1年次に開講されている講義についてご紹介いたします。
「法学入門」について、担当されている南野森先生にお話を伺いました。なお、本記事は、「九州大学法学部案内2023」より引用し、作成したものです。
Q:「法学入門」とは?
九大法学部では、1年生は法学部の「専攻教育科目」ではなく、「基幹教育科目」を中心に履修します。とくに1年生前期は、法学部の科目としてはこの「法学入門」と「政治学入門」だけが開講されることになっています。そこでこの「法学入門」では、憲法、民法、刑法といった、1年生後期から本格的に学び始める法律学の基礎となる重要な3科目について、それぞれの概要を学ぶとともに、法的にものを考えるための素養を身に付けてもらうことを目的として講義を行います。年により少し変わることもありますが、基本的に、憲法、民法、刑法を担当する3人の教員で順番に講義をしています。
Q:講義ではどのようなことをしますか。
高校までの授業をイメージするとびっくりされるかもしれませんが、90分間、延々と教員が檀上で喋り続けるだけの授業です。教員によっては簡単な目次や資料の掲載されたプリント(レジュメと言います)を配布することもありますが、それすらもなく、板書もせず、ただひたすらマイク1本で喋り続ける教員もいます。人の話を集中して聞き、何が重要かをその場で判断して、自分なりのノートを取っていく作業は大変疲れるものですが、これこそが大学の学び。法学の教科書や裁判所の判決も、高校卒業までに読み慣れてきた日本語とはずいぶん趣が違ったりします。読むのも、聞くのも、書くのも、考えるのも、大変かもしれませんが、そうやって法学部生らしくなっていきます。すぐに慣れる人がほとんどですから、そんなに心配はいりませんよ。
Q:新入生・受験生に向けて一言お願いします!
大学は出会いの場。知と出会い、人と出会い、自分の世界を広げ、魅力ある人間に成長して卒業し、幸せな人生を送ってほしいと思います。そのために、一生懸命、法学・政治学の授業を受けて、法的にものを考え、世の中の役にたつ人間になってほしいです。大学は自由なところで、そのぶん自分自身の選択や責任が求められる部分も多いですが、大きく成長できること間違いなし。期待いっぱいで九大法学部へ進学してきてください! キャンパスで会えるのを楽しみにしています。
「政治学入門」について、担当されている岡崎晴輝先生にお話を伺いました。
Q:「政治学入門」とは?
政治学入門は、九州大学の1年生が履修する基幹教育の一科目です。どの学問分野を専攻するにせよ、主権者として身につけなければならない政治的素養を身につけることを目的にしています。日本政治がどのように動いているのか。どこに問題があり、どのように改善していけばよいのか。主権者として、どのように政治に関わっていけばよいのか。これらのことをじっくり考えて政治に参加していくことは、主権者としての責任です。他方、政治学入門は、法学入門とともに、法学部の入門科目としての役割も担っています。法学部生は、法律学と政治学を学んでいくことになりますが、2年生以降、本格的に政治学を学ぶための基礎固めをすることも、政治学入門の目的です。
Q:講義ではどのようなことをしますか。
主として日本政治の基礎知識を学んでいきます。高等学校の政治経済と大学の政治学系科目をつなぐ科目であり、政治経済よりも一歩踏み込んだ授業をしています。<事実>に関する事柄については、具体的な事例や資料を見て、より深く理解できるように工夫しています。例えば、政治にカネがかかる現状を理解するために、首相の政治資金収支報告書を分析して、どのように政治資金を集め、何に使用しているのか、具体的にチェックしていきます。また、<価値>に関する事柄については、ディスカッションの機会を設けて、自分の考えを相対化するとともに、自分の考えを深められるようにしています。例えば、住民投票の是非について、先輩たちが考えた賛成論・反対論を学んだうえで、4~5人のグループでディスカッションをしています。ディスカッションを通じて、大学生になったことを実感しているようです。
Q:新入生・受験生に向けて一言お願いします!
新入生には、これからの4年間を有意義に過ごしてほしいですね。もちろん、勉強以外の大学生活も大いに楽しんでほしいのですが、好きなだけ勉強できるのが大学生の特権です。伊都キャンパスには全国有数の大学図書館があり、授業で推薦する図書は4冊配架されています。この恵まれた環境を活かさない手はありません。大いに活用してください。受験生の皆さんは、受験勉強も大事ですが、高校生活を楽しんでください。高校生活を楽しめるのは、通常、一生に一回だけですから。
著作:九州大学法学部広報委員会