2年次授業

2年次授業

2年次に開講されている授業について紹介いたします。


憲法II(人権論)

「憲法II(人権論)」について、担当されている赤坂幸一先生にお話を伺いました。

Q:「人権論」とは?

一般に人間は自由ですが、その自由の中で、特定の自由の憲法典で保障したり、法律上で保障する、ということが行われます。この憲法典上で保障される特定の自由を「基本権」と呼びます(正確には、自由に限られませんが)。なぜ憲法典上で特定の基本権が保障されているのか、その根拠や歴史、保障される基本権の範囲などを扱うのが、人権論です。

Q:講義ではどのようなことをしていますか。

 憲法典で特定の自由が基本権として保障された根拠(背景理念)や経緯、判例による具体化、法律による制度化のあり方について、コア・カリキュラムを踏まえつつ、基礎的な解説を行います。もちろん、講義は生き物ですから、特に発展的な論点に議論が及ぶこともあります。今年度からは、講義中にウェブ上の小テストを活用してみたいと考えています。

Q:新入生・受験生に向けて一言お願いします!

 大学では、特定の分野を専門に研究する人たちが、その最先端の知見を皆さんに提示してくれます。吸収すべきこと・できることは無限にあります。ぜひ、有意義な学生生活にしていただければと願っています。

民法II(債権各論)

「民法II(債権各論)」について、担当されている高岡大輔先生にお話を伺いました。

Q:「債権各論」とはどのような学問ですか。

 民法は私人、つまり一般の個人どうしの権利・義務の関係を規律します。この私人の権利には、大きく分けると、物に対する権利である物権と、人に対する権利である債権の二種類があります。債権各論は、このうちの債権について、個別的なルール(具体的には、契約や不法行為など)を扱う分野です。

Q:講義ではどのようなことをしますか。

 講義の前半では契約法を扱います。大きく分けると、契約総論(契約とは何か、契約はいつ成立するか、契約の解除にはどのようなルールがあるか、など)と、契約各論(売買や賃貸借など、個別の契約のルール)があります。後半では、契約以外の債権発生原因である、事務管理、不当利得、不法行為について扱います。

Q:講義を通して、学生に伝えたいことはありますか。

 債権各論の内容には、ものごとが理想的に進んだ場合にはどうなるかということと、うまくいかなかったときにどうなるかというルールの両方が含まれています。法律の出番は後者になることが多いのですが、前者の内容もとても大切なので、きちんと勉強してもらいたいと思います。

Q:受験生・新入生に向けて一言お願いします!

 法学部を志望する人にもいろいろな進路を考えている人がいると思いますが、民法は、法律に関係する仕事を考えている人にとってはもちろん、そうでない人にとっても、たいへん重要な分野です。皆さんと一緒に勉強することができるのを楽しみにしています。がんばってください。

刑法II(刑法各論)

「刑法II(刑法各論)」について、担当されている井上宜裕先生にお話を伺いました。

Q:「刑法各論」とは?

 刑法各論は、犯罪及び刑罰の一般理論を扱う刑法総論とは異なり、個々の犯罪類型を対象としています。例えば、詐欺罪(刑法246条)が成立するには、①欺罔行為、②錯誤、③処分行為、④財産取得というプロセスを経る必要があり、①から④までが相互に結びついていなければなりません。各犯罪類型の構成要素を精査し、その犯罪の全容を解明するのが、刑法各論の役割です。

Q:講義ではどのようなことをしますか。

 刑法各論の講義では、基本的に刑法典の条文に従って、各犯罪類型の吟味を行いますが、条文の背景にある大きなテーマも扱います。殺人罪(刑法199条)のような生命に対する罪を扱うには、「人」とは何かについて論じる必要があります。どこから「人」になるのか(「胎児」と「人」の区別)、どこから「人」でなくなるのか(脳死は「人」の死か)といった問題も検討対象です。

Q:講義を通して学生に伝えたいことはありますか。

 他の法律にはない過酷な制裁、「刑罰」を規定する刑法であるからこそ、さまざまなファクターを顧慮しながら、各条文をどう解釈するべきかを徹底的に考え抜かなければなりません。刑法各論は、条文を暗記する学問ではありません。上述の通り、1つの条文にも、そこから広がる法的世界があります。刑法各論の講義を通じて、是非、刑法学の奥深さを体感して欲しいです。

Q:新入生・受験生に向けて一言お願いします!

法的思考力を身につけると、世界がこれまでとは全く違って見えてきます。九州大学法学部で新しい知見を切り拓いてください。

政治学I・II

「政治学I・II」について、担当されている出水薫先生にお話を伺いました。なお、本記事は、「九州大学法学部案内2023」より引用し、作成したものです。

Q:「政治学」とはどのような学問ですか。

 学問としては、もっとも古い歴史のある分野です。人間は集団的に共同してしか生きられません。そこでの集団的意思決定や、力関係を考えることが不可避だから発展した分野だと考えられます。今では、「政府」を中心的な対象にしつつも、政治過程論や比較政治学など、かなり細分化された分野が多数あります。

Q:「政治学」の魅力を教えて下さい!

 人間と社会をめぐる学問だということが、まず第一でしょう。また「床屋政談」という言葉がありますが、政治については、時間つぶしの対象として誰でも語ることができるということを示しています。ただ、印象論を超えて、分析として、あるいは規範的な観点で、政治を語るには、それなりの知識や経験などが要ります。その意味で、誰にも語れるようで、「玄人」としての語りには専門性が要るということも、面白味かもしれません。

Q:九大法学部で学ぶことについての意義についてどのようにお考えですか。

 九大法学部の出発は、「大正デモクラシー」の時期であり、官僚養成機関としてつくられた先発の法学部とは異なる伝統があります。あえて言えば、市民社会や地域から、国を牽制する役割を担う人々を排出してきたといえるかもしれません。他の大規模総合大学の法学部と異なり、少人数演習が手厚く準備されているのも、特色です。もちろん空間的に近隣のアジア諸国と近く、アジアに関しては、あらゆる分野が充実していることも特徴です。法学や政治学を学ぶにしても、国や東京からの目線とは異なる観点を、距離の近い教員と学生との関係の中で獲得することが期待できるでしょう。

※写真は1927年頃の法文学部教官の集合写真。(出典:法学部百年史編集委員会「九州大学法学部・法科大学院の歩み」法政研究81巻4号758頁)


著作:九州大学法学部広報委員会

受験生時代・九大法学部を選んだ理由

施設紹介

授業・ゼミ紹介

大学生活

SNS

Facebook

Instagram