示すことができたので、達成感とともに自身の成長を感じることができました。

3年生になり、いよいよ本格的にゼミも始まりました。法学部のゼミでは、今回のプレゼンテーションのように、ひとつのテーマについて文献を探し、議論を重ね、グループあるいは個人としての見解をまとめて報告する、というのが一つの流れです。1,2年生の頃に増してやることは多いですが、この経験を積み重ねることによって、法的な考え方や論理的な思考というものが磨かれるのだろうと思います。今後の学習にも、粘り強く取り組んでいきたいと思います。