3、4年次に開講されている講義についてご紹介いたします。
「労働法」について、担当されている新屋敷恵美子先生にお話を伺いました。
Q:労働法とは?
労働法は、「労働法」という一つの大きな法律はなく、憲法25条、27条、28条などを基礎として、労働基準法、労働契約法、労働組合法などの法律から構成されています。例えば、労働者が解雇された際に、使用者に対してどのような法的権利を主張できるのか(労働契約法16条)など、「働く」ことをめぐる会社と労働者の法的関係を取り扱うのが労働法です。
Q:講義ではどのようなことをしますか。
講義では、たとえば、Uber Eatsを通して働く人たちが直面する課題(配達中の交通事故と補償の問題など)を取り上げて、 (1)ある労働法の規制で対応できるのか(労働法の基礎的・具体的な内容の理解) (2)そもそも対応しなければいけないのか(その人たちは、法の適用対象としての「労働者」と位置づけていいのだろうか) (3)労働法の規制の意義とは何か。 などを講義しています(とはいえ、多くの場合、(1)で講義の90分を使い切ってしまいますが)。
Q:新入生・受験生に一言お願いします!
大学での学部名や科目名を見ると、堅苦しく思えるかもしれませんが、法律が関わる社会、世界の広さは、無限といっても過言ではありません。中央図書館も身近にあり、そうした広い範囲から、自分の興味の持てることを、どんどん探求できます。また、大学では、色々な県から来た仲間との出会いや、大学でしか持てない時間が待っています。頑張ってください。
「民事訴訟法」について、担当されている上田竹志先生にお話を伺いました。
Q:「民事訴訟法」とは?
単純化すると、国民が裁判所に訴えを提起し、裁判所がそれに応答して判決を言い渡すまでの手順を定めた法律です。民法や刑法など、日常生活でも意識できる社会のルールと少し違って、裁判所の中で用いられる話し合いのルールですので、直感的な理解は少し難しいかもしれませんが、法廷での弁論や、証人等の尋問など、ドラマで見るような場面に関するルールも定めています。
Q:講義ではどのようなことをしますか。
講義では、訴えの提起から判決まで、民事訴訟手続の基礎を説明しています。裁判の場では、必ずしも一方当事者の主張が正しいとは限りません。そのため、最終的な結論をいったん棚上げにした状態で、当事者を公平に扱いつつ、各自の言い分を主張できるよう手続を設計することが重要です。社会的に何かを決める際に「結論は手段を正当化しない」、すなわち、正しい結論だからといって適切な手順を踏まずにゴリ押ししてはいけない、ということを学ぶためにも、手続法の学習は有益と思います。
Q:新入生・受験生に一言お願いします!
高校までで勉強する内容は、大学での学問およびその後の人生において、必ず役に立ちます。受験生の皆さんは、今の勉強が受験だけのためと思わず、新入生の皆さんは、今まで勉強した内容が頭から抜けないよう頑張ってください。
著作:九州大学法学部広報委員会